このレビューはネタバレを含みます▼
表題作+短編4作収録。不思議な雰囲気の、どれも優しい物語でした。
「百草の裏庭」
森で出会った異形の男・ギーゼルに妹を助けてもらい、かわりに妹が嫁いだら一緒にいると約束したマルセル。それから10年、恐れと諦めと共にその時を迎えたマルセルは、ギーゼルが寂しく優しい男だと知る。ギーゼルの正体は謎のまま、特に知ろうともせず森の奥で過ごす二人の優しい時間。孤独だった二人が寄り添って暮らす様子がとっても温かい。いつか妹夫婦に子供が生まれたりして、もっと賑やかになったらいいな。
「stalks」
温室の世話をしにきた青年と不思議な少年との交流。詩的な短編。
「passage」
うまくいかない日々に安らぎを齎す優しいピアノの旋律。
「浸食」
世界を旅する恋人の身に起きた異変。怖いけど美しい。
「旅の途中」
前後編もの。北の国で一人だけ黒髪のカスペルと幼馴染みのヨーアン。一番BLっぽくて好き。あんな光景見てみたいなあ。