いちげき
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いちげき

松本次郎/永井義男

傑作。松本次郎ファンなら読むべし

2022年1月5日
画力の鬼・天才松本次郎先生が、江戸人情物の名手(と個人的にカテゴライズしている)永井義男先生の原作(短編を膨らませて)をものにした傑作。
江戸における薩摩による御用盗に対抗して、勝海舟が新撰組隊士に百姓をリクルートさせるところから話は始まります。
歴史ものは究極のネタバレものだと思ってるんですが、これは幕末農民ゲリラ、名もない兵士たちの物語なので、誰が死ぬとか、生き残るとかが分からないのでそれはもうドキドキして最後まで読みました。主人公の丑五郎をはじめ、米吉とか市とか和三郎とか農民ゲリラ良キャラ揃い。また、師匠キャラの新選組隊士島田のクールさ、敵キャラの伊牟田の熱さ、どっちにしても幸せな終わり方にならないのが見えているので切なくなってきます。殊に最終巻おまけの伊牟田外伝、組織に梯子をはずされまくって不遇だった、伊牟田が幸せに余生を送れたかもしれない可能性に泣けました。
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