君と運命についての話がしたい
」のレビュー

君と運命についての話がしたい

青梅あお

涙が溢れて。

ネタバレ
2022年2月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『すんで、みつけて、きらめいて』に続く今年1月2冊目の新刊で、それぞれ異なるタイプの物語の感動に青梅先生にひたすら感謝の気持ちでいっぱいです。2作品とも本当に素晴らしくて、出会えた幸せに喜びが溢れ出る。DKのキュンキュンな恋も最高でしたが、今回は先生初のオメガバースでとっても新鮮な上に、β同士の恋は非常に珍しくて読み応えがありました。どうか、どうか…オメガバースが苦手な方にもぜひ読んで頂きたいと、強く願います。
元々が穏やかで優しい青梅作品。発情も番もなければドラマチックには遠いだろうし、一般の恋とさほど変わりないのでは?と、思った私が愚かでした。αやΩのバース性特有のそれぞれの悩みや苦しみがあるように、βにはβの哀しみや苦しみがある事を知る事になる私。読んでる間中、ずっと胸がツキンツキンと刺されて痛くなり、心の奥底から何かが湧き出してきそうに不安が生まれて来ました。『βであるが故に』
αとΩで運命の番であったなら、男同士でも堂々と祝福して貰えるだろうに…β同士の恋はままならない。心の中の重石が徐々に重くなっていくのが辛い。
ただ一緒にいたいだけなのに…二人でいれば、それで幸せなはずなのに…周囲の何気ない事が、幸せな二人に影を落とす事になるなんて…穏やかで静かな水面に、石を投げ込んだように水の波紋が何重にも生まれザワザワと心をざわつかせます。響の不安や焦り、幸史郎のショックと哀しみが痛いほど伝わってくる。ツキン。ツキン。
もう切なくて、哀しくて、胸が押し潰されるように痛くてたまらない。そして、ポロポロ、ポロポロと涙が溢れて止まらない。
ただ好きじゃダメなのか?と思う事は簡単で、運命の番になれば子供にも恵まれ、家族が出来る。そんな希望が断たれてしまう現状が辛いね。
それでもやっぱり何より大切な事は、二人でいる幸せです。二人には育んで来た確かな愛と、二人の歴史がある。お互いに離れられるはずもなく、それぞれの心に向き合う事が出来て良かった。また涙です。
惹かれあって付き合い出した当初は、バース性も関係ないし、それを知らずに恋の相手を選んだのだから、きっと二人の運命なんですよね。貴方だから好きになった。それが一番じゃないかと思います。ご両親の優しさも素敵でした。うるうる。
もう、めちゃくちゃ良かった!彼らの強くて一途な愛を見届けて欲しいと心から思います。激推ししたいですね。
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