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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 君に降る言の葉は【単行本版】【シーモア限定特典付き】

    イズミハルカ

    青春の繊細さに惹きつけられる
    ネタバレ
    2024年10月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 繊細でピュアな学生らしさがとても良かった。自分にとっては遥か昔のことだけど、イズミハルカ先生の描く高校生たちの熱さと焦燥は、一時あの頃に還してくれるようで、すごく好きなんだよねぇ。青春ど真ん中の剥き出しみたいな雰囲気が胸をざわめかせて、気恥ずかしくもあり懐かしくもあり、わーっと叫び出したい気分になる。

    自分の気持ちを言葉にして出すのってすごく難しい。まだ経験も浅い中高生なら尚更。口に出しても出さなくても苦しくて、そんな言葉を持て余しながらも懸命に向き合っている二人の真っ直ぐさが心に響きました。溢れ出る言葉と感情の表現がとても素敵です。雪の冷たさや静かさ、桜吹雪の美しさなど、自分もその場所にいるかのような臨場感のある描写も好きでした。
    読み終わった後はとても優しい気持ちになって、私ももっと言葉を大切に使おうと思った。青春期を乗り越えて少し大人になった二人が、これからは一緒に、大事に言葉を紡ぎ合っていくんだろうなぁと思ったら、とても温かい気持ちになりました。
  • メルティホワイトアウト[コミックス版]

    鯛野ニッケ

    真樹の一途さがたまらない!
    ネタバレ
    2024年10月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 一話目から引き込まれた。無自覚人たらしの攻めととにかく一途な受け、最高でした!
    真樹がとにかく可愛くて、本当にもう一途過ぎて、読んでいて胸が苦しくなる程です。辰さんの気持ちもわからなくはないけど、なんであんなこと言ったのよーと悲しくなってしまった。よく頑張ったね、真樹。辰さんの元に帰れて本当に良かった。
    やはりニッケ先生はいいな。流石の一言。真樹の心情はビシバシ伝わってくるし、出会いから現在まで積み重ねてきた想いの描写もわかりやすく、とてもよく纏っていました。演劇部分も面白く、いろんな感情を味わいながら読めて満足です。
    途中どういう落とし所がいいのか、二人はどうなるのかと思っていたら、結末も納得のいくもので良かった。辰さん見直した!そしてやっぱりカッコいいなぁ。真樹の気持ちがわかってしまう。
    読後感も爽やかで、二人共が前に進んでいく先を感じさせる終わり方好きでした。
  • どちら様が愛を告ぐ

    仁嶋中道

    なんて誠実な物語なんだ!
    ネタバレ
    2024年7月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ いろんなことを深く考えさせられる、さらりとは読めないお話です。
    仁嶋先生はいつも人の心、気持ちを大切に描かれる作家さんですが、今作も隅々にまで気遣いや思いやりが行き届いていて、やるせない展開にも不思議に心安らぐような物語になっていました。
    友情でも愛情でも人が相手の事を真剣に思う時、こんなふうに心を傾けて向き合っていくんだなと、その誠実さに救われるような思いがしました。
    私も彼らの思いをしっかりと受け取らなきゃと、言葉や表情はもちろん表に出ていない部分まで感じ取りながら、最後まで大事に大事に読みました。
    仁嶋先生の作品は気持ちの描き方がとても繊細なので、その一つ一つを取りこぼすことなく拾い上げたいと思わせるんですよね。こちらの読む姿勢まで変えさせる。こういう作品ってなかなかないんじゃないかと思います。

    渚には言わないことはあるけど、それは千波のことを思ってのことで、彼らはお互いにずっと真摯に接し続けています。信頼関係を築いていく中で惹かれあっていくのがとても自然で、家族との悩みや苦しさの陰で寄り添っていく心にとても癒されました。絶対に嘘つかないって約束するって言葉がすごく良かった。
    別れも後悔もあったけど、最後には千波自身が納得のいくところに落ち着いて、読後は温かいもので胸がいっぱいになりました。
    仁嶋先生は本当にストーリー作りが上手いです。毎作品一筋縄ではいかない入り組んだ関係を描きながら、一つ一つを丁寧に解いていき、前向きに歩き出すところまで、一冊できっちりと纏め上げて感動の余韻を残す。この手腕、本当にすごいと思います。仁嶋先生やっぱり好きです。
  • 俺のポラリス

    仁嶋中道

    心温まる優しい作品
    ネタバレ
    2024年6月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ もともと好きな作家さんですが、この作品でますます好きになりました!心の琴線に触れまくる。この先もずっと仁嶋先生を追い続けていきます。

    今作のテーマは「代理旅行」。
    代理旅行とはいろんな事情で旅行へ行けない人のために代わりに旅行をするんですが、この代理旅行がどれもとても素敵。まさにオーダーメイドの旅で、一つとして同じもののない心尽くしの旅が一話ごとにしっかりと描かれていて読み応えあります。代理旅行が二人を結びつけるだけのただの装置になっていないところにも感心しました。一つ一つの旅に先生の細やかな心遣いが感じられて好き。世界を広げるって本当に素晴らしいことだなぁと思わせてくれます。

    南さんも巡も自分の気持ちにも相手の気持ちにも真摯に向き合っていくところにすごく好感が持てます。
    依頼者のためを思いながら代理旅行を重ねていく中で、巡が少しずつ成長していく様を見ているのもとても清々しい。それもこれも巡が南さんと出会ったところから始まっているっていうのが本当に素敵です。
    インドアで自分に自信もやりたいこともなかった巡だけど、とにかく真っ直ぐで一生懸命。自分にできることを精一杯頑張ろうとするのがとても良い。その上素直に自分を慕ってくれるんだからこれはもう惚れるに決まってる。南さんが巡を可愛くてたまらないという目で見てるのを見て、こちらもたまらなくなりました。優しくて大人で、でも完璧なわけではなくて、落ち込んだ時には純粋な受けに救われてたりする、とても理想的な攻めでした。
    読み終わった後、ほっこりと心が温まる素敵な作品。お勧めです。
    あ〜まだまだ二人のいろんな代理旅行が読みたかったなぁ。続編希望です。
  • ためしにコマンド言ってみた

    ゆくえ萌葱

    こんなDomSubものが読みたかった!
    ネタバレ
    2024年3月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これは新しい感覚が味わえるDomSub!こんなに明るくて可愛くて楽しくて、幸福感が前面に出るDomSubものがあるんだぁと感心した。
    DomSubにはダークで重めなイメージがあったけど、この作品は一味違う。こんなふうにカラッと気持ち良くDomとSubの関係性を楽しめるとは。ゆくえ萌葱先生すごい。男らしい二人の対等な関係性。DomSubものの新境地だなぁととても面白く読みました。
    なんでコマンドが効くのかと二人で疑問符を飛ばしながらも、理解するより先に体が惹きあって、満たされちゃってるところ、最高に笑えるし好きです。
    だからと言ってただのコメディ押しという訳でもない。コマンドを言う方も言われる方も両方同時にホワ〜っとして力抜けてる姿にものすごく癒される。DomとSubの満たされるっていう感覚が、初めて実感を伴って胸に落ちたかもしれない。
    全面的に受け入れられる安堵感。これ程の相性の良い相手がこんなに身近にいた。この多幸感たるや。

    そして何よりコマンドを受けてる方のマサがめちゃくちゃカッコいい!
    強いDomのはずの自分がSub側に回っていても全く卑屈になることなく、オトを全身で受け止めて、素直に気持ち良さを口にできる。器がめっちゃデカいんだなぁと感じた。これも強さだし、その柔軟さにオトと一緒に惚れてしまった。オトが憧れ続ける気持ちがよくわかる。
    マサが側にいればオトは大丈夫という安心感がすごくて、オトをよろしく頼むよという気持ちになった。マサ男前すぎるよ〜、好きだ。
    最後に明かされた出会いから現在に繋がる二人の関係もすごくいい。こんなの見せられちゃったら、もうね!読後感まで最高でした。
  • 巧みなKISSで受注して【単行本版】

    加藤スス

    受けの全てがツボだった!
    ネタバレ
    2024年2月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 受けが男前すぎて倒れそう…。最高に好きだ。優しくて男らしいだけじゃない、色気もバッチリで時に切なさも漂わす。魅力的すぎる受けだった。
    それに反して広瀬がちょっと小者っぽく感じてしまうのだけど、頑張ってるのに報われないのがどこか不憫で憎めない。下手するとただの感じ悪いキャラになりそうなところ、なぜか段々愛らしく見えてきて、結果、二人とも可愛くて最高でした。
    付き合い始めてからのラブラブとかもうたまらんかった。二人とも恋人になると重いのサイコー!後半ずっとニヤニヤしてました。デレデレをたっぷり見せてもらえてありがたいです。
    受けの安達がクールそうに見えてエロエロで、実は広瀬が欲しくてたまらないところがギャップで刺さった。男前とエロ可愛いのって両立するんだな。スス先生すごい。
    いつもは包容力抜群なのは攻め!って思ってるのに、安達が見た目も言動も全てがツボすぎて包容力ある受けって素晴らしい〜!と開眼してしまった。
    最初はタイプが違うこの二人が噛み合うのかなぁ?と思っても、最終的にはちゃんとお似合いだなぁと思わせてくれるのが先生の手腕。「24時間オチないKISS」の徳良と滝沢もそうだった。ちょっと癖あるキャラ同士を組み合わせて、ああここにツボって離れられなくなるんだろうなぁと感じさせるのが本当に上手い。
    気になるところはうやむやにしないタチの広瀬のお陰もあってモダモダせずテンポ良く、読後感も良かった。「24時間〜」が好きだったからこちらはどうかなと思ったけどすごく満足しました。
  • 群青ハレーション

    noji

    ピュアさに心洗われる
    ネタバレ
    2024年2月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ あ〜ものすごく良かった。これめちゃくちゃ好きです。
    noji先生のDKものは初めてですが、高校の部活の先輩後輩の良さが最大限に発揮されていました。作者さん買いでしたが、先生の作品の中で一番好きかもしれない。青春の眩しさとピュアさに心洗われました。
    3人での写真部の活動がキラキラで素敵すぎて、青春よ、終わらないでという気持ちになります。このままずーっと読んでいたかった。それくらい心地良かった。
    恋ももちろん同時進行なのだけど、部活動の方に重きが置かれてるのが良かったなぁ。
    お互い好印象なのはわかるんだけど、なかなか恋愛にはならないんです。普段ならそれをもどかしく思ってしまうところ、この作品はそれが全然物足りなく感じなかった。
    写真部の活動の中で一緒に楽しさ嬉しさを味わって、お互いが心惹かれる存在になり、それが恋愛になっていく流れがものすごく自然なんです。
    なんならお互い想い合ったまま先輩後輩でいてくれてもいいと思ったくらい。それくらい二人の空気感が好きだった。
    こんなに気持ち良くときめかせてくれる作品久々かも。
    この作品の良さは言葉では上手く伝えられません。DKが好きでピュアピュアを堪能したい方はぜひ手に取って欲しいです。
  • カメレオンはてのひらに恋をする。

