CALL【電子限定特典付】
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CALL【電子限定特典付】

朝田ねむい

萌えもありつつクールな作品。さすがです

2022年2月15日
作者買いしたくなる先生の魅力がこの作品にも詰まってました。表紙の主人公は仕事も大学もない本人曰く「底辺」を貪る男の子。相手は冴えない社会人。実はハイスペックだったりいい人だったり、というギャップもない。共感や応援を得にくい、どこか突き放したようなキャラ設定で物語を作っていく作者さんが格好いいなと思った。そんな二人でありながら、微妙な関係のままジリジリと近づいて絡み合っていくいく様子がリアルで萌えた。物語展開は暗示的で驚きは少なかったけれど、ハイライトからラストまで、展開を畳んでいく過程も興味深く読んだ。欲を言えば、作者さんなら巻数増やしてもっと後半の内容を掘り下げても凄かっただろうな、読みたかったなと思う。それでも、キャラクターの成長が心に響いて読後感は良かった。先生の作品で見られるキャラクターの成長は、単に愛のお蔭とか成功体験ゆえじゃない。不運や不幸がきっかけでもない。強烈な内省が促されるような身を抉る経験を糧に、自ら這い上がるような成長。そこでは冴えないキャラもクズキャラも応援できるキャラに変わり、物語を読み終えた時には彼らに幸あれと願う気分になっている。「マイリトルインフェルノ」の方が予想外な事が多く個人的には好きだけれど、こちらも作者さんへの敬意が更に高まる作品だった。物語重視派にオススメ。星4.5。
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