傘を持て
」のレビュー

傘を持て

たうみまゆ

まっとうじゃない世界の男達

ネタバレ
2022年2月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 悪人の才能がないヤクザの息子若様城田と、同級生のインテリ優等生で補佐となる畑中の長年に渡る執着のお話で、学生時代から始まり15年後の逃避行まで、初見では全体的にアッサリめに感じていましたが、読み返す毎に面白くなりました。

「僕の世界はお前がいる場所だけだ」という畑中の自分の全てを賭けて捧げるという一貫した姿勢。城田よりもよっぽど悪やヤクザの世界がしっくりきます。

陽炎編での金本のお話も面白かったです。
金本の人となりが見えてくるとそれまでの彼の行動も頷ける。
金本の面白いものを好む嗜好を捕えて離さないのは、普通じゃない畑中だったが、俺を抱きたいと言う鈴に、こんな事を言われたのは初めてだと面白味を感じてしまう嗜好性癖。
まっとうじゃない男たちばかりですが、それもいいと思えてくる。(笑)

他、傘を持てのプロトタイプ「真面目長屋」の元ヤクザCPの大マジメな生き方を目にして、自分もマジメに生きようと決心する隣人とのお話。

ヤクザと言っても、暴力シーンもライトめで、上層部の人間の思惑や任侠のような執着愛のお話でした。
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