寄越す犬、めくる夜
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寄越す犬、めくる夜

のばらあいこ

私みたいな人間が大泣きしました...

2022年3月5日
まずこの3人の結末が見れて良かった。時間ができてから一巻からゆっくり読み直そうと思いやっと今日最終巻まで読みました。こんなに泣くとは思ってなかった。数時間経った今も最終巻の表紙の3人を見るだけで涙が込み上げてきます。ラストのお話では涙が止まらずページを捲れなくて泣き続けてました。いっちばん最後のページの笑顔の須藤さんを見て声を荒げて嗚咽しながら延々と数分間自分でも泣き止むことが出来なかったほどです。普段からどんな事があっても泣くタイプでは無いし泣くとしても涙がポロッと出て終わり。こんなに大泣きしたのは子供の頃以来かもしれません。まさか漫画で自分がこんなに泣くなんて(笑)流石のばらあいこ大先生!といった感じです。私のような人間の心も揺さぶり大泣きさせるストーリーテラーです...犬のように分かりやすくて可愛くて愛おしい菊池、猫のように気まぐれでミステリアスで怖いのに放っておけない須藤さん。この二人の共通点は"可哀想"である事。しかもそんじょそこらの可哀想なんてものでは無いです。考えつきもしない最悪の連続を経験してきた二人。のばら先生は不憫で可哀想な奴を描くのが何故こんなにうまいのか...何故彼らに過酷で酷すぎる試練を与えるのか...本当に最悪のシナリオのオンパレードです。でもそこが死ぬほどこの作品に生きて来る。可哀想な奴を放っておけなくて愛おしく思う新谷。読んでる途中はこいつが一番クズいよな〜と思っちゃいますが、でもいざ自分が新谷だったら?自分だって二人のこと可愛くて愛おしいと思っちゃうだろうし新谷と同じことをしてしまうと思う。ごちゃごちゃ考えてたっていざ彼らの立場になって考えると、あら不思議。納得せざるを得ないんですよね。確かに自分でもこうしちゃうんだろうな〜って思ってしまう。だからどの登場人物に感情移入しても違和感というものが全くない。これはのばら先生の天才的な才能だと思います。本当に本当にすごい漫画家さんです。この結末ものばら先生らしく切なく少しの報われない気持ちも残る感じ。良すぎて読後数日間引きずるタイプの漫画ですね。この余韻に数日間浸りたいと思います。これは絶対に読むべき漫画です。
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