    厘てく

    圧倒された!
    ネタバレ
    2023年9月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 発売を楽しみにしてた厘てく先生の新刊。期待大で読んだけど、全く裏切られることはなく、むしろすごく良くて感激した!
    動の漫画です。そもそも漫画は絵で動きを表現するものだけど、通常の10倍くらい動いている!と感じた。でもそれがうるさいわけじゃなくて、目まぐるしく変わっていく光景に惹き込まれてワクワクする。次は何が飛び出してくるんだろう、何を感じさせてくれるんだろうと、読みながらずっとドキドキしてた。こんな作品初めて。とても新鮮で面白い。
    絵でこれだけのことを表現できるんだ。絵の表現力って無限なんだなぁと感動した。テーマと合わせ、すごい意欲作だと思います。

    「伝えたい」という気持ちは誰もが持っていても、「伝わった!」と心の底から実感できることはそうないのかもしれない。
    特に伝えたい欲が人一倍あるのに、表現が大仰過ぎて俳優としては評価されないフジナガも、明るくて余裕ありそうに見えて実は伝えるためにいつも必死なケイトも、2人とも伝えたいことがたくさんあって、でも理解されずもどかしい思いをして。そんな二人が出会って、わかり合おうとぶつかっていく。
    違う言語を持つ二人だから時に戸惑う事もあるんだけど、決して諦めずに伝え続けようとする、その懸命さに胸が熱くなった。
    お互いに聴こえていたって気持ちなんかそう簡単にわかるもんじゃないから、ハンディがあればそれは尚のことだと思う。それでも二人は不安な時こそちゃんと目を合わせてお互いをしっかり見る。勇気ある2人でいて、そこに恋の照れ臭さやドキドキが混じるのがとても良かった。
    とにかく始終2人の目の力強さが印象に残る。画面から溢れ出る伝えたい!という熱量に圧倒された。
    片方だけが影響を受けたり助けられるんじゃないところがいい。懸命に伝え続けた2人の想いが通い合って、最後は幸せな気持ちになった。
    2人の恋も夢も始まったばかり。これからどう広がっていくのかとても楽しみ。
  • 2と車【電子限定描き下ろし付き】

    虫歯

    音楽で惹かれ合い、もう離れられない2人
    ネタバレ
    2023年9月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ めちゃくちゃワクワクする最高の音楽漫画。虫歯先生やっぱりすごい。独自路線を突っ走っててすごく面白かった。
    人間が嫌いで音楽を愛するソロシンガーが、運命のギタリストに出会って価値観も自分の世界も一変させられてしまうお話。この2人の関係性が最高に素敵です。
    全く違うタイプの2人なので、最初もっと反発するのかと思いきや、2人のやり取りは驚くほど穏やかで優しい。引き寄せられるように自然にハグしてるのが愛おしくて、2人と一緒にこちらまで高揚感でいっぱいになりました。
    美しさこそ至高と思っていた二兎さんが初めてかっこいいと思ったのが来間の音楽であり来間自身。それは今までの自分の全てを覆すほどで、ここまで人を変えてしまうって、出会いってすごいなと震えました。

    しかし音楽では通じ合っても、感情ばかりはそうも行かなくて。後半すれ違ってる2人にはめちゃくちゃ苦しくなりました。二兎さんが来間の音楽も何もかも全部含めて好きになっちゃってるのを目の当たりにしてるからめっちゃ切ない。前半はキラキラと夢のような展開でどっぷりはまり込んだからこそ、後半はかなりしんどかった。
    それでも来間は、二兎さんに出会うまでどんな音楽でもこだわりはなかった訳で、一番は音楽と言っても、それは二兎さんとやる音楽が一番であることは間違いないはず。例え恋愛感情は二兎さんの方が多少重かったとしても、やっぱり2人でやる音楽が至高で、お互いでしかあり得ない関係なのだと思いました。
    それぞれ違う道を歩いてきて、偶々行き合ってバチッと嵌まった、唯一無二のニコイチバンド。二人の興奮ともがきと相手を強く想う気持ちを300ページたっぷり見せてもらえて満足です。音楽と共にこれからも二人で歩いていくんだろうな。ああ二兎さんが幸せになって良かった。
  • オオカミくんは襲われたい

    柊のぞむ

    攻めの優しさがめちゃくちゃ刺さった
    ネタバレ
    2023年9月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで惹かれて読んだらやっぱり良かった。
    普通とは微妙にズレた少しだけ変わったキャラの二人で、不思議なテンポの作品でした。
    顔を合わせてすぐ踏み込んでいくスピード感、どうした!?と思ってたら突然止まったりしてしまうし、言うことやることちょっとチグハグにも感じてしまう。でもそれも瀧の中にはちゃんと理由があって。
    魅せ方が上手くて心情はしっかり伝わってくるので、置いてけぼりになることもなく、独特なペースで進む2人を楽しめました。イケメンなのに不器用でいじらしい瀧くんが本当に微笑ましくて可愛い。

    なんと言っても惹きつけられたのは、シンゴの登場時とのギャップ!やばい男だと思ったら、めちゃくちゃいい男だった。
    瀧の今までの男達が酷すぎて暗い気持ちになったので、いい人好きになったねぇ。ばあちゃんの人を見る目はやっぱり確かだ、と感激してしまった。これまでいい思いをしてこなかった受けが、攻めに当たり前に優しくされて、大事にされるってこういうことなんだって気付くのが好きなので、シンゴの誠実さにもうキュンキュン。めっちゃ刺さりました。瀧くんが幸せを感じられるようになって本当に良かったよ。
    最後はもうちょっとだけ2人のイチャイチャが見たかったなぁ。バンドメンバーも瀧くんの友達もいい奴ばかりで癒されたし、幸せでほわほわしてる瀧くんがもっと見たいので、ぜひ続編お願いしたいです。
  • 雪と墨

    Marita

    魂で惹かれ合い繋がる
    ネタバレ
    2023年8月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ うわぁこれはすごい。壮大でいて繊細な心震えるストーリー。ずっとドキドキしながら3冊一気に読んだ。
    途中どう決着がつくのかなかなか読めないんだけど、最後まで読んだらもうドラマチックでロマンチック。すごく好きでした。
    緊張感と穏やかさが混在しているような不思議な感触の物語です。登場人物は一見淡々としているようで一人一人の胸内は熱い。

    初めは転生とタイムトラベルの合わせ技なんて、何て挑戦的な作品だろうと思ったんですが、物語の主軸としてこの二つがしっかりと絡み合い、最後は輪になって結実した。すごすぎる。二人の最初の出会いの場面で思わず声が出てしまった。

    転生ものもタイムトラベルものも好きでよく読むけど、どちらも非常に難しいテーマだと思う。少しでも齟齬が生じると、ストーリーが良くてもそこで引っかかったりしてしまうから。それぞれ一つだけでも難しい題材を同時並行なんてと思ったら、これがもうお見事としか言いようがなかった。
    しかもすごくわかりやすい。ストーリーを捻るあまり難解になってしまったり、どうにもすっきりしない所があったりなんて事がままあるのに、この作品は複雑な設定も読みながら自然に理解できるしすんなり頭に入ってくる。作者さんはかなりの力量の持ち主だと思います。全3巻で無駄なエピソードが一つもないのもすごかった。

    転生者たちの転生の理由がものすごく優しい。荒唐無稽な話の中ですごくいじらしくて可愛くて、このアンバランスさがなんだかものすごく好きでした。
    もしかしたら本当にこんな人たちがいるのかもと思わせるリアリティがあった。二人の勤めている会社が一番ファンタジーだったかも。
  • 発情トーキングマシン330

    りーるー

    お洒落でもカッコよくもないところがいい
    ネタバレ
    2023年8月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ すごく良かった!
    お笑いBL結構読むけど、かなり満足度の高い良作でした。

    トリオの中心にいたモーちゃんが急死し、残されたやる気のない「じゃない方」芸人の椎葉と モーちゃんに頼り切りだった上、常時男が必要な松尾の二人が、コンビとして再生していくストーリー。

    松尾がかなり癖のある人物で最初はあまり好きになれなかったんだけど、読む進めていくうちに、お笑いの才能と男がいないと立っていられないしょうもなさの中に可愛げが感じられて、モーちゃんが愛想尽かさず守ってきた気持ちがわかってきた。
    曲がりなりにも10年芸人やってきたにも関わらず、何の気概もなくてぼんやりしている椎葉の方にも魅力は感じられなかったけど、二人切りになったことでようやくお笑いと相方に向き合い、まさに覚醒。不器用にがむしゃらに、必死になっていくところに心打たれた。ただの冴えない男だった椎葉の頑張りに拍手。
    全くお洒落でもカッコよくもないんだけど、悲哀と情熱が入り混じった熱さと人間らしい泥臭さが胸に染みた。最後には爽やかさすら感じさせ、最終コマには胸がいっぱいになった。
    周りを取り巻く人たちも味のある人物ばかりで、りーるー先生は人間を描くのが上手いなぁと改めて感心。読んで良かったです。
  • こたえてマイ・ドリフター

    大島かもめ

    読後ずっしりきます
    ネタバレ
    2023年6月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙の上品であたたかい雰囲気のイメージで読むと衝撃を受けるかも。
    最初は大人の小粋な恋のやりとりから始まるのですが、どんどんその穏やかさが刹那的なものだとわかっていき、胸が締め付けられていきます。
    過去と現在を行き来しながら流れるように展開していくストーリーで、途中直視できないような悲惨な出来事もありながら、お互いを求め合う心の絆までしっかり描き出していて、これをよく一冊にまとめたなと思いました。

    行き着く先は幸せな結末とは言えないです。でもこの先ずっと二人は離れないだろうことはわかる。
    読後ずっしりときて、もう少し環境が時代がどうにかならなかったのかと遣る瀬ない気持ちにはなるけれど、不思議と暗い気分にはなりませんでした。安息の日々は訪れないかもしれないけど、二人は子どもの頃からの夢を叶えたんだと思うから。
    この二人は一緒にいることが何よりも幸福なんだろうということがヒシヒシと伝わってきて、それだけで優しい結末だと思えました。
    最後はすごく後引く幕引き。あと少し彼等のその後が見たかったと思うけど、少しでも心安らかな日々をと願って終わるのがいいのかな。しばらく世界に浸ったまま、彼等の未来に思いを馳せてしまった。
  • 仕事おわりのランデブー

    草間さかえ

    甘い草間さかえ先生も好きだ
    ネタバレ
    2023年6月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ はぁすごく好きだった!なんだぁこの空気感。主人公二人が出会って数日間のお話で、ストーリーは特別凝ったところはないのに、キャラ造形がしっかりしていて、ただ二人が仕事して交流していくだけの一日一日がものすごく濃密。
    言葉を交わして目を見交わすだけで二人が常ならぬ感情を呼び起こされてるのが伝わってくる。出会ったばかりなのに、抵抗感のない不思議な距離感がたまらなかった。
    二人が自然に引き寄せられるように惹かれあってるのを、違和感なく表現してるのがすごい。
    一見爽やかそうに見えて思いっきり色気が漏れ出てる二人を、たっぷり堪能させてもらいました。
    最初無愛想なイケメンだと思った久慈が、どんどん可愛らしくなり、最後には飼い主に纏わりつく賢い大型犬みたいになってたのもツボ。大好きなのが溢れてるの最高だった〜。

