このレビューはネタバレを含みます▼
「そうして僕は恋を知る」のスピンオフ。ヤクザの組長の愛人の息子・薫と、その世話役として幼少期に施設から引き取られた修平のお話。本編が未読でも楽しめる内容かと思います。6歳から衣食住を共にしてきた二人。そんな、幼馴染、親友、相棒としてのポジションから恋人へと変わりたい修平は、薫をオカズに抜いているところを本人に見られて以降どうにか振り向いてもらおうと頑張ります。しかしあと一歩の距離が遠く、ついには「オレは色恋の話でお前を信用できねぇ」と言われてしまいます…。修平がめちゃくちゃ一途な分こちらも一緒にショックを受けますが、薫が何でそう言ったのかもよく分かるエピソードがちゃんと盛り込まれているため、あ〜そうだよね〜そこすれ違っちゃうよね〜とどちらの気持ちにも共感しながら読めました。修平は薫に、過去の恋愛に対するスタンスをもっとちゃんと説明した方がいいのでは?と思ったものの、腹を括った薫があまりにも男前だったのでオールOK。それまでの関係性を変えるって、相手が大切であればあるほど半端な覚悟じゃできないですよね…。二人の関係性のベースに、お互いへの深い信頼があるのだと思わせてくれるストーリーでした。めでたく恋人になった後は、ヤクザのお家にまつわるアレコレを乗り越えさらに絆を強くします。そうして迎えた2巻では、妬いたりデレたり甘えたりするようになった薫の可愛さとエロさを堪能でき、そんな薫を大事に大事にしている修平の、ちょっと情けなくも一途で一生懸命な愛し方が胸にきます。(試し読みの部分がアレだったせいで変な先入観をもっていましたが、えっちの時にはしっかり薫の身体を労った抱き方をしており、モノローグも含めて本当に薫が大好きなんだと伝わってくるのが良かったです)そんな修平の重い想いへのアンサーとして、最後の最後、薫から修平へ向けた、お叱りという名の愛の言葉が胸に残る作品でした。