このレビューはネタバレを含みます▼
ファンタジックでミステリアス、ほんのりBLなお話です。腕の立つ元ヤンらしき板前のトオルは、週末に植木職人の明の部屋で肴を作り、二人で飲むのを楽しみにしています。飯を作るのが好き、食べてもらうのが好き、一緒に食べるのがもっと好きなトオルは、明にふんわりした恋心を抱いています。ただ、何故か前の職場で初めて明に会った時の記憶が定かで無いのでした。一方、庭師の明は普通の職人には扱えない“怪に取り憑かれた庭“を手入れできる手練れです。静の庭に動を与える水や光、風の描写が素晴らしいです。もちろん懐石料理を主としたトオルの作る様々な料理も目に美しくとっても美味しそうです。トオルの前の職場で何があったのか、明はどう関わっていたのか。西から来た庭師の中村友也も気になります。本作とは直接関係ありませんが、作者さまの庭世界が気になった方には『にわにはににん』をお勧めします。BLみはほぼありませんが、庭を巡る奔放なイメージを楽しめます。