楽しく明るく、卑下しながらも前に進む





どこを読んでもなんだかおかしくていろんな繋がりや光明を、感じる。
いい時代にご活躍された先生らしいが、恥ずかしながら当時リアルタイムで読んでおらず、私は偶然、ハーレクインコミック(「十二月がくるたびに/優しすぎる花婿」原作グレイス・グリーン、ローリー・ブライト)を描かれたことで、2018年9月に読んでから松苗先生を知った。ハーレクインコミックの描き手は、絵が残念なことが多々あるのだが、絵が良かったことが特に印象に残っていた。(丁寧さが際立っていて驚嘆した。)
アイドルにお目にかかるが如くのエピソードの書きぶりが特にいい。
一条ゆかり先生、内田善美先生、水樹和佳子先生、吉野朔実先生が話に登場するが、何といっても一条先生エピソードが、人となりを鮮やかに浮かび上がらせ心に残る。
この直前に少女向け漫画家としてはパイオニアといえる上田トシ先生についてを描いた、村上もとか先生の「フイチン再見!」を読んでいるため、少女漫画の大輪が幾つも咲き誇った時代、「ぶーけ」誌(私は読んでなかった)という舞台での話は、少女漫画が明るいところに出てきた感じがして、嬉しさも大きかった。
以前から読みたくて実に長い間カートに入れていたが、クーポンが手に入ったのでやっと買った。
自己評価の低い(そういう意味では、十分松苗先生も少女漫画の主人公を地で行くと思うのだが)言葉がずっと並んでいるが、連載何本、という看板作家の辺りで急速にプロの顔が感じられるようになる。
なんだかんだ運も縁も家族も出版社も、全てを味方に付けて、実は実力者とはっきり窺える本だ。
「結」読了。まさかの続編の報に飛びついて楽しく再び少女漫画の「道」に生きている松苗先生の40~60代を読ませてもらった。活躍された同時代に先生の作品を読んでいなかった私も楽しめる漫画愛溢れる書。一条ゆかり先生との素敵な関係も「結」でもそこここに。そして内田先生、水樹先生、吉野先生ほか、素晴らしい交流の跡。謙虚にされてもいい時代に真ん中を歩かれたように感じた。

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