このレビューはネタバレを含みます▼
「おまえでダメならもうダメだ」がすごく好きな作品で、スピンオフ楽しみにしていました。
前作で背景はかなり濃そうなものの、不思議な人で終わっていたミトさん、本編の前日譚である今作を読んでみたら、思っていたよりもずっとずっと強い人で驚きました。
自らの暗闇を破るための鍵となる幾を自分で見つけ、隣に並び立つことで己を救い、同時に幾のことも救っていくという。勇気ある最高にカッコいい人でした。
最初は控えめで縮こまっているような印象でしたが、幾をそばに置くことでどんどん背筋が伸びていき、終盤は凛とした姿がとても美しかったです。
強さの中に柔らかさもある、剛柔を併せ持った非常に魅力的な人でした。
幾はふわふわとした掴み所のない人だと思っていましたが、実は痛みのわかる人。自分が救われた思いを継ぐように、八斗や玲音の心に寄り添うのに胸がギュッとなりました。
逃げることはダメなことと捉えがちですが、逃げても構わない、逃げるのも時には必要と肯定してくれているのがとても優しいなと思います。
あとがきによると、まだまだ二人のエピソードがありそう。また濃密な同人誌集が出てくれると嬉しいな。