刺青の男
」のレビュー

刺青の男

阿仁谷ユイジ

幸せは夢の中に

2010年11月23日
悲劇が苦手な方にはキツいストーリーかもしれませんが、作品自体の完成度はもの凄く高いです。

特に作画は芸術作品のように美しいです✨

私的には、潟木の牡丹の刺青と、華麗に咲き誇るラナンキュラスに目を奪われました。

また、構成も凝っていて、最後まで読んだ時に初めて散りばめられた伏線に気付く仕掛けになっています。これは読者を最後まで驚かせる、実に鮮やかな手法です。

そして最後に、その見事なストーリーの収束と、主要登場人物全てが不幸を負うという、衝撃的な結末が読者に明かされます。これは茫然自失となるような凄まじい打撃でした。

しかし、この悲劇は救いのない悲劇ではなかった、と私は思います。彼らが確かに幸せだったこと、そして遺された2人が生き抜く決意をしたことに、少しだけ希望が見えたからです。


悲劇に耐性のある方は是非読んでみて下さい。一般的なBLとは少し異なった、美しく叙情的な名作です✨
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