リエゾン
」のレビュー

リエゾン

ヨンチャン/竹村優作

誤解を生む設定

2021年12月31日
他の方が書かれている通り、主人公が「環境のせいで発達障がいになった」かのような誤解を生む表現は、非常に良くない。単に、主人公が「ネグレクト」の環境にあり、「かつ」、「ADHD」もあった、環境のせいでADHDになった訳ではないと、読者に明確に分かる描き方をしなければならない。このような題材を扱うのであれば、きわめて慎重に話を進めるべき。ただ、この本が認知されることで、発達障がいを知る、一つの契機になって欲しいと強く願う。特に、2巻目の周囲の人へのカミングアウトのシーンが素晴らしかった。周囲の「みんな、その程度のウッカリあるよ」「誰だって同じだよ」という、悪意のない慰めが、どれほど発達がい当事者やその家族を傷つけているか。「みんな、ウッカリくらいある」くらいで、病院にかかるか?薬を飲むか?薬飲まないよね?主人公の、『普通じゃない大変さがあることを知って欲しかった』という言葉が、本当に納得。このシーンを読んで救われた人がいるのではないだろうか。見えずらい困難に対する理解を、少しでも広げる一冊になって欲しい。
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