鳥を愛した獣
」のレビュー

鳥を愛した獣

いもあん

やわらかくて少しヒリっとするファンタジー

ネタバレ
2021年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ セールページを見ていて、ストレートなタイトルと表紙の雰囲気に惹かれました(1/7まで)。ページをめくったら、白っぽいおじさんが赤子を抱いて寝ているんです。「え、どういう話?」と、一気に興味が高まりました。プロローグとして申し分のない3ページです。
絵の雰囲気も合わせて、明治カナ子先生お好きな方はお好きな世界ではないかなと思います。私はとっても好きでした。
木守りで子守りの“鳥”と怪我をして木の縄張りに入り込んできた“獣”の話ですが、人型で描かれています。でも、ちゃんと“鳥”“獣”“虎”が脳内に浮かぶのがすごいなと思います。“獣”はキツネとかかなぁと思っていたら、“スナドリネコあたり”らしく、そんな(いい意味で)気の抜ける作者様の「ひとやすみ」もとても好きでした。
世間知らずで天然な“鳥”は、見た目は少しくたびれたおじさんなのに、いちいち可愛いんです。そして、ぽーっとしているけれど自然の摂理や仕組みは分かっていて、“命”も悟っているのに、獣が姿を消したときの様子と、獣が再び姿を現したときの決断がいじらしくて、ウルッとしてしまいました。獣もますます鳥に惚れますね。
後半は、森を出た2人の旅路が描かれていますが、さらっと描かれる一コマが深いです。「これがあんたの見ている景色か」が切なくて、でも、そう知ってくれる人が隣にいて良かったね、と思いました。
何編かの4コマもすっごく面白くて、「順番」の求愛ダンスとおみやげにかじられてる手に悶えました。か、か、可愛い~!
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