藤原征爾君追悼特集に寄せて
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藤原征爾君追悼特集に寄せて

吉池マスコ

そこにある愛に救われる

ネタバレ
2022年1月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一見、淡々と飄々とつづられていくお話や表情が、
私にはより辛く感じられました。
寧ろ、泣き叫び崩れゆくような描写がないからこそ、内側を覗き込もうと思考を掻き立てられる。

書けなくなった元カリスマ作家の薔田と
恋人で人気作家の藤原。
そして、尊敬する先生に対する想いを隠し、ひたすら応援する宮本。
3人の想いとふたつの愛のお話でした。

藤原の残した「鈍感な恋人」に想いを巡らせ涙が止まらない。
藤原と過ごした愛しき日々と死別。編集者として側に居続ける宮本。
薔田の絶望の先に見つけた「そこにある愛」。
読み込むほどに涙が止まらなくなる。

失った者による喪失感が辛く切なく、それでも生きていく事で、希望を見つける尊さに救われました。

此方の御本に辿り着くこととなったレビューに感謝です。
ありがとうございます。
(1月17日迄セール)
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