このレビューはネタバレを含みます▼
楽園の烏で描かれた未来で奈月彦が既に亡いと示唆されていたのだがその場面想像以上につらい…そして明留…気持ちがついていかない。
山内、八咫烏らを護るべく身命を尽くした金烏を弑したのは矮小な権力争いだったのか彼が取るに足らないとしたものたちだったか。
朝廷一の権力を誇りながらも滝本の心を見誤った為に大紫の御前は愛する弟に裏切られ、蜥蜴の巨大な尻尾とされてしまう。
外伝であれほど様々な人々の内面を丹念に描きながら第一作後の藤波、あせびの行末に一切触れてこなかった作者。力を溜めてからの跳躍が半端ない。
「実際に取った行動だけがその者の価値を決める」とは雪哉の台詞だが読後、奈月彦や長束らの父金鳥代を思うと何も語らず、宗家という血筋のみで利用され子を成しただけの一生だが歴史はこのように無自覚な者によって繋がれていると思った。ただ本人は自らを蔑ろにしてきた妻や息子らに一矢報いて非常に満足であろう。