食べないの? おおかみさん。
」のレビュー

食べないの? おおかみさん。

小石川あお

ファンタジーにBL味を振りかけた感じ

ネタバレ
2022年2月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さん。人外BLというよりファンタジー、御伽噺として読んだ方が素直に楽しめるw森の怪物、狼男ウルへの生贄として捧げられたのは、厄介者と虐げられ、満足に食べさせて貰えず痩せ細った太郎。推定4〜5歳児が引きずられるように森に連れて行かれぞんざいに捨て置かれる。この悲惨で痛ましい境遇に心鷲掴みにされるwウルは掌サイズの太郎にガリガリで食べるところがないから大きく育ててから食べると言う。そして太郎はウルに、大事に愛情深く育てられる。身体のお手入れから教養をつけることまで、いつか食べられるための下ごしらえとして至れり尽くせりの日々。円らな瞳で「僕をいつたべる?」「おいしくなってるかなぁ」とか、もう可愛過ぎて辛い。死んだ獲物を見て、いつか食べられる自分と重ねる。愛を知らずに育った太郎にとって、ウルの愛情は父親のそれで、大好きなウルに食べられるなら本望。「食べられるなら厄介者の僕にも価値がある」もう胸抉られるし…あざといw親子愛は太郎の成長と共に恋へと変わっていく。イケメンな人の姿になったウルと太郎のBLが始まる。ドロドロぐっちゃぐちゃ(そんなBLあるのw)なBLに疲れたら読みたい清涼剤のような一冊です。
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