あまのぼる夏
」のレビュー

あまのぼる夏

rasu

儚くも美しい旋律

ネタバレ
2022年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 心震えた。泣いた。
作中に出てくる梶井基次郎氏の『Kの昇天』からタイトルの天昇るとかけているのでしょうか。
自分はrasu先生の描く登場人物達の人柄が好きなのです。

圭と博実には悲しい結末が待っている。
博実はこの後また苦しみに耐えねばならない。
けれど今その瞬間ごとに二人で喜びを分かち合えれば良いのだ。
人生は刹那的だからこそ「時は金なり」という諺を思い出させてくれる作品。ラスト場面からフランツ・リストの『愛の夢』第3番が頭の中で流れてきて、詩的なイメージと結びつきました。物悲しくも美しい旋律を奏でてくれたrasu先生にスタンディングオベーションで敬意を表したいです。
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