    二人の周りの職場の人たちもリアリティあり、地に足ついた世界の中で繰り広げられるストーリーが安定感抜群で面白い。本当にある街を覗いているように楽しめるのがさすがでした。
  • Hしたくないので友達とつきあいます【コミックス版】

    未散ソノオ

    ただのラブラブカップル!
    ネタバレ
    2023年6月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 大好きな未散ソノオ先生の新刊です。単行本になるのを待てなくて単話で途中まで読んでました。纏めて読んでもやっぱり面白い。
    タイトルはちょっと捻ってますが、自覚なしラブラブカップルの話です。側から見たらただのバカップル。Hしたくないとか言いながらめちゃくちゃキスするんですよ、この2人。たとえ酔ってたって絶対無理な相手とはキスできないよねー。

    付き合うってなった時点で、運命の相手かってくらいに二人がピッタリきてるのが伝わって来るんです。
    フィジカルな触れ合いでものすごく癒されてるし、心地良いからとどんどん接触が深くなってく。
    それを二人とも抵抗なく、前向きに捉えて進んでいくので、最後までニヤニヤしながら見守れました。
    Hまでのイチャイチャが、これでもかってくらい堪能できて素晴らしかったなぁ。キスだけで満たされる〜みたいなベタ甘のイチャイチャ大好きなので、それを存分に味わえるだけでも価値ありました。

    大きい攻めと小さい受けというのはよくあるけれど、ムッチリ分厚い攻めとガリガリ脂肪なしの受けという体型差がデカいカップルというのもありそうでなかった気がして面白かったです。
    デイリーエブリーの皆さんも微笑ましくて良い。正当に評価されず燻ってた犬塚が認められてスカッとしました。
    甘い雰囲気と二人の軽妙なやりとりを楽しみながら、最後まで気持ち良く読める作品です。とっても満足しました。
  • 食べたくなっちゃった【電子限定描き下ろし付き】

    小畑つねちか

    甘さあふれる日常が最高
    ネタバレ
    2023年5月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ とにかく甘〜い作品でした。絵やあらすじから想像していたもの以上の甘さにびっくり!
    正直これまでの10年間はどんなふうに過ごしていたんだろうとか、お互い好き感情はあったのかなとか気になることはあるんですが、そんなのどうでもよくなるくらいラブラブな作品でした。
    すごくエロいって訳じゃないのに全編空気がピンクな感じで濃厚なんですよね。
    二人の初々しくも甘々なやり取りにこれでもかってくらい攻撃されました。完全にやられたなぁ。この甘さいつまでも摂取していたい、と思わせられました。

    2人が体をつなげていく過程を日常の日々として描いているのが、新鮮でありとても素敵。2人の関係や愛情がどんどん深まり尊くなっていくのをリアルタイムで見せられているようでとても幸せな気持ちになりました。ここまでお互い大好きなんだねー!って素直にストレートに伝わってくる作品も珍しい。
    正反対のタイプなのに、これ以上なくしっくりくる2人を存分に楽しませてもらって最高でした。
  • その世のどこか、蒼天のゆりかご【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

    鯛野ニッケ

    満を持してのリアとシン
    ネタバレ
    2023年5月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公が恋においては脇役となるこのシリーズ。歳の差、他の人が入り込めない絆、長年のひたむきな想いなど好きな要素がいっぱいなのですが、いろんな出会いを経て自由奔放だったシンも成長していく訳で、とうとう彼自身が主役となる時がやってきました。この日を待っていた!
    恋の傍観者であった時はグイグイと間に割り込み、お節介を焼いていたのですが自分の事となると一体どうなるのか、とても楽しみにしてましたが…やっぱりシンはシンだわ。有無を言わせない強さに痺れました。

    リアはずっとそばにいたけど、道を外れそうにないこの従者がどうやってと思っていたら、実は結構重い人だったのにビックリ。こんなに追い詰められていたとは思わなかった。近過ぎるのも辛いとこあるよね。
    シンにとっては生まれた時からそばにいるから、それが当たり前で息するよりも自然なことだったんだよね。
    何の抵抗もないところにキュンとしたけど、一人苦悩してたリアは可哀想だった。いや〜しかし、ここまでの関係は築きたくてもなかなか築けないものだよ。
    この二人の場合、すでに恋なんて超越しちゃってて、そんなものを飛び越えたこの二人にしかあり得ない関係性が特別感あって良かった。
    初めから机上の学問だけじゃなくて広い世界を自ら見聞きしようとするシンは魅力的ではあったけど、ただの奔放で好奇心旺盛な王子から、自覚と積み重ねた経験、そしてリアによってひと回り大きく頼もしい男に成長して感無量。
    最後はシンらしくドタバタで終わるかと思いきや、かなり甘くなってて満足。普段カラッと明るい元気キャラが目一杯愛されてるのいいな。
    シリーズ通してロマンチックで、唯一無二感ある関係性を楽しめてとても良かったです。
  • Borderline

    木原音瀬/小野浜こわし

    二人が辿り着いた先
    ネタバレ
    2023年5月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 少し前に購入していたんですが、木原音瀬先生の作品は気持ちに余裕がある時に読まないとと思っていてタイミングを測ってました。
    しかし気になってちょっと覗いてみましたら、あっという間にグイグイ引き込まれ、最後までノンストップで読了してしまいました。だって先が全然読めないんだもの。ラスト近くになってもこれちゃんと納得して終われるのかなと心配になるくらい結末が見えない展開で、途中途中でこうなるのかな〜と想像した私の浅慮などは全く及ばなかった。

    主人公は全く噛み合わない二人。
    ガレとジャックは性質も生まれ育ちも考え方も何もかも違うから、これは交わることはないわとガレと一緒にこちらも何度も絶望してしまった。
    それでもちゃんと最後は二人には確かにこれだなというエンドを迎え、読後ほんのりと心が温かくなり、不思議な幸せ感に包まれた。
    木原先生の力量やっぱりものすごい。知ってたけども。

    いろんなことがあったけど、一つ一つのエピソードがこの二人には必要だったんだなと思える。これも間違いなく一つの愛の形だと思った。
    キラキラした素直な恋愛ストーリーでは全くない。でもこの少し風変わりな物語を見せてもらってすごく満足した。木原先生は異次元だなぁ。ああこんなBL小説もあるのかと先生の幅広さに舌を巻く思いだった。とにもかくにも非常に面白く有意義な読書時間でした。
  • でたらめダミーフレンズ【コミックス版】

    イクヤス

    最高のフレンズ
    ネタバレ
    2023年5月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「ド腐れダンディーズ」のスピンオフ。
    おバカで軽い、ノリの良い若者二人のお話?と思って読んだら、そんな単純な話ではなかった。後半でタイトルになるほど〜ってなります。
    結局名取は守られた場所にいるお坊ちゃん。周りに甘やかされて生きてただけかぁと思うんだけど、反発心の強い多感な時期に、萩原みたいな人と出会えて本当にラッキーだったね!とちょっと羨ましくなった。
    萩原は懐広くて男気あって、神経は細やかで本当にいい男だよ。正直名取にはもったいないと思うけど、深く考えず明るいノリで青春をやり直せて、萩原は本当に嬉しかったんだろうな。
    なんだかんだ相性の良い二人だと思うので、これからもわちゃわちゃ楽しく生きていってもらいたい。
    イクヤス先生の作品は、やっぱり優しさで溢れているなぁ。
  • ミィユは死んだ恋人を喚び戻したかった【単行本版特典ペーパー付き】

    阿仁谷ユイジ

    ラストの幸福感に大満足
    ネタバレ
    2023年5月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 阿仁谷ユイジ先生の新作は、美しい絵とファンタジー世界を楽しむ異世界もの。胸にグサグサくるような展開はなく、ふわふわとして可愛かった!
    タイトルから切ない話かと思いながら読んだら、ものすごく甘くてハッピー。結末どうなるのかドキドキしていたら、ウルトラハッピーエンディングで大満足です。
    自分の持ってるもの全てを犠牲にしても喚び戻したかった恋人。ミィユは全てを失ってしまったけど、それが不幸には繋がらず、恋人との新しい生き方に繋がったのに、こちらまで充足感でいっぱいになりました。

    大きすぎる代償には慄いてしまったけれど、ミィユにとってはこれが最上級の締め方だったんだなと、後から染みてくる。読み終わってほうっとため息ついた後に襲ってきた多幸感のデカさに、ユイジ先生やっぱりすごいと思いました。
    ミィユのしたことは正しかったし、結果一番幸福な形になったんだなぁ。
    ミィユが本当に美しくて、読んでて目が喜んだ。綺麗で可愛いだけじゃなくて、浮世離れした天然な感じとウブなのにエッチなところなど、てんこ盛りのミィユを堪能できて、こちらも満足。
  • 凪がれ星 【電子限定特典付き】

    ミギノヤギ

    心地良い空気感に惹きつけられた
    ネタバレ
    2023年5月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初めて読む作家さんでしたがすごく好きでした。読んでよかった。絵もストーリーも雰囲気も好みにドンピシャ。
    もう一目で気に入って、最後までとても気持ち良く読ませてもらいました。この一冊ですっかり作者さんのファンになってしまった。

    まず絵の表現の細やかさが好き。一コマ一コマが繊細で美しく、文字に頼らず絵で表現しようという心意気が伝わってきました。
    普段はどちらかと言うとモノローグ重視派ですが、今作では絵に注視。少し懐かしさを感じさせる、琴線にふれる絵で、1ページごとに惹きつけられました。
    ストーリーはもう一歩踏み込んでもいいのかなと思うところもありましたが、それによって優しく心地良い世界が完成されていたのでこれでいいと思いました。

    天惺の一途さと、若さからくる熱さと男らしい包容力のバランスがすごくいい。槇人さんも美しさだけじゃなくて、柔らかで朗らかなところが魅力的。
    火傷の痕というハードな下地がありながら、それを救い上げつつ爽やかに纏めていて良かった。この空気感好きだー。
  • 山小屋にて

    菅辺吾郎

    わぁ可愛いよ〜!
    ネタバレ
    2023年5月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シンプルで無骨なタイトル。ドキドキワクワクのBLが始まりそう!とはならないかもですが、ものすごく癒されます。ああいいもの読んだなぁとホクホクして、自然に笑顔になっちゃう感じ。

    いろんな思いを抱えながら山に登る山本が、登山初心者のクマを助けることから始まるストーリー。
    全体的にまったりしてるんだけど、二人の関係がするりと始まって、いつの間にか一緒にいるのが当たり前になってるところがすごく好きです。とっても可愛い二人。並んでる姿に和みます。
    全然洗練されてなくて、不器用でちょっとデコボコしている、二人の独特なペースが何だか不思議と心地いい。

    いつも鬱々としている山本だけど、まぁ皆んな心の中ではいろんなこと思ってるもんよね。別にそれでいいんだと思う。それでも大事な人には隠したままで分かり合えないなんて嫌だから。最後には胸の中吐き出せて、心がスッキリ少し軽くなってて、本当に良かったなぁと泣けてしまった。
    会社であんまり上手くやれなくても、自分にはこれがあると一人で山に登る山本は、ある意味しっかりしてるし強いなと思う。正直で開けっぴろげで、感情の振り幅も愛情表現もでかいクマが合ってる。
    いつまでも見守っていたい、最高にほっこりさせてくれる二人でした。後日談見れたら嬉しいなぁ。
  • Gotcha! ~距離感ゼロな極道の乳首が今日も誘惑してきます~

