このレビューはネタバレを含みます▼
話としては、身一つで異世界に放り出された主人公のサクセスストーリーみたいな感じで、ありがちな内容だが良かったと思う。
ただ、気になる点がいくつかある。
まずは、異世界の文化レベルに配慮していた主人公が、親しい人の一大事とはいえ、あっさりと自分のルールを曲げて傭兵部隊を転移させた点。
緊急とはいえ、あっさりしすぎじゃ…。
その際に転移された傭兵部隊も、軍人は基本的にリアリスト、プラグマティストが多いが、転移なんて現実離れしすぎた事態に粛々と対応しているあたり、どれだけ肝が据わっているのか、順応力が高すぎて違和感を感じる…。
その後の、地球各国の諜報機関を巻き込んでの交渉も、諜報員らがお行儀よく並んで座っている絵面がシュール。
相手が転移能力持ちとしても、小娘一人に振り回される諜報員らが非常に稚拙に見える。
最後に、領地での会議で、村唯一の商店に閉店を求めるあたり。
応じなければ、直営店出すよという主人公の脅し。
これが見方を変えれば、大型店舗出店により、経営が危うくなる地方の商店街みたいに見えて、主人公のやり方に反感を感じてしまう。
効率と合理性を考えれば正しいかもしれんが、人間の生活はそれが全てではないしな…。