にわにはににん
」のレビュー

にわにはににん

中野シズカ

星評価は「庭師の仕事」に対して

2022年4月2日
冒頭の「庭師の仕事」(12ページ。試し読み部分で全部読める)が、素晴らしい。台詞なし擬音のみ、圧倒的な松葉の表現、枯山水から湧き上がる水のイメージ。静→動→静のイメージの運びが完璧で、良質な個人制作短篇アニメーションを見た感覚。BGMに三味線が聞こえます。
ただ、後続の作品にもこれと同じ「イメージの結晶」を求めてしまうと軽く脳がバグります。冒頭以外の作品には、ストーリーを付けようという作者の意思が見えます。やわらかな木漏れ日に似た美しく浮遊感のあるイメージは素晴らしいですが、少し捻った物語があるせいで、地面に引き戻されてしまう。個人的には、浮遊感にまかせてぽーんと空に放り投げてくれる作品の方が好みです。
とは言え不快感の無い話運びなので、合う方は多いと思います。

元々が「アックス」出身の作者さんだそうで、もしかしたら過去作ではイメージ突き詰めタイプのものが見られるのかもしれないなと思っています。
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