君が僕らを悪魔と呼んだ頃
」のレビュー

君が僕らを悪魔と呼んだ頃

さの隆

問いただされる (作品感想です)

ネタバレ
2022年2月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 犯罪だけでなく、現代のSNS問題にも通づる。
自分が関わっていないのに、正義の名のもとと大勢で他者を批判攻撃する。自分には正義で、相手がどんな目にあってるか考えない、考えられない。それこそ悪なのでは?という事を言われた気がします。

本題としては、たしかに彼は自分の犯した罪に苦しんだ。罪を認め逃げずに生きた様が描かれました。
記憶喪失後の彼の必死に生きたのは認めます。
中で、更生しようとしても周囲が受け入れないから悪魔に戻らざるをえない(再犯する)。とありました。
中には本当に罪を悔やみ立ち直ろうとしてる人もいるでしょう。
でも、その人との関わりがないまま事実を知れば受け入れる事が難しいのも真実であり、自身を守る為の本能であると思う。相手を攻撃しようとは思わないが、疑念の目はなくせない。と私は思ってしまう。

ひとつ気になるのは、彼は記憶をなくせたから後の彼になれたのではないか。海辺で被害者側の気持ちを目の当たりにし、自分の犯した罪を理解しはじめた所で記憶を失った。あのまま自分の罪を自分のものとして行きていて「2度とあんな酷いことをしたくない」と生きれたのか?
記憶がある自分の悪事と、思い出したけれど自覚なく自分がしたであろう悪事とでは違うので。
ある意味彼は一度違う別人になったからこそ更生できた。そうまでならなければ更生はできないのでは…と思ってしまいました。

見えないところで起こる犯罪の恐怖。
なくなって欲しいと切に願います。
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