臆病者に花束を
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臆病者に花束を

井ノ宮みや

想いを込めたピアノと花束

ネタバレ
2022年1月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 音楽にしか興味がない院生のピアニスト・墨染×明るく表情豊かな大学生・馨。駅でぶつかって墨染の持っていた楽譜をコーヒーで汚してしまった馨。なんとかお詫びをしようと食い下がり、バイト先の花屋で作った花束を渡したことから興味を持たれて友達になることに。自分で花束作れる男子大学生とか素敵すぎる。なにを考えているのかいまいち分からない墨染とぎこちなく距離を詰めて、互いに今まで知らなかった世界に触れる優しい関係性があったかい。傷付くことを恐れてこれまで人に踏み込まずに来た二人が、この人だけはと勇気を振り絞って手を伸ばす姿が眩しかったです。他に短編ひとつあり、人懐こいイギリス青年と染物職人の田舎町での出会い。ピアノ、花束、染め物と全体的に上質かつ上品な雰囲気。作者さんはイギリスが好きなのかな。
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