それから、君を考える
」のレビュー

それから、君を考える

小松

この余韻はズルい…心とらわれますね…

ネタバレ
2021年12月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★表題作:海沿いの田舎町に暮らす高校生タカシとヤスの幼馴染ストーリー。他、“命令”の関係性だったDK時代の回想物語、トラウマ回避から始まるDK同士の「君に届け風」笑、親の離婚が決まったDKと寄り添う幼馴染の大人へ向かう扉。

★娯楽もない、やりたいこともない、あるのは惰性の日々とゲスな噂話。俺がここにいる理由なんてひとつもない、とタカシは言う。東京の大学を目指すタカシを1番応援していないのは自分だ、とヤスは心の中で思う…。

★「最後にしたくないから、会いに行かなかったんじゃないかな」と思いました…と言うよりも、そう思いたいですね。考えて、これからヤスのことをいっぱい考えて。ヤスを見ずに本に向けていたその目を、ヤスに向けて…。そんなことばかり、考えてしまう読了後です。あまりにも胸が苦しくて、どうにか楽になりたいと思ってしまいます。潔く、1行だけ書かれたあとがきのページの2人をめくったら…寂しさと悲しさが押し寄せてきて、「切ない」と言う言葉では収まりきらなくなっています。カバー下(?)も然り…。

★短編4話収録184ページ。前2編の余情を、どこまでも引きずっています。後半の『Young oh!oh!』はポップでハッピー、『夜明け前が一番暗い』は心象風景にヒリヒリしながら、夜明け前の未熟さが美しいな、と思いました。

★本作を知ることができて、ご縁に感謝です。とても心惹かれ、他作も読みたいと思いますが、一等オススメの『うつくしいたましい』は連載ストップしているのですね…完結まで読みたいですね。私も念とエールを送りたいです。
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