無力な人々
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無力な人々

西田東

失った後に構築するもの

ネタバレ
2022年2月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ サイキックという非現実的なアイテムを使って現実味のあるストーリー。
西田先生、相変わらずすごいな...とため息しか出ない。

突発的に手に入れた無意味な「力」を持て余す、家庭が破綻している尾崎と心が破綻した過去を持つ沖本。
そして、何も持たない尾崎の息子、修一。
こんな「力」があったって自分は無力だと絶望感漂わせる2人が、その「力」で他人を救うんですね。
沖本が尾崎を、尾崎が修一を。
私は修一の、父親から見ても思い入れがあるようには見えなかったバットへの執着にドキリとしました。
大切にしていることって目に見えてることだけじゃないな、ほんとに。

絶望的だった無力な人々に光が射したかな...の瞬間もこれまた淡々と笑。
最後のオチでいつもなんかホッとします。
(2020年2月/46p)
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