このレビューはネタバレを含みます▼
「離さない」「逃げない」SとMの2人の愛。
とても興味深く面白かったです。
下腹部に子宮の入れ墨を持つ無自覚S 蝶野と、潜在ドM花田の徐々に深く繋がっていくお話にグイグイ引き込まれました。
2巻で蝶野の過去が描かれているのですが、初見では、なんて辛く複雑なんだと思っていたのですが、雲井はあの時点でもう壊れて管理出来ず、蝶野の「離さない」という言葉や、顎に触れさせない仕草に、蝶野の本質を悟り放りだしたのかも知れませんね。
それでも蝶野本人にSの自覚は無く、対局の相手に嫌がる行為ではなく、要求を満たして喜ぶ姿を見つめる優しい表情が印象的。
蝶野の差し出す手のひらに自らあごを乗せてくる花田を「かわいい」という気持ちと共に自分自身を気づかされると言う、過去の雲井と花田との使い分けの違いにも注目。こうゆう細かい描写に気付いてから再度読み返してみるとまた見える景色もかわってくる。
子宮の入れ墨を敢えて消さなかったのは、悲しいけど家族のようなものの証しを残したかったのかも。。
花田に気付かされ、愛する事で過去から解放され、互いに心も身体も繋がっていく素敵な2人です。
SMは好みではなかったのですが、ストーリーもしっかりしていて、作者さまの仰る色んなSのお話にも感嘆した次第でございます。