    里西立樺

    ハッピーコメディ
    2023年5月21日
    めちゃくちゃ勢いあるヤクザコメディ。パワフルですごく面白かった。
    実はヤクザ、雄乳というワードにはあまり惹かれないのですが、好きな作者さんなので読んでみましたら、満足感すごかった。
    組長の虎前がとにかく魅力的。後先考えず自分の身を危険に晒しても人を助けられる人で、これに爆乳の包容力が合わさったら、そりゃ惚れちゃうよね〜と納得しちゃう。
    作者さんは硬派な中に温かさがある、割とかっちりした作風のイメージだったのですが、今作はかなりのギャグ、エロ押し。それがバチッとハマってました。コメディも上手いなぁ。
    テンポ良くて笑える上に、人物描画がしっかりしていて最後まで楽しく読める。主人公二人以外のキャラも良かった。
    おバカなんだけど愛が溢れていてハッピー感が強くて、読後感も最高でした。ラブコメで明るい気持ちになりたい方におすすめ。
  • 52ヘルツの共振【電子限定描き下ろし付き】

    早寝電灯

    早寝電灯先生らしいオメガバース
    ネタバレ
    2023年2月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ やっぱり早寝電灯先生は裏切らない。
    先生初のオメガバース作品ということで期待値マックスで読み始めましたが、今作にも包み込むような優しさと凛とした強さの両方を兼ね備えた、先生らしい空気感があってとても良かったです。
    ロマンチックで温かくて可愛いくて、本当好き要素しかなかった。ずっとドキドキきゅんきゅんしながら読みました。
    オメガバースだけどすごく優しい。今まであまり見なかった独特の雰囲気の作品です。先生独自の解釈と膨らませ方がすごくいいと思いました。

    高校の同級生の再会ものですが、高校時代からずっと想いが続いていて、その延長線上に再会と成就があったところがとても好き。
    オメガの白根は自分の意志で体をコントロールできないことをマイナスに捉えているけど、共鳴するのは全然ダメなことじゃないと思えたし、ただアルファとオメガだからじゃなく、この2人だから惹き合うんだという2人の特別感が感じられてとても素敵でした。2人が響き合ってる姿がもうキュンキュンです。

    清成が顔にも態度にも全面に愛が溢れ出ちゃってるのに、とても誠実なところもすごく良かった。白根のこと好き過ぎるし、白根の心も体も丸ごと守ってくれそうなところ最高にいい。
    登場人物の心情を大事にし、愛に満ちた世界を作り上げる先生の作風やっぱりツボだわ。
  • また明日会えるよ【電子限定描き下ろし付き】

    奏島ゆこ

    読んで良かった、満足度高い作品
    2023年2月25日
    作者さんの言葉選びがとても好きだー。
    大仰なセリフじゃないのに、トスッと胸に刺さる言葉がたくさんありました。
    ナチュラルなのにしっかり心に響くってすごいと思う。

    失恋したばかりの男とノンケの男で、普通ならちょっと無理ある展開だなと思いそうなところ、この作品ではお互いが相手に惹かれていく気持ちがよく理解できる。心の動きがとても自然で丁寧なので、ああそうなるよねって2人の恋に寄り添いながらとても気持ちよく読めました。
    絵もストーリーも一見地味な雰囲気なのですが、癒されるしときめくしで満足度高いです。
    なんか良すぎて、キュンとくる関係性を描くのがものすごく上手いなぁと感心してしまいました。
    描き下ろしでめちゃ甘いのも最高でした。
  • 僕はキミと恋がしたい【単行本版】【コミックシーモア限定特典付き】

    木田さっつ

    DKものの良さが詰まってる
    ネタバレ
    2022年11月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ぐわぁ、これはもうヤラレタ〜って感じです。
    木田さっつ先生のDKもの。キラキラ!キュンキュン!ドキドキ!
    高校生らしい憧れや真っ直ぐな想いなど、DKものの良さが詰まってて、期待以上のときめきにすごく満足しました。

    学校という枠の中で自分らしくいたいともがいてる様に胸が苦しくなるんだけど、そんな日々の中で出会った相手によって少しずつ光の方へ、救いの方へ転がっていくというのがすごく素敵。
    二人の不器用さや必死さが眩しくて、ギュンギュン胸に突き刺さりました。
    お互いがお互いの存在に救われていくというのが好きなのですが、こちらはまさにそれ。
    颯汰の前に咲真がヒーローとして現れたのかと思ったら、颯汰自身も咲真のヒーローだったというところに胸が熱くなりました。
    二人はこの多感な高校生のタイミングで出会えたのが良かったんだなぁとしみじみ。

    話の流れはDKの王道と言えるかもしれませんが、やっぱり木田さっつ先生は見せ方が上手いんだと思います。
    心理描写が丁寧だし展開が見事で、彼らの想いにすとんと共感しながら心震わせられました。
    ああいいもの読んだ〜という読後の満たされ感が半端ない。
    目映い男子高校生に弱い方には是非おすすめです。
  • 日々、君

    小池定路

    すごく好き
    ネタバレ
    2022年11月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ なぜか恋愛未満の日常系漫画なんだと思い込んでて、気軽な気持ちで読みました…ら、嬉しい誤算です!
    読みながら何これめっちゃ好き!!めっちゃいい〜!!ってなりました。
    単なるライトBLではありませんでした。
    とある劇団を舞台にした、様々な思いや言葉を大切に紡いだ繊細な物語です。
    4コマ形式なんですけど、とても細やかにそれぞれの心理描写がされていて、ページ数以上に読み応えがありました。

    主人公の二人の関係については、作中のほとんどの部分で恋愛としては描かれてはいないのですが、たった一人だけを気に掛けて、一緒にいる時間が心地良くてって、完全に特別でしかない。当てはめるとしたら恋しかないよねぇと思えます。
    そんな二人のほっこり優しいやり取りが全編に溢れていて、キュンキュンが止まらないんですわ〜。
    一見イケイケなのに真面目な好青年のいつきと、イケメン脚本家という肩書なのに穏やかなさとるさんという、正反対のように見えて同じ空気感を纏っている二人というのがまたいいんですよねぇ。
    控えめでのんびりした二人が、夢を追いながら少しずつお互いの思いを伝え合っていくところがすごく好きです。自分まで大切な言葉をもらっているような気持ちになりました。

    ページ数の割にお値段がちょっと高いのですが、セール中の今ならきっとお得感を感じられるんじゃないかと思います。
    私は恋愛面を期待しないで読んだせいもあるのか、すごく満足しました。
  • ネコ×ネコ

    たつもとみお

    二人で作り上げてきた最高の関係性
    ネタバレ
    2022年11月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ほっこりリバのネコ×ネコシリーズも4巻目で大団円。
    最終巻にふさわしいハッピーエンドで、ここまで読んできて良かったなぁととっても幸せな気持ちにさせてもらいました。

    このシリーズは受け攻め決まっていたカップルが、受けの成長に伴いリバになるという、BLではあまり見ない設定がリアル感あって好きでした。
    リアルと言っても赤裸々な感じではなくて、普通にそこら辺に暮らしていそうな、自然な男性同士のカップルという雰囲気がとても良かったんです。
    ストーリーは穏やかなトーンで進むので、劇的なことは起こらないのですが、お互いの気持ちを尊重しながら自分達だけの、二人にとって最善の関係を作っていくところがすごく素敵でした。
    敬太が大きく育って対等な関係になっても、智史は敬太にとって憧れでカッコいい先輩のままだし、智史はいつまで経っても敬太が可愛くて仕方ないという、昔のままの関係性が残っているところがすごくいいんですよねぇ。
    シリーズ中では2巻目の過去編もとても好きでした。

    先を見据えて将来のことまで考え、周りの理解も得ていくという、とても丁寧でしっかりとした描写に好感が持てます。
    相手を思いやり信頼を積み重ねてきた二人を、最後まで見守れて本当に良かった!
  • 夜明けのリトルマーメイド【電子限定描き下ろし付き】

    上野ポテト

    じわじわ染みる心地良さ
    ネタバレ
    2022年9月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 上野ポテト先生の新刊。独特な世界感に心惹かれ、作家さん買いしています。今度は何を見せてくれるんだろうとドキドキさせてくれる作家さん。
    今作は不思議なテンポ感のある作品でした。
    二人の言葉も行動も、微妙に噛み合わなくて思うようにいかないし、こうなるんでしょという方向に全然ストーリーが進まない。予想以上に時が開くし、えっそれでいいの?と心配になるくらいマコトは自主的に行動を起こさない。なのにそんな二人の長い時間を掛けた邂逅が読んでて心地良いという不思議。
    一読では全てを飲み込めなくて、読み終えてすぐ二回目読みました。これは後からじわじわ染みてくるタイプの作品かなと思います。
    感情の起伏が激しくなく穏やかなので、一見淡々と進んでるように見えるのですが、読み終わった後は充足感でいっぱいになりました。

    二人の間には約束も何もない。ただ何度も偶然に再会するだけ。これは確かに運命なんだなって納得するくらいに。
    自然に流れて二人が辿り着いた先がそこならば、それが彼らにとって一番正しい形なのだろうと思いました。
    信章は感情を読むのが苦手で共感しにくいタイプだけど、マコトが無理して合わせているわけではなく、ただ一緒にいて居心地いいだけ、ただ彼に惹かれるまま想い続けてるというのがとてもいいと思います。
    きっとマコトはこんなふうに、一生想いを寄せ続けていくんだろうと容易に想像できる。それはとても心温まる幸せな光景だなと思いました。
  • とめどなく、シュガー 【電子限定特典付き】

    児島かつら

    すごく良かった!
    ネタバレ
    2022年9月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 児島かつら先生の作品、「サースティ・ハイ」は好きで何度も読み返しているんですが、「ファイブコーナーズコーヒー」は引っ掛かるところがあり、あまりハマれなかったんです。
    「FCC」のスピンオフであるこちら、読むか迷ったんですがすごい高評価なのと、「泣ける」という言葉が気になって読んでみました。

    うん、なるほど。これは高評価も頷けます。初っ端から遠距離恋愛になるという特殊な状況を活かしたストーリーが読み応えあり、すごく良かったです。
    1話からずっと、そこかしこに切なさとときめきが溢れていて、ものすごく引き込まれました。
    会うたび想いが募り仲が深まっていく過程と、重要なところが擦り合わせできていないまま進んでいく不安定さが同居していて面白く読めます。
    恋の始まりのキュンキュンの部分とシビアな現実の部分と両方味わえるのがとても良かったと思います。

    特に上巻はお互い大好きでどんどん大事な存在になっていく二人にときめき止まらず、萌える言葉やシーンがいっぱいで心震えました。
    結構エチ多いし、言うこと赤裸々でエロいんだけど、なんか爽やかなんですよね。離れていても二人が真っ直ぐに想い合ってるのがわかるから、すごくピュアに感じました。

    下巻は、現実を見つつも急かすことなく待っていた敬太と怖がって逃げていた理一の正念場。正直自分のことばっかで理一にはかなりモヤりましたが、ここぞという時の敬太が男前で痺れました。
    実は敬太だって余裕あるわけではなく、不安に揺れる時もあるけれど、それでも恋には真摯で情熱的なところが最高にいい男で好きでした。
    ラストは心安らぐハッピーエンドでほっとします。
    敬太が幸せになった姿を見ることができ、読んで良かったです。
  • 子持ちΩと彼とカレ

    ヤマヲミ

    1巻で号泣、2巻でほっこり
    ネタバレ
    2022年9月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻初読時に号泣してしまったこの作品、2巻発売を機にもう一度読み返してみたら、またボロボロ泣いてしまいました。
    何がそんなに泣けるのかって、早世してしまった元番のαナオの愛の深さにです。
    主人公の千広は一人で幼い子を育てているΩで、貧乏で苦労してて、理不尽な思いもいっぱいして、生きて行くのが本当に大変なんですが、そこではなく、ナオの切実な思いにやられてしまった。
    運命の番だったΩとそのお腹の子を残して逝くのは本当に辛かっただろうなと思うと、死んでもなお何としてでも守らないとと奮闘するナオに涙が止まりませんでした。
    しかも本当は自分が守りたいのにそれを他の人に託さなければならない切なさ。苦しい。
    しかしこのナオの強い想いがあったからこそ、直太朗は変われたし二人ともが救われたんだと思うと、ナオよくやった、ありがとうという気持ちになりました。
    攻め二人とか想いが分散するんじゃないかとモヤる方なのですが、この三人の場合は引き継いだというか融合したというか、どちらも切っても切れない関係なので、これが一番自然な形なんだなと素直に納得できました。
    一人で頑張ってた千広に、単純に新しい相手ができたという訳でなく、確かな愛があった上に、さらに愛が増えて倍になったと思えて、大きな幸せを感じました。

    2巻ではファミリーのその後が描かれています。
    1巻ではクールだった直太朗が「番大好きべた惚れα」になっていて、激甘ににっこり。愛が重いの最高です。
    絆深まる家族愛編という感じで、安心して読めました。
    幸せいっぱい愛いっぱいで心をほこほこ温めたい方は、ぜひ2巻もどうぞ。
  • モノローグ・オン・ザ・リバー【コミックシーモア限定版】

    村上キャンプ

    恋は素直になったもの勝ち
    ネタバレ
    2022年9月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 単話で1話読んで、纏まるのを楽しみに待ってました。
    今作は悲喜交交の思い出のある道頓堀を舞台に、昔の想いが再燃する再会もの。
    正反対の二人が織りなす、未練がだだ漏れの元さや話がとても良かったです。

    開けっぴろげで、気持ちがそのまま口からボロボロ出てしまう濱内と、反対に素直になれず本心を隠してしまうたんまち。
    二人ともリアルにいそうな親近感が湧く人たちで、しょうがないなぁとか不器用だなぁと思いながら、見守るような気持で読みました。
    交互の視点でそれぞれの心情が味わえるのが良かったです。
    恋ってもどかしくてみっともなくて、ちょっと可笑しいんだな。
    時に必死になったり、逆に断ち切ってしまったり。そんな恋心のままならなさや恥ずかしさがよく表れていて面白かったです。
    かなりモダモダしたけど、一貫して相手への想いが変わってなかったのが良かったな。
    そしてゆっくりペースで修復される二人の関係にあまり期待をしていなかったら、エチもしっかりあって嬉しい誤算。最終話のほとんどを使う程ページ数あり、ラブラブも堪能できて満足でした。
    恋の諸々が詰まった味のある作品。村上キャンプ先生やっぱり好きだな。
  • 【単話】孤独の王子様

    三田六十

    久しぶりの作品嬉しいです
    2022年9月14日
    三田六十先生の「俺はニーチャ」も「紅椿」も大好きです。
    新しい作品が読めたらいいなぁと思っていたので、こちらを見つけて嬉しくて、即購入しました。
    久しぶりの新作、絵がさらに素敵になってます。
    優しい柔らかなタッチで、目を引く華やかさと繊細さを感じます。どこか色気もあって、すごく惹きつけられました。
    コミカルな部分もあり、可愛らしさとほっと和む空気感が素敵。
    こちらは読み切りのようで、ほわっと優しいラストが秀逸です。
    物足りなさはなく、強がりさんと強引くんという正反対のベクトルの二人がピタリと合いそうだなぁと明るい未来を予感させてくれます。
    こちらの続きが読みたい気もしますし、また先生の長編も読めたら嬉しいな。
  • 転生したらBL漫画の世界だった件【単行本版】

    Mりあ

    笑顔で読めちゃう
    ネタバレ
    2022年9月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 陰キャのBL漫画家が自分の描いた漫画のキャラに転生して、自分の理想を詰め込んだ主人公キャラに恋するというお話。
    異世界転生もので主人公やその相手役に転生するのはよくある気がしますが、ここで転生するのは当て馬。しかも作者の思い入れがほとんどないクズキャラという発想がとてもユーモラス。
    ストーリーもサクサクとテンポ良く、コメディタッチで進むので読んでてとても楽しかったです。

    ヤ リチンの当て馬だった篤史が、童貞オタクの鉄男に代わることで、純情男として魅力を発揮していくところがすごくいい。
    ギャグっぽいノリですが純愛なんです。受けへの想いは純粋で、必死に頑張ってるところにすごく好感が持てました。
    鉄男は前世では不運だったけど、これは確実に転生して良かった。以前より絶対良い、幸せな人生を掴んでますね!

    ストーリーに難しいところはなく、サラッと読める感じですが、作品の陽オーラが強くて読んでて明るい気持ちになります。
    ラストの大団円がとてもハッピーで、読後感花マルでした。
  • タマシイもあげる

    雨隠ギド

    和みたいならこのシリーズ
    2022年9月7日
    「あやしの湯ももいろ美人」のスピンオフとなっていますが、正確には続編かな。
    前半に狸央と鬼村の出会いなれそめ編がありますが、それを下敷きにしてのメインストーリーが前作の続きになっているので、「あやしの湯ももいろ美人」から続けて読んだほうがいいと思います。
    前作の柔らかい雰囲気はそのままに、少しファンタジー色が強くなっていて、ストーリーはしっとり感が増していました。
    相変わらずの癒し効果抜群の作風に和みます。
    前作で好きだった乙丸×七尾のキュンシーンがあったのが嬉しかった。この2人を見てると本当にほこほこする〜。
    雨隠ギド先生の作品の登場人物たちは、みんな男らしいのにどこか弱さと可愛らしさがあってやっぱり好きだなぁ。
  • あやしの湯ももいろ美人

    雨隠ギド

    癒しの湯でほっこり
    ネタバレ
    2022年9月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 雨隠ギド先生の作品が好きなのですが、その中でもまったりほっこりする優しい空気感の作品に最近特に惹かれます。
    こちらのシリーズはその最たるもので、まるで温泉に浸かっているかのようにのんびりゆったりさせてくれ、めちゃくちゃ癒されました。

    妖と人間が共存する町の銭湯を舞台にした不思議ファンタジー。
    妖と人間が対立したり反目し合ったりしない、お互いが緩やかに混じり合ってる心地良い空間です。
    人間の七尾は人におべっかを使ったり自分を取り繕ったりしない真面目で純粋な人で、妖の乙丸は一見ぶっきらぼうで無骨な感じの人。
    表紙の絵を見て、この2人で萌えるかなぁと思ったのですが、これがびっくりするほど可愛くてめっちゃ萌えた。
    不器用にゆっくり寄り添っていく2人が、ほんのり体温を上げていくような恋がいい!
    タイトルからセクシーなお話かと思ってたんですが、全然違いました。
    読んでるとほっこりと力が抜けて、ゆるゆると心がほどけます。お疲れのときにお勧め。
    スピンオフの「タマシイもあげる」も読みます。
  • シンデレラリバティ

    本郷地下

    先の読めないゾクゾク感
    ネタバレ
    2022年9月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作品を読むときに、結構レビューやネタバレを見てしまう方なのですが、これはネタバレしちゃいけない雰囲気がありありと漂っていたので、そのまま読み進めました。
    これが大正解。自分の勘を信じて良かった。
    始まりから不穏でサスペンス風味があるので、ドキドキしながら一気読みが吉です。
    全く先が読めない、予想がつかない展開で面白かった。久しぶりにハラハラしながら物語を追う面白さを味わいました。
    こうなるんだろうなぁというのが全くない作品というのがすごく新鮮でした。
    不穏なんだけど、誰も声を荒げたり暴れたりしない。
    みんな水面下ではいろんな感情が渦巻いているんだろうけど、表層はとても静かで淡々としているのでそれが余計に怖かったです。そっと背中を撫でられるようにゾクゾクしました。

    ラストはこの設定だったらもっとドロドロの恐ろしいエンドにもできたと思うし、それをちょっと期待して構えてたところもあったんですが、そこは救済がありほっとする読後感でした。
    敦也の靴職人という職業がとても効いてました。新たな道へ一歩踏み出すには靴は絶対に必要な物ですものね。
    希望を感じるラストで良かったと思います。
    とりあえず平穏が訪れて、2人の本当の人生はここからだなと思いました。
    できればこの先の、靴を絡めた2人のエピソードももっと見たかったなぁ。
  • 石橋防衛隊(個人)

    ウノハナ

    榛名の一人防衛活動が面白過ぎます
    ネタバレ
    2022年8月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 続編を先にレビューしてしまいましたが、こちらがまだでした。
    続編はラブ強めでハッピーですが、前作のこちらも榛名の強烈な片想いが最高に面白いですよ。

    まず防衛隊に(個人)と付けるウノハナ先生のセンスがたまらなく好きです。
    ほんとーっに、個人活動なの。
    「隊」なのに個人なんですよ。ただ守るんじゃなくて「防衛」なんですよ。
    武士のような見た目と言動でありながら、頭の中はいつでも航一色、お花畑状態なのが本当に笑えます。
    だからと言って国防を軽んじてるわけでも適当にしてるわけでもなく、航の守りたいもの、航を取り巻くもの全てを丸ごと守るという榛名が好きです。
    一人防衛活動が面白すぎて、このままずっと一人で密かに守っていて欲しいと思っちゃったりして。想いが通じたのは本当に嬉しいのだけど。
    化け物なみの体力と精神力で航への愛は莫大。決してズルいことはせず男気あるのが本当にいいです。
    男らしい告白とその後の成就に動揺しまくる榛名にニヤニヤが止まりませんでした。
    キラキラ目映く可愛い航も必見。(個人)と(公認)、ぜひ合わせてどうぞ。
  • 石橋防衛隊(公認)【単行本版】【シーモア限定描きおろし特典付き】

    ウノハナ

    ブレずに防衛し続ける榛名が最高に好き
    ネタバレ
    2022年8月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「石橋防衛隊(個人)」の続編です。
    たった一人の人を個人的に、国防なみの意志と力で守るというぶっ飛んだ発想が最高に面白かった「(個人)」ですが、公認になっても榛名は全くブレてなかった!
    相変わらず航の危機はレーダーなみの正確さとスピードでキャッチ。いつでも全力で守り、両想いになっても全く気を抜かない榛名にめっちゃ笑わせてもらいました。
    榛名が強固で無敵な、優秀過ぎるほど優秀な男なので、この先何が起ころうと、どんな(恋)敵が現れようと、航は一生安泰だなぁと思いました。
    生涯防衛し続ける榛名を想像するだけでニヤけてしまいます。

    「(個人)」の一人防衛活動を大真面目に敢行するという発想のインパクトと比べると、「(公認)」はソフトになっていたかなと感じましたが、クセ強のキャラたちが次々と絡んできて、最後までワチャワチャと楽しかったです。
    4年間の厳しい訓練と規律を乗り越えて、晴れて卒業を迎えた二人。未来の約束までしたりして、笑いだけじゃない爽やかさと感動まであって、読後感最高。
    明るく笑えて楽しくて、やっぱり大好きな作品です。
  • くりかえしあいのおと

    野白ぐり

    ハグ多めで癒される〜
    ネタバレ
    2022年8月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ もともと好きな作家さんですが、今回は表紙の二人の表情に惹かれて購入しました。ほわんと温かく柔らかくて、これだけで幸せ〜ですが、中身もその雰囲気のまま、とっても優しいストーリーでした。

    人間関係が上手くなく、心身共に疲弊して田舎に療養しに戻ってきた指揮者 桐と実家の八百屋を手伝う、距離感なしで桐に関わっていく修との物語。
    これがもうねぇ、超〜可愛かったです二人とも。
    とにかく最初っからずーっと無自覚にイチャイチャしてる。えっ知り合いじゃないんだよね?とは思いましたが、なんかもう二人でくっついてるのがたまらなく可愛いくて、いいよいいよ〜全てOK!ってなりました。

    特に居丈高に見えて実はものすごく繊細な桐さんがめっちゃ愛おしい。
    愛して支えてくれる人がいないとダメダメちゃんなので、まるで子どもみたいなんだけど、それが放っておけない感じで、ずっと修に抱きしめられながら生きていけばいいよって思いました。
    二人がハグで何よりも心地良くなっているのが伝わってくるので、こちらもふわぁっと心が解けるんです。
    いい大人がこんなに可愛くていいのか?というレベルの可愛さでしたが、めちゃくちゃ癒されました。
    あ、ハグだけでなくエチもありますよ。これも二人らしいイチャラブで満足です。
  • 割れたカップを戻すには【単行本版】

    ヲリコリコ

    温かい涙がこぼれます
    ネタバレ
    2022年8月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ すごく良かったです。癒され心洗われました。
    神経を尖らせることの一切ない、優しいお話なので、パワーダウンしている方にお勧め。
    私の疲れていた心にもものすごく効きました。

    あらすじを見ると入れ替わり?タイムリープ?とドラマチックな展開を想像してしまいますが、ストーリーはとても穏やかです。
    センセーショナルなことは起こらず、ただいつも通りの日常が流れています。
    10年一緒にやってきた仲良しカップル。すでに家族同然なのですが、本当の思いがなかなか口に出せず、いまいち噛み合っていない。
    そんなもどかしい二人の気持ちを紐解いていく、温かいお味噌汁のようなお話でした。じんわりと心に染み渡る。すごく優しい気持ちになります。
    後半はもう涙がこぼれて仕方ありませんでした。

    何年も一緒にいると、切っ掛けがないといつもの自分を変えられなかったりするんですよね。良くないなと思っても、まぁいいかとお座なりにしてしまったりして。
    不思議な一日は、二人が最善の形へと前進するために必要なものだったんだなぁ。
    照れや臆病を取っ払って、安心を手に入れた二人の安定感たるや。
    これ以上ない幸せを見せてくれてありがとう、と感謝の気持ちでいっぱいになりました。
  • 君と生きられるなら死んでもいい【単行本版】

    赤いシラフ

    転生ものとして話の構成がお見事
    ネタバレ
    2022年8月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 転生とかタイムリープとかのSF設定が好きで、見つけると即ポチしてしまいます。
    名作も多い中、設定が特殊な分複雑になり過ぎたり、いまいち設定が活かし切れてないなぁと思う事もあるんですが、こちらの作品はとてもわかりやすい上、ストーリーが非常によく練られていて良かったです。
    何となく先は読めましたが、作者さんの独自性とこの世界への熱量が感じられて、最後まで面白く読めました。
    出だしがなかなかにドラマチックで、畳み掛けるような怒涛の展開にワクワク。何度出会っても愛し合う、崩れない強固な絆を感じられたのも良かったです。

    ただ、この長い苦しみの物語を一冊に収めたせいか、1000年の重みまでは感じられなかったかなぁ。
    壮大な設定に感嘆しただけにそこだけちょっと残念。
    1000年もの間抜け出せず、何度繰り返してもダメだったのに、今世で割とあっさり解決してしまったなぁという気もしたし。
    上下巻くらいにして、もっと過去の英心の葛藤や焦燥、気が狂うほどのループが描かれていたら、更にずっしり胸にきたかもと思いました。
    しかし、祝の光を感じる明るさには救われたし、英心の祝が好き過ぎるゆえの描写は面白くて良かったです。
    転生ものとして破綻なく、見事にまとめ上げたのもすごいと思いました。
  • 消えた初恋

    アルコ/ひねくれ渡

    最高の恋と高校生活♪
    ネタバレ
    2022年7月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ とうとう完結してしまいましたね。
    明るく笑えるハッピーな作品で最後まで本当に楽しませてもらいました。
    真っ直ぐに一生懸命恋してる彼らを見てると心が浄化されるので、今まで何度も読み返していましたが、今回1巻から9巻まで一気読みしてみましたら、ああやっぱり最高に面白いなぁとしみじみ思いました。
    ゆっくりでも確実にステップを上がる二人の恋が、可愛いやら愛しいやら。少女漫画にBLを融合させた作品としては大成功だったのではないでしょうか。
    少女漫画とBL、どちらの良さも最大限に活かされていて、何度もキュンキュンさせられました。
    特に「好き」さえもわからなかった井田の成長ぶりにはただただ感嘆。
    どうやって終わるのかなぁと思っていたけれど、9巻とっても良かったです。
    二人が仲良しでものすごく癒されました。一年半の間にこんなにしっかりした絆ができていたんだなぁと感無量でした。
    今は最高の恋と高校生活を見せてくれてありがとうございます!の気持ちでいっぱいです。
  • ピンクフィルムプレイ【電子限定描き下ろし付き】

    さとう蜂子

    新庄がいい男過ぎます
    ネタバレ
    2022年7月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ AV撮影現場が舞台の監督とゲイビモデルとのお話。
    試し読みのみでも感じた、新庄の爆売れタチの説得力がすごい。
    長身の良い体で、ムンムン男臭さが漂ってるのにネコ役の子にはめっちゃ優しくてスマート。
    突如監督兼受けモデルになってしまった瞬にもグイグイ攻めるけど、気遣いがあって、全部任せても大丈夫と思わせる包容力にキュンとしました。

    前半はゲイビの撮影現場が多いのではだか率高し。
    しかし無理やりにモデルをやらされたとかではなく、どんどん甘くなっていくイチャイチャエッチなのでほわほわんと幸せ気分になれます。ただのエロではなくちゃんと愛が垣間見えるのがいい。
    後半は本当に自分のやりたかったことを思い出し、夢へと思い切って踏み出すところにスカッとしました。そこが二人の出会いに繋がっていてジンとします。
    新庄は実は能力高くて行動力もあるとか本当にいい男過ぎるわ。二人で理想の作品が作れて本当に良かった。
    ただ終盤自分でレーベルを立ち上げてからがちょっとバタバタしていたので、そこをもっとじっくり見せて欲しかったなぁ。瞬の目指していた恋人同士のような愛あるビデオもぜひ見てみたかった!
  • 無花果さんは花が咲かない 【電子限定特典付き】

    神戸ゆみや

    一途なスパダリα
    ネタバレ
    2022年7月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 事故で両親を亡くしたα少年を夫を亡くしたΩ刑事が引き取り、家族として暮らす中で恋心が育っていくというお話。
    幼い頃からたった一人を思い続ける少年が、そのまま想いを一切ブレさせずにスパダリに成長するっていう設定がすごく好きなんです。
    どんなに周りからモテモテだろうと、一途に年上Ωを追い求める愁人のいじらしさが良かった。
    亡くした夫を忘れなくてもいいと無花果さんの気持ちを思い遣るところも泣けました。
    ただ、出会った小学生の頃から社会人になるまでを一冊に収めているので駆け足なのは否めなかったかなぁ。
    一つ一つのエピソードをもっとじっくり読めたら良かった。感情移入し切る前にどんどん進んでしまうので、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。
    最後も突然のヒートでなし崩しではなく、しっかり気持ちを話して通じあってから結ばれて欲しかったな。お互い惹かれあっているのはわかるけども。
    傷を負った二人が幸せになり、いい出会いだったんだなと感じられて読後感は良かったです。
  • 漁師はエビで、愛を釣りたい

    ムコQ

    海と魚と愛とエロと
    ネタバレ
    2022年7月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 海と水族館のある港町と大らかな町の人々。そんな風通し良く心地いい空気の中で育まれる歳の差愛。
    漁師見習いの青年と魚マニアの美おじ獣医との漁師BL、すごく良かったです。
    攻めのユーサクは動画配信もしちゃう明るい今どき漁師で、魚オタクのちょっと変わった先生との魚繋がりの二人のラブが、新鮮ですごく面白かった。
    前作はナマズだったし、作者さん水生生物がお好きなのかな。

    魚の生態の豆知識と新鮮な魚を使った美味しそうな料理、一途な愛とエロがストーリーに絡められ、爽やかながらも濃厚な一冊になってました。
    ユーサクがどんな環境でもやっていけそうな生きる力があるところがすごくいい。バイタリティあって料理上手とか最高じゃないですか。
    何事にも一生懸命で、漁師の先輩たちや町のみんなにも愛されてるし、先生に真っ直ぐに想いをぶつける若さも良かった。
    先生はムチムチの色っぽいボディを持ち、ちょっと天然なところが魅力的。
    ユーサクに押されている様がもう充分可愛いのに、キラキラしてるユーサクに気後れしたり、年の差を気にして取り越し苦労をしているところがまためっちゃ可愛いのです。

    ユーサクが水族館の裏側や港で捕れた魚の料理法を動画で配信して、地域を盛り上げているところも面白い。こうして町の良いところが広がって活性化していくんだろうなぁとワクワクします。のんびりした空気を味わいに、訪ねて行きたくなりました。
    このまま若い勢いだけで行くのかと思ったらラストは…。ジーンときて泣けました。読後感もとても良かったです。
  • インディゴの記憶は夢の中【コミックス版】

    鳥丸太郎

    愛が深い
    ネタバレ
    2022年7月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 記憶喪失とヤクザの取り合わせが面白いなと読んでみましたが、ハードな裏に純愛が隠れた胸キュンものでした。
    ヤクザの抗争がストーリーの軸なので男臭い雰囲気ではありますが、身近な人は情のある人物だったりと、キツい描写はそれ程なくて読みやすかったです。

    7年前から記憶がないランが、以前の自分が懐いていたという窪田に再会することで真相に迫っていくんですが、これがもうねぇ泣ける。
    自分の持っていたもの全てを捨てても守りたかったという窪田の愛が本当に深い。
    生きる意味を見出せずいつ死んでもいいと思っていた二人。初めて知った安らぎと愛が本当に大事だったんだろうな。
    出会い方が違っていたらと記憶に蓋をしていたランも切なかった。

    描き下ろしが窪田目線なのですが、これがまたすごく良い。
    窪田の目にランはこんなふうに映っているんだというのがわかってニヤニヤしたし、普段口数少なく無愛想な窪田の想いに胸がギュッとなりました。
  • 探偵とねこちゃん

    ジョゼ

    初々しい恋心にギュンギュン
    ネタバレ
    2022年7月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙とタイトルでギュンとなって、試し読みもしないで購入しましたが、期待通り!ジョゼ先生の作品やっぱりいい。
    色香を感じる絵も一癖ありそうに見えて愛らしいキャラもどストライクな上、今作は更にストーリーが優しく温かくて、胸にギュンギュンきました。
    川崎さんと御徒町くんの関係がすごく良いです。

    可愛くて人懐っこいけどどこか危なげな御徒町くんの見守り隊なんだと思ってた川崎さんが、実は心にからっ風が吹いている人だった。
    本当に情の深い人なんだけど、過去の様々で人に踏み込むことに臆病になってた川崎さんが、するりと本当にまるで猫のように懐に入り込んだ御徒町くんを大事に抱きしめたくなる気持ちがよくわかる。
    惹かれていくのに戸惑う川崎さんにこちらまでドキドキした。
    初めて本気の恋にドボンしてしまった御徒町くんも可愛い。溺れるだけじゃなくて、並び立てる自分になろうと頑張るところが素敵。

    いい大人な二人が浮き足立つような初々しい恋をしてるのが本当に愛おしかった。ちょっと恥ずかしくなるようなピンク色で、想い溢れるシーンでは息を止めて見入ってしまった。やっぱり恋っていいなぁと思わせてもらえて最高に満足です。
  • ルビーレッドを噛み砕く

    朔ヒロ

    初恋が実るキラキラオメガバース
    ネタバレ
    2022年7月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 朔ヒロ先生のオメガバース!ということで飛びつきましたが、想像よりずっと優しいお話で心癒されました。
    オメガバースにおいてフェロモンは忌避されることが多い中、それをキラキラと輝く結晶のように見えるという発想がまずすごいです。まさにこれぞカラーで見たい漫画ですね。
    ストーリーも発情などのバース性の派手な面やオメガの劣等感などは控えめで、心の繊細な部分と自分の目指すもの、好きなものを追い求める姿が描かれていて、温かくも爽やかな作品でした。

    途中マキ先生視点が入るのですが、これがとても良かったです。
    生徒のためにそこまでする先生がいるなんてと驚きましたが、マキ先生にとってはそれほどに「保健室の先生」という存在が大切なものだったのだろうと感じました。
    生徒に信頼され、頼られることで先生自身もきっと救われていたんだな。支えになる言葉をくれた朱音を特別に感じるのは至極当然だと思いました。

    朱音は一見クールそうに見えて、先生の前でだけは力抜けちゃって、大好きが溢れてるのがすごく可愛かったです。一途に想う相手が穏やかで優しいマキ先生なので安心して見てられました。
    しかもその先生の顔を脱ぎ捨てた後が、まためっちゃ萌えたー。意外と男らしく、エチは情熱的でめちゃくちゃキュンとしました。
    すでに続編が決まっているということで、更なるイチャイチャ待ってます。
    後書きのお言葉通り、朱音の将来と先生のお仕事が気になったのでとても楽しみです。
  • スティグマタ―聖痕捜査―

    高橋秀武

    素晴らしいブロマンス
    ネタバレ
    2022年7月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「スティグマター愛痕ー」もしっとりとした雰囲気で良かったですが、その前身であるこの作品がもうすっごく良かったです!
    愛痕は一つの事件を軸にそこに恋愛感情を絡めた作品でしたが、こちらは様々な事件の捜査をメインとしており、解決方法の壮絶さも相まってすごく読み応えがありました。
    BLジャンルではないのではっきりした恋愛は描かれていませんが、朝子くんと黒岩さんとの関係は唯一無二の特別なものに感じられて、捜査を通して深まっていく二人の絆がすごく良かったです。
    奇怪な特殊能力によって疎まれ、排除されてきた朝子くんが背負ってきた苦しみや悲しみは、こちらの作品の方がより感じられるのではないかと思います。

    被害者の追体験とはいえ何度も死を経験する朝子くんは本当に痛々しくて、もうやめていいよって何度も言いたくなります。そんな朝子くんを見守り寄り添い、いつも支えてくれる黒岩さん。
    今まで誰にも触れられず遠巻きにされてきた朝子くんにとって、自分の言うことを疑わず必ず信じてくれる黒岩さんは本当にかけがえのない人なんだろうな。
    スティグマを自分の存在意義だと思っていた朝子くんが、黒岩さんと捜査を続けるうちに信頼関係を築き、前向きに捉えられるようになっていくところがすごく好きです。
    最後の事件で、長い苦しみからようやく救われたんだなと感じられてじわっと涙が出ました。
    すごく素敵な作品です。

    ただ殺人事件の捜査ということでかなり血が出るので、苦手な方はキツいかもしれません。
    私もグロいのはダメな方なんですが、血もデザイン的というか、芸術的な模様のようにも見えてまぁ大丈夫でした。
  • パパ's アサシン。

    SHOOWA

    一気読み必至
    ネタバレ
    2022年7月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ だいぶ前に1巻を読んでそれきりになっていたのですが、今回3巻の発売を機に1巻から読んでみたら、いやぁもうめちゃくちゃ面白かった!
    1巻は龍の切なさに泣けたけど、2巻でパパの事情が明かされ、3巻で2人の絆を見せつけられ、もうドキドキハラハラで目が離せず、最後まで一気読みでした。
    ダニエルも龍之介もめっちゃ男前なんですよ。
    コミカルで笑えるところもあるんだけど、お互いを思う気持ちが強くて、特にパパの龍への愛情が深過ぎて度々ジーンとしてしまう。

    そんでもって3巻!
    もうなんて言ったらいいかわからない…。
    二人のはじめてがあんなにしっとり静かなものになるなんて。読んでてものすごく苦しくて切なかった。龍の涙に胸が締め付けられたよ。
    二人の14年の絆がね、もう一言では言い表せない、いろんな感情が詰まっているんだろうなと思いました。
    3巻さまざま怒涛の展開で、ラストもかなり衝撃です。
    次巻発売がいつになるかわかりませんが、二人の幸せを信じて待ちます。
  • 運命すらも呼吸をとめて

    滝端

    麻川の方にももっと比重を置いて欲しかった
    ネタバレ
    2022年7月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 突然変異でいきなりαからΩ、βからαになって、今までの世界が一変してしまった二人の話。
    突然Ωになってしまった恒吉のキャラがとても好きでした。
    周りの残酷とも言える変化に、もちろん戸惑いも葛藤もあるんだけど、決して自分を見失わないところがすごい。相当の胆力のある人なんだなぁと思いました。
    だからと言って居丈高なところはなく、必死で今の環境に馴染もうとする柔軟性と強さのある人。周りの視線や声なんかに絶対負けるな!頑張れ!とずっと応援するような気持ちで読んでました。
    ただ麻川の方が、背景が見え辛くて感情移入しにくかったかな。過去のことも言葉でさらっと触れられるだけだし、結局どんな仕事をしてるのかもよくわかりませんでした。
    発情のような状態になって抑制剤を過剰摂取してた理由も…。
    家を出て外で働き出したところはすごい変化だったと思うので、その辺りの心情などももっとしっかり描いて欲しかったです。
    お互い突然変異に苦しめられた者同士で理解し合えるいいカップルで、結ばれて本当にホッとしたし、絵も迫力あり見応えあって良かったので、ちょっと惜しいなぁと思ってしまいました。
    ハッピーエンドで読後感は良かったです。
  • 繊細さんを好きになる

    猿和香ちみ

    主人公の心理描写がとても丁寧
    ネタバレ
    2022年7月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 吃音の主人公のお話「いっそ声がなかったら」が好きだったので、HSPの主人公はどんなふうに恋をするのかなと興味を惹かれて読んでみました。
    作者さんはよく下調べされていて、毎回テーマに真摯に向き合ってストーリーを作られているなと思います。登場人物に寄り添う視点が優しくて好きです。
    今作は古風な手紙のやり取りが素敵でした。
    今時こんな手紙もらったらハッとするし、細かい気遣いのできる人なんだろうなぁと好感を持つのもわかる。
    実際の千代は予想外の人だったけど、親しくなってからも手紙を続けるところが良かった。洋も相手の反応を気にすることなく、落ち着いて伸び伸びやり取りできるんだろうし、それがわかってて手紙を続ける千代がにくい。
    千代は大らかだけど決して無神経ではなくて、洋の気質をわかろうとしてちゃんと気に掛けてくれるところがいい。千代の一言が、洋に響いたのにウルっとしました。
    気質が全然違っても、相手を思えばちゃんと分かり合える、新しい自分を夢見て踏み出すこともできるっていうのが伝わってきて、とても優しく清々しい気持ちになりました。
  • CANIS-Dear Hatter-

    ZAKK

    心地良い空気感の帽子店がたまらなく好き
    ネタバレ
    2022年7月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ まぁとにかく、最初から最後までお洒落で雰囲気のある作品です。
    絵柄のカッコよさとかね、センス溢れる感じとか外国の香りとか、自分の中に全くないものなので、魅せられるしときめくし、心惹かれます。
    サトルさんの帽子店がもうとにかく素敵な場所なのですよ。
    従業員たちも並んだ帽子や木型も工房の雰囲気も何もかも全て良くて大好き。
    彼らの楽しい掛け合いや、帽子への愛や情熱を感じる仕事風景、相手を気遣う一言一言など、帽子店「DANTE」の日常をいつまでも眺めていたくなります。
    2巻の終わりには、ああまだこの空気を感じていたい、終わらないで〜って切実に思いました。何とも後引く漫画です。

    サトルさんの帽子づくりへの思いとか、リョウの過去に対する懸念とか、苦しかったり切なかったりするところもあるんだけど、それを大仰な表現や過剰な演出をしないでさらりと、しかしとても印象的に見せる。そこがすごく上手いなぁと思います。見せ過ぎない語り過ぎないからこそ余計に引き込まれるし余韻が残る。
    サトルさんが、本当にごく普通の人なんですよね。帽子を作る才能はあるけど、感覚はまさに一般人で。なんかそこがすごくホッとします。
    リョウの背景やきな臭さを感じてはいるけれど、必要以上には踏み込まない。それでも二人の関係はちゃんと成り立っていて、心の芯の部分で通じ合っている。
    リョウはサトルさんといる時は年相応で、楽に息ができている気がします。サトルさんの隣が一番居心地いいっていうのが伝わってくるから、二人を見ているこちらも癒されました。
    続くシリーズで、何が明かされるのかドキドキです。
    レビューではさらに物語が深まり目が離せないようなので期待しかありません。このまま追いかけていきます。
  • CANIS-Dear Mr.Rain- 【特典ペーパー付き】

    ZAKK

    物語の始まり。すでに期待大
    ネタバレ
    2022年7月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと気になっていたこのシリーズ。最新刊の発売をきっかけにようやく手に取りましたが、期待通りの良作で、すぐさま続きを読みたくてウズウズしています。

    表紙の感じから、才能の渦のようなものはビシバシ感じるけれど、ストーリーは硬質でとっつきにくい感じかな、なんて思っていたんです。が!全くそんなことはありませんでした。
    絵柄がとにかく美しくお洒落で、ハッとする表情や言葉がそこかしこにあって、引き込まれたままラストページまで流れるように読んでしまいました。
    想像していたよりもずっとずっと優しい物語で、出会いが未来を好転させていくのって本当に素敵だなと思いました。
    読みながら、リョウに惹かれ、見守る視線の沓名とシンクロしてしまった。
    まだまだ若いんだからここからまたいくらでも始められるよね。
    観察魔リョウちゃんが本当に可愛くて有能でキュンキュンしました。

    このDear Mr.Rainは、二人が出会ってようやくお互いがお互いの方へ向き合い始めたところ。
    物語としては序章といった雰囲気なのでまだそこまでどっぷりとは嵌っていないのですが、ここから物語がどんどん深まっていくんだろうなぁという予感でものすごくワクワクしています。続きを読むのが楽しみ。
  • 運命に見える

    まさお三月

    ひねりの効いた恋愛成就ストーリー
    ネタバレ
    2022年7月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さん買いです。まさお先生ならではの独特のテンポや裏側が、やっぱり一風変わってて面白かったです。
    タイトルも最初ん?って思ったんですが、読んでみたら「なるほど!うまい!」ってなりました。
    内に秘めたものは熱そうなのに、ちょっと塩っぽくて飄々としたユキくんのキャラも面白くて良かったです。

    ただ守生は、ユキくんに惹かれた理由がイマイチ弱く感じてしまったなぁ。今までの女の子たちとはどこが違ったのかな。
    一目惚れではあるんだろうけど、あっさり恋になったような気がしてしまいました。
    終始守生がどこかふわふわしているようにも見えて、ユキくんと同じようにちょっと不安に思ってしまったので、付き合った後にもう少し熱量が感じられたら良かったかな。
    でも夏見先輩のプラスになってるのかよくわからない言動は面白かったし、周りがいい距離感で見守っている雰囲気もとても良かったです。面白い構成で、最後まで楽しく読めました。
  • HEARTSTOPPER ハートストッパー

    アリス・オズマン/牧野琴子

    恋する幸せと悩みと
    ネタバレ
    2022年7月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ フォローさんのレビューに惹かれて、軽い気持ちでとりあえず1巻読んでみようと手に取ったら、想像以上に興味深く面白い作品で、3巻まで一気に読んでしまいました。
    LGBTQ+のとてもわかりやすい教科書のような作品だなと思いましたが、堅苦しさはなく、実際にイギリスで高校生活を送っている二人の日常を、そのまま漫画にしたのではないかと思うほどナチュラルでした。
    チャーリーとニックが複数学年の授業で出会って仲良くなり、一緒にいてとても居心地の良い相手として惹かれていく様子がとても自然に描かれています。
    いつも一緒にいて笑い合い、寄り添いあっている二人は微笑ましく、恋人がいるという喜びに心震わせる二人に、とても嬉しく幸せな気持ちになりました。
    その反面、ゲイへの差別やいじめなどの描写もしっかりあります。周りの友人や家族も様々な性自認や考え方を持ち、一人として同じ人はいません。いろんな側面から物事を捉えようという作者さんの意志を感じました。
    全巻通して描かれるカミングアウトの問題にも考えさせられます。
    カミングアウトは強要されるものではないし、するのもしないのも本人の自由。しかし性自認は自分の根幹に関わることで、自分の一番大事な人のことを隠さなければならないというのはとても辛いことだというのもよくわかる。
    悩み迷いながらも、お互い支え合い絆を深めていく二人を応援するような気持ちで読みました。とても良かったです。
    興味を惹かれた方は、無料の1巻だけでも読んでみて欲しいと思います。
  • クラスのイケメンと地味キャラがバンド組む話

    イズミハルカ

    青くて熱い
    ネタバレ
    2022年7月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 面白い!2冊一気に読んじゃいました。男の子たちの青春!バンド!恋!めちゃくちゃ熱かった。
    青春期特有の青さや身勝手さや危うさが、時に恥ずかしくなってしまうほどで。でもその必死さが愛おしく感じたりして。
    完成されすぎてない、荒削りのように見える絵や真っ直ぐで丸出しな言葉が、高校生たちの焦りやもどかしさを効果的に表現していて、彼らの焦燥感や情熱を一緒に体感しているような気分になりました。

    普段の学校の中では、自分を取り繕っていたり殻に閉じこもったりしてるのに、音楽の前では、バンドの中だけは自由に息ができるし、自分の全てを解放できる。
    二人とも恋や音に翻弄されながら、好きなものを目指して懸命に泳いでる感じがとても良かった。
    お互いの存在がかけがえのないものとなり、心がどんどん自由になっていく様にドキドキしました。

    3巻に続きますが、2巻が未来明るく爽やかに終わっているのでここまででも充分楽しめます。でも続きは読みたい!
    今なら1巻無料、2巻値引きでお得に読めます。
  • 月はみちかけケモノの恋【コミックス版】

    野白ぐり

    締め方が抜群に良い!余韻がすごいです
    ネタバレ
    2022年6月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 読後の印象は、田舎のおばあちゃんちの古い書棚にあった御伽話の本をこっそり読んでしまった、そんな気分。
    昔この家にはこんな素敵な二人が暮らしていたんだなぁと、心ときめかせながら思いを馳せたくなりました。

    一人ぼっちで何百年も寂しさに耐えてきた狛犬の狛と、都会の人間関係に疲れて田舎に心を休めにきた伊月の物語です。
    やや展開早くて置いてけぼり感あり、終盤までするするっと読んでしまったので、実はちょっとストーリーはあっさり目かなぁと思ったんです。
    が、ラストがとにかく素晴らしかった!
    こんな締め方をするとは思わず、一気に心を持っていかれました。とても美しい余韻の残るラストだと思います。

    正直初読時途中までは、狛は一人が長すぎたから、藁をも掴む思いというか、ちょうど目の前に現れた人に縋ってしまっただけだったんじゃないかと思ってしまったんですよね。
    しかしラストを見てから再読したら、二人の生涯は間違いなく穏やかで幸せだったのだろうと感じられました。結局運命の二人だったのだなと。
    この最後の締めまでで、綺麗に収まった一つの御伽話だと思います。このラストを見れただけでも読んで良かったと思いました。
  • キミイロメルト 【電子限定特典付き】

    hitomi

    トゲトゲの下は柔らかくて可愛い
    ネタバレ
    2022年6月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「透明な愛のうつわ」に大感動し、数日余韻に浸ったhitomi先生の新作。先々月に続いて作品が読める!と迷わず購入しました。
    今作もじっくり読める作品でとても良かったです。

    hitomi先生の作品は割とどれも文字多めかなと思うのですが、それが重いとか読みにくいとかでなくて、きっと作者さんの中には言葉がいっぱいあって、伝えたいこともたくさんあるんだろうなって感じます。
    今作は特に主人公の荒波さんがとにかく論理的に物事を考え、人の感情さえも全て理論に押し込めようとする人なので彼の独自理論が多いです。
    しかしそれが彼を守る鎧であり武器であるのだろうと思ったので、こちらもそれをしっかり受け取ろうと、一つ一つを大事に読みました。
    でも決して難しい話ではないです。
    荒波さんはただ不器用で上手く生きるのが下手なだけ。そんなふうにしか生きられない荒波さんを、北條君がふんわり包み込むように愛してくれる、優しくてキュンとする恋物語です。
    荒波さんは確かに面倒くさい人ではあるんだけど、それがどんどん可愛く見えてくるんです。実はすごく純粋な人なんだろうなと思います。
    自分の気持ちを把握するのが苦手で、感情に振り回されるのは意に反することなのに、北條君と出会ってからは、どうにも感情に引き摺られて困惑してるのが可愛い。
    その混乱も結局安眠や落ち着きなど、心の安らぎに繋がっていて、北條君にどんどん解されている姿が、微笑ましくもとても幸福なものに見えました。
    とても優しくてあたたかい物語です。
    2人とも心は真っ直ぐ純粋で、大人だけど可愛らしいカップルに心の底から癒されました。
  • 双鬼が慕うは守り神

    灰崎めじろ

    今作も愛が溢れてます
    ネタバレ
    2022年6月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「鬼が慕うは祟り神」のスピンオフ。
    灰崎めじろ先生の愛溢れる作品が大好きで、前作を何度も読み返していたのでこちらの発売も楽しみにしていました。
    前作はしい様と椿丸の深い愛に泣き陶酔する感動作でしたが、今作はもっとコミカルで可愛いらしい、いろいろと盛りだくさんの楽しい作品でした。
    感動という面では前作に比べるとややあっさりかもしれませんが、相変わらずみんな一途で愛強め。
    椎根と椎葉がホホ様の心を掴むために奮闘したり、他の山へ三人でお出掛けしたり、愛があるのにすれ違うおいしいサブカプが登場したりと見どころ豊富で面白かったです。

    正直3Pは全く好みではないのですが、この2人は大好きな神様に纏わり付きじゃれつく狛犬たちのように見えるので気になりませんでした。ひたすらホホ様を気持ち良くしてあげたくって右から左から尽くしてるって感じなので、ホホ様幸せでいいわね〜となりました。
    ホホ様が年齢を気にしている割には初心なのも良かったです。
    やっぱり愛を真っ直ぐに描いて、ほっこり幸せな気持ちにさせてくれる灰崎めじろ先生好きです。
  • さよならのモーメント(分冊版)

    仁嶋中道

    優しく絡み合う三人の行方
    ネタバレ
    2022年6月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 基本的には単話は購入せず、単行本の発売まで待つんですが、こちらは我慢できず買ってしまいました。
    今一番注目してる作家さんで、新作がどうしても気になって。

    仁嶋先生の作品は、あらすじや試し読みだけでは話がどのように進んでいくのか予測できません。
    最初の印象とは違う、予想しない方へとストーリーが転がっていって、最後ああそうだったのかと胸打たれる結末になるので、こちらの作品も3人がどういう結論を出すのか、どうやって救われていくのか、全然読めなくてドキドキします。
    ただ、まだ3話なのに切ない。すでに切ない。最終話ではボロ泣きしてしまいそうな予感。
    このままではいられないし、前に進まなきゃならないけど、その時を思うと…。
    それぞれがいろんな思いを抱えているのに、お互いを思い遣っていて、それがまた胸にくる。
    最後まで彼らを見守りたいです。
  • 囚われのオメガ王子と恋の奴隷

    小林典雅/笠井あゆみ

    愉快な溺愛カップル
    ネタバレ
    2022年6月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 面白すぎます。小林典雅先生には、以前「嘘と誤解は恋のせい」シリーズでもかなり笑わせてもらったのですが(特に3巻)、今作もそれに匹敵する笑いがありました。

    主人公リンツェットの境遇はとてもシリアスで、序盤はかなり切ないんです。ひどい環境に押し込められても捻じくれることなく、誰を恨むこともなく生きている心根の良い子なので、それほど重苦しくはないのですが、切なく胸が痛みます。
    そこへ現れる運命の相手アラリック。
    このアラリックが軽妙でお喋りなとても楽しい人なのです。
    リンