蟷螂の檻
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蟷螂の檻

彩景でりこ

狂愛の最高峰

ネタバレ
2022年3月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ いやいやいや〜読後の余韻が半端無いです。最終巻読後何度かまた一巻から読み返し、お口直しに番外編全て購入&読後また繰り返し4-5巻読み返し、また一巻に戻ってます。旧家、名家もの、ダークで仄暗い物語が好きなので初めて1巻を手にした時はこれは最終巻が出てから一気に読もうと思い、でも我慢できず3巻まで読んでいました。その時点で典彦の坊ちゃん好きにハマり、典彦の数々の非情な仕打ちも含めて彼の狂った執着に抗えない育郎が堪らなかったです。育郎にとってあの家で典彦は唯一縋れる相手だったと思うので、この終わりかたは私はアリです。もう二人だけの世界にどっぷり入ってしまった方がいいんです。心中し損ねた二人が離れ離れになって、檻から出て、それは育郎にとって返って空虚感が増すだけであったと思うのです。再会した時の育郎の笑顔が良かった。あどけなくって。それと対照的に、蘭蔵が檻から出て、言葉も少しずつ話せるようになってさち子と健一と未来を築いていくのは清々しく思いました。飯田君がずっとモヤモヤしているのは可哀想なのか、関わらない方が彼のためかもしれない。某レビュアー様のお陰で雑誌の方の26話も拝見しました。雑誌の26話は甘いです。素敵です。典育ラブ全開、優しくしっとりしていて何度も読み返しています。が、単行本5巻の26話の加筆修正されている方が典彦の渇きが伝わっているような気がします。私は5巻の26話、典彦の「とうにそんな資格はありません」の一言にきました。きゅうっと胸が詰まります。もうこの一言に典彦の坊ちゃんへの想いがぎゅっと詰まっていると思うんです。その後の「今だけです。今だけ〜」も。はぁ、典彦のようなサイコパス攻めにはもう会えないと思うと寂しいやら、こんな攻めに出会う受けはひとたまりもないんじゃないかと脳内ぐるぐるしています。色々な胸に迫る濃い感情を引き出す作品でした。暫く他の作品が読めないくらい、蟷螂に浸っています。数々の地雷がある作品で、ntrや受けの結婚など。でも私は大丈夫でした。多分典彦の生い立ちからくる残酷さの裏に育郎を想う狂った愛を痛いほど感じたからなのか。サブキャラも魅力的だからか。怖いもの見たさにドキドキしながら読み進めていくのが止まりませんでした。最後に、さちこは聡明で気高くって最高でした。作者様、心にくる作品をありがとうございました。お疲れ様でした。
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