世田谷シンクロニシティ
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世田谷シンクロニシティ

本郷地下

受け入れることは大変だ……

ネタバレ
2022年4月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ それは他人はもちろん、自分自身のことも。
今でこそ、一部でなく社会的にやっとLGBTの存在が知られ始めた感じで、色々な性癖がある事が当たり前だという認識になりつつあるけれど……
(その解釈も失礼で違うのかもだけど)
その色々があることを理解することと、
実際に受け入れることは又、別段階の話で。
誰も悪くない、だから切なくて辛かったりするんだな。
本作は、しっかりその辺りを丁寧に描かれていて重いんだけど、何だろう表紙のように爽やかな感じもありつつ、本当に良作です。大好きな作家さん。

主人公は、恋する相手は女性、欲情するのは男性。
もうこれだけで沢山の困難が見えてくる。同性同士でも少数派で大変であるのに、それは比じゃない程の性癖?体質の持ち主。本人でさえ、制御できず持て余しているものを人に理解してもらうなんて、大変以外の何物でもない。
それでも、本人の人柄か、彼の体質を理解した上で付き合っている彼女はいて同棲していたのだが、彼女の転勤を機に家なしになってしまう。大学の友人の伝で使ってない寮部屋を譲ってもらうことに。
その同室者として出逢うのが、やがて彼の体質を受け入れる人間となる人物。周囲からはあっち系と言われていたが、実は彼がバイト先でたびたび目で追っていたタイプの男性、その人でもあった一一一一

すごく自然に体の関係が続き、お互いに自分というものも見つめていく。淡々と、でも自然に二人が近づく感じがとても良い。
一方で、彼女もいい子で二人のラフな付き合いや
エピソードも良い。
彼はだんだん気づいていく、、気持ちと欲情、
そのどちらも一人の人間に対して寄せていることに。

題名もチグハグなようでいて可愛い二人の感じが出ていて面白いし、攻受の役もキャラと合っていてドンピシャで良いし、ストーリー展開や最後の締め方も
はぁ〜好き過ぎて、上手くまとまらん。
大好きです。
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