憂鬱な朝
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憂鬱な朝

日高ショーコ

出会えたことに感謝

ネタバレ
2022年3月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全8巻を読み終え、桂木と暁人の姿が頭から離れません。作品の世界に取り込まれ、夢中になって抜け出せない感覚。いまは「この作品に出会えて良かった」という言葉しかありません。日高ショーコ先生の作品が好きなのに本作を読んでいませんでした。いつか読みたいと思いながら、長編であること、あらすじから勝手につらく苦しい物語を想像し、ためらっていたからです。読むには覚悟が要るな…と。でも、その想像は良い意味で裏切られました。こんなに幸せな物語だったなんて!こんなに恋情に満ちあふれた物語だなんて!確かに苦しい展開は次々訪れます(とくに1巻では、桂木に訳もわからず冷たくされる暁人がかわいそうに思えました)。でもそのたびに、二人が互いを想う気持ちが苦境を打ち破り、物語が動きます。全てが幸せな結末へと見事につながっていくのです。封建的な社会を背景にした重厚な物語だからこそ、二人が愛し合う場面は目に焼き付いて離れないくらい美しくて、エロチックで、ため息がでます。それだけでなく、今を生きる自分にとって励まされる言葉もたくさんありました。10年をかけてこの素晴らしい物語を生み出した日高先生に感謝でいっぱいです。完結した今、読むことができて幸せです。読み終えてすぐにまた1巻から読み返しています。二度、三度と読むほどに感動と萌えと味わいが深まっています。
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