卒都婆小町が死んだ
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卒都婆小町が死んだ

山村美紗

Dear Miss Catherine

ネタバレ
2022年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今回初めて、この推理小説の文庫本を、それもコミックシーモアで購入しました。「卒都婆小町」こと「小野小町」と言えば、百人一首にも登場しています「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」と言う和歌で有名ですね。誠に興味深い話ですが、この和歌、「エースをねらえ!」の原作にも登場しています。「小京都連続殺人事件」のレビューでも説明しましたが、「エースをねらえ!」の原作者の山本鈴美香先生が山梨県出身であると言う事実は、僕たち「山村美紗ファン」の興味を大いにそそる話ですね。なぜなら、彼女も山村美紗氏と同じ「盆地育ち」ですから。山村美紗氏が死の瞬間まで筆を折らなかったのに対して、山本鈴美香先生は「エースをねらえ!」を完結させてから間もなく「7つの黄金郷」などの「未完成作品」を残して筆を折ってしまいましたね。ですから、彼女に「卒都婆小町」と言うあだ名をつけている人も非常に多いでしょう。1作目の「卒都婆小町が死んだ」の「戸羽万知子と言う女優が、愛している市川菊三郎と言う歌舞伎役者を道連れにして自ら命を絶つ」と言うあらすじ、「小野小町」と「深草少将」の伝説そのものでとても面白かったです。「殺人事件」が実は自ら命を絶った事件だったと言うあらすじもとても山村美紗氏らしいですね。2作目の「京都清閑寺殺人事件」の「扇子を使ったダイイングメッセージ」もとても素晴らしかったです。また、3作目の「楊貴妃殺人事件」も高階良子先生の「ピアノソナタ殺人事件」に登場しています、主人公の「姫宮聖子」と言う女の子と彼女の従姉妹の「柳川育」と言う女の子を連想させる内容でとても素晴らしかったです。そして、4作目の「一条戻り橋殺人事件」も大和和紀先生の「あさきゆめみし」同様、「源氏物語」が題材になっていまして大変面白かったです。
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