エリートΩは夜に溺れて
」のレビュー

エリートΩは夜に溺れて

篁アンナ

ドラマティックです

ネタバレ
2022年2月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●久し振りにBL読み出して1年半ほどですが、こちらの作品が最初だったかも。シーモア登録前に紙で拝読しました。オメガバースという世界に触れたのもこれが初めて。個人的なことですが、思い出深い作品です。
●最近は1〜2巻で完結する作品が多くて、私も近頃はそれらを好んで読むので、全4巻が長く感じるのは分かります。また、三角関係のお話なので、そのうちの誰かを嫌いになってしまうのも分かります。でも3人それぞれに抱えてるものがあって、4巻あるからそこがじっくりと描かれていて、読ませるお話だったなと思います。私はCPとしては藤(β)×雪代(Ω)が好きですが、一番感情移入して苦しかったのは雪代の運命の番・柊(α)でした。
●雪代は(というかこの物語の中でのΩは)身体の制御が難しそうです。本能がなかなか理性でどうにかできない。1巻1話目でいきなりほぼ初対面の柊に抱かれるとはびっくり。以降も柊との接触が藤より多いので、許容できないかたもいらっしゃるかも…。
●藤はαの名門に生まれて、αには何も勝てない、どうして自分はβなのかとずっと思ってきて、ようやく自分を必要としてくれる雪代と出会えたのに、彼さえもαに持っていかれそうになる。でも、藤は雪代を諦めません。
●柊は生い立ち(家族の状況)が辛すぎますね…そのせいでΩを蔑み、運命に従いさえすればいいという極端な考え方。雪代に対しても初めはそんな感じでしたが、徐々に一人の人間として愛し愛されたいと思うようになります。
●三人ともが(そうさせる環境だったとはいえ)性別に囚われすぎていて、みんな辛い思いしてる。そんな状況を変えていくのは、性別でも運命でもない、相手を想う心。三人だけじゃなくて、柊の付き人や父母、藤の家族も、皆誰かを想っています。オメガバース初心者の私にとっては、とてもドラマティックで印象的な物語でした。
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