ここはやさしい庭【SS付き電子限定版】
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ここはやさしい庭【SS付き電子限定版】

エンゾウ

涙なしでは読めない

ネタバレ
2022年3月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 値引きされていたので購入しました。く…苦しい…。なんかどっちもかわいそうで痛々しくて二人の幸せを願わずにはいられませんでした。薫は両親を亡くし、夢も希望も捨てて自分一人で弟の護を育てようといっぱいいっぱいになっていたところで護も亡くし、倒れている男を護だと思い込むほど心を病んでいたんですけど、二人で過ごす内に少しずつ現実と向き合って、生きる希望を取り戻していく描写がとても丁寧で美しいです。一歩前進したと思ったら一歩後退する二人の距離感と、弟と思って縋らないと自分を守る一本の糸が切れてしまうのではないかと思うような感覚に緊迫感がありました。一方、男の過去が薫とは違った方面で辛くて、愛されることを知らず、周りの大人から関心も寄せられず、時には痛めつけられ傷つけられ人生を諦めて過ごしていた日々が、薫によって目の前が色づいていくストーリー展開が本当にすばらしい!人を愛するということを知って、自分を見てほしいけど、どんな形であろうと薫の側にいれさえすればいいと選んだ自己の在り方にこちらも胸が苦しくなりました。だからこそ二人を隔ている壁を取っ払って二人が掴んだハッピーエンドがとてつもなく偉大で、涙腺が崩壊したほど。本当の名前で呼び合い、心も身体も繋がって愛し合う二人と幸せそうな笑顔に、私も幸せが爆発しました笑。名作とも言える素晴らしい作品です!薫も読者も愛した男の名前はぜひ本編で!二人の未来を感じさせるステキな名前です。
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