怪談ルゥプ
」のレビュー

怪談ルゥプ

矢樹純/加藤綱未

恐怖だけじゃないから読んでみて欲しい

ネタバレ
2022年3月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ なんだろうこの読後感。まるで長いゲームをやり終えたような臨場感と、切なさだった。最初はありがちな怪談ものかと思っていたけど、予想を遥かに上回る作り込まれたストーリーだった。
絶望と希望、戦い、絆。
怖いものみたさに読み始めたはずなのに(実際かなり怖いけど)それよりも主人公達の気持ちに共鳴してしまって、最後に残ったのは感動と少しの寂しさ。
回収しきれなかった伏線?というか、わからずじまいだった箇所はあるけれど、ほぼ一気読みしてしまったことに悔い無し。

ここから少しネタバレになるけど、個人的には同じ日をループするとかめちゃくちゃ怖いので(しかも怪現象つき)読み進めていく上でりん太郎の存在は本当に希望だった。少し抜けてるようなキャラも良!!強くて真っ直ぐな心と正義感で、イケメンとか抜きにしても救いの光。リヴァイ兵長に匹敵する心の支え。
主人公の梓も前向きで、自分にできることを最大限模索しながら試行錯誤していく姿が応援したくなるいいキャラだった。何よりいきなり力に目覚めたり、ご都合主義な能力を与えられないとこもよかった。

絵はとても綺麗で、勢いやスピード感、特に表情が生きてて気持ちが伝わってくるし、メイン要素である怪異の描写も不気味で恐ろしいのにどこか美しさもあり素晴らしかった(たまに身体がおかしい時もあるけど)綺麗なだけの絵じゃなくて、動きのある、力のある絵だと思う。

小説を一冊読み終えた後のような満足感。これを誰かと共有したくて初めてレビューを書いてみました。
稚拙な文章で申し訳ない。
作家さん、素晴らしい作品をありがとう。
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