このレビューはネタバレを含みます▼
1冊完結であるのに、読了後のこの充足感よ…たくさんの設定が盛り込まれているのに、散らからずにきちんとまとまっており、なかだるみする事なく一気に読んでしまいました。面白かった〜!おすすめ!オメガバース設定なので不穏な流れになっていくのだろうと構えていたら、序盤からルカが伸び伸び満喫ライフを送り始め、おや、この物語は他とは何かが違うな…?と。
生贄として重い気持ちで村を出たはずが、クロの孤独で途方もないけれど緑を育てるための確かな知恵と直向きな様に感激し、一緒に作業し楽しんでしまうルカの素直で穏やかな性格がまた良きでした。仇と言っても過言ではない人間たちだけれど、大切な人が命をかけて守ろうとした人間。やり切れない思いとともに今までやってきたけれど、ルカと出会い仲を深めていくことで少しずつ浄化されていく様が、クロの表情や言葉の端々から伝わってきました。言い伝えを初めて耳にし、クロの正体が明らかになるシーン、オメガ発症の由来、張り詰めていた気持ちが解放されルカに受け止めてもらえたシーンと無理なくお話が展開し、その後もやっつけではなくきちんとお話の回収がなされており、作者さんに非常に好感が持てました。お見事。
ちょこちょこ挟まれるえっちシーンも丁寧で愛があり良かったですし、我々読者が最後に絶対に読みたい!と思うその後の甘々なお話も余すことなく描かれており、大満足の1冊でした。デビュー作とは思えない出来栄え…これからが楽しみな作者さんですね。次回作も期待しております。