手を伸ばしたら、つばさ
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手を伸ばしたら、つばさ

山田ノノノ

ちょっと考えてしまった

ネタバレ
2022年1月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ えっ、ストーカー?執着ものか?と思ったら、救済BLだった。本編を読み終わって、作者の後書き「里見くんについて今までどんなふうに生活してたのかな、とよく考えます。」に、ん?自分が作り出したキャラクターなのに??里見の過去はなかなかに重くて、それについて作品の中で描かれているのは数ページだけ。里見の言葉や表情などから、例えば身体に刻まれた傷を目にするたびに何を思ったんだろうかとか、依存症や暴力は遺伝すると聞いて恐怖に近い不安を抱いてずっと生きてきたんだろうかとか、読み手が想像して考えてみてってことなのだろうか?親からの愛情を受けられず人に傷つけられてきた里見が、力良との出会いによって救われ未来に希望を持って生きていく…人で傷ついた人が人によって救われる話。過去は変えられないけど未来は変えられる、本当にそう。逆にいえば、未来は変えられるけど過去は変えられない。里見の過去の辛い記憶は、時間とともに薄れていくものがあるのかもしれない、思い出すことも減るのかもしれない。でも、なにかの拍子に思い出したときに感じるものは、多分苦い思いではないかと思うと手放しで喜べない、なんだかちょっと悲しい。里見の「罪悪感は人を動かす」という言葉のエピソードなど、2巻くらいでじっくり読んでみたかったような気がする。評価は☆4・5。
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