このレビューはネタバレを含みます▼
●『See you〜』を拝読してから、作者さんの作品を片っ端から購入させていただいてゆっくり読み進めています。前後編約60Pが2本、約30P短編が2本。それぞれに「その後」の描き下ろし。デビュー作とのこと、作者さん独特の味わいを噛み締めています。
●『半壊の花』双子の物語というのはなぜこんなに悲しくなるんだろうなぁ…と個人的に。豊樹はハルとユウの違いが分かる。だからこそ、どちらかに想いを寄せることだって起きてしまう。ハルもユウも豊樹を好きだった。でも、二人で分けることはできない…。三人ともお互いを大事に思っているからこそ関係が停滞してしまう。それを動かしたのが「半壊」だったことが辛い。表紙が悲しいです。
●『扉の〜』怖がりの大家さん緑と、入居してる大学生の凪(他の入居者いないのかな?)。緑は多分初めて「怖い」という気持ちを人に話せた。凪は(そこにつけ込んでるところもあるけど)とても優しく緑を包む。二人の過去が繋がるエピソードもあり、ホッとするお話。
●『嘘つき〜』文字書きさんと料理人さん。料理人さんが彼女いるまま文字書きさんに手を出したのはどうかと思いますが…文字書きさんは「こんなこと大したことない」って強がって、関係は続いている。もっと早く、お互い素直になっていればね。
●『稲穂に〜』田舎の高校の同級生、櫂と幸助。噂がすぐ広まるような場所だから、秋だけ、稲穂に隠れて手を繋いだ。櫂が東京に進学することになり、幸助は怖くて不安で別れを切り出すのだけど…ここはあんまり共感はできませんでした。ずっと近くにいた二人には、東京なんて遠すぎたのかな…。大人になってからのメールのやり取り、再会。胸を打たれるものでした。描き下ろしの二人、めちゃかわいいです。
●長くなり申し訳ありません。とても、良かったです。