闇金ウシジマくん
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闇金ウシジマくん

真鍋昌平

金を巡る人間の生き様

2011年3月8日
フーゾクくんまで読んでの感想です。それ以降は未読です。
最初の2~3話ずつの短編集、その後の10話以上にわたる長編でそれぞれ随分お話の雰囲気が違います。

短編集の方は、主婦、OL、アルバイト店員など、どこにでもいるごく普通の人々が身の丈をわきまえない借金を背負ったがために闇金に手を出し、どんどん転落していく様を生々しく描いたお話になります。(希望のある話もあります)
絵柄が荒いというか下手ウマ系?と思わせるような感じですが、(長編に入る頃にはびっくりするほど洗練された上手い絵になります)
その初期のぎこちない感じがかえっておどろおどろしさを助長し、恐怖感を煽る要素になってて良いです。怖いです。

長編の方ではヤンキー、ゲイ、ギャル男、風俗嬢などなど、いわゆる「マイノリティー」の皆様がメインキャラとなり、一般人はなりを潜めます。丑嶋社長たちも短編の頃よりは一歩メインから下がった立ち位置で描かれるようになります。
いきなりお話の視点や雰囲気が変わるので、「なんかヤンキー漫画みたい…」「ギャル男…」などお話の最初の頃は敬遠したくなるかたもいるかもしれません。
が!!是非最後まで読んでください。お金をテーマに、いろんな人々の生き様や心の内がリアルに、丁寧に描かれていて、そうなのか~と勉強になったり、生き方は違っても共感できる部分があったりと非常に読みごたえがありますよ。

いろんな「人種」(と言っていいのかな)の人がいるけど、みんなそれぞれ心にいろんな思いを抱きながら一生懸命生きているんだなぁと共感のこもった感動すら覚えてしまうほどです。(犯罪行為には一切共感できませんが)人物描写がとても丁寧で、作者の、登場人物に寄り添うような温かい姿勢と同時に、逆に突き放すような鋭い観察眼を感じます。取材もたくさんたくさんしたんだろうなぁと思いました。
実際にそういう世界で生きている方々がこの作品を読んで、共感できるのか、「んなわけねーよ(笑)」と思うのかは、私にはわからないのですが…。
もちろんそれだけでなく、お金を巡るカウカウファイナンスチームの面々の戦いっぷり、様々な人の思惑がうまく絡み合って怒涛の展開を見せるストーリーもスリリングで必見です。ただし、まさかの鬱展開や衝撃のBadEndが待ち構える話もあるので覚悟しておいた方がいいかもしれません(笑)
非常にはまる、面白い作品だと思います。
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