君にくるまって、【電子限定特典付】
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君にくるまって、【電子限定特典付】

桃子すいか

ほんわかBLかと思いきや…

ネタバレ
2022年3月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●かわいい表紙と絵柄のイメージで読み始めましたが、いやいやこれはなかなか…。虐 待と哀願を繰り返す母親とイオリとの切りたくても切れない繋がりが背後にずっと横たわっていて、BL以上に人間関係について考えてしまうお話でした。
●小さな頃から一緒だったクマのきなこと、徐々に増えた大量のぬいぐるみたちだけが自分の心の拠り所…とイオリは思っていたけれど。寮のメンツがとてもいい!ぬいぐるみに溢れたイオリの部屋を皆が「かわいいじゃん」って言って笑ったところ、(かなり序盤ですが)泣けてしまいました。距離感がすごく良いんですよ…ホント。
●アキはイオリにとって、最初はきなこと同等だったのかな?(さすがに失礼?)一緒に眠ることができてホッとする相手。違うのは、アキから働きかけてくれるところと、アキにも少し傷付いた心があるところ。
●アキはコミュ力が高くていつも明るい。イオリは「全然違う人種」だと感じていたけど、本当はアキも寂しさを抱えてる。「ずっといろんなものを捨ててきた、だからイオリにきなこがいるのが羨ましい」って、嫉妬のような感情をぶつけてしまうシーンは胸がギュッとします。
●心にぽかっと穴のある二人がそれを埋め合うように優しく関わっていく。相手のことをもっと知りたい、知らないところにもっと触れたい…っていう熱量がすごいです。ドキドキする。
●こんな寮があったら私も差し入れしたい…!実は作者さんの『8月のロスタイム』が積ん読状態で…拝読するのが楽しみになりました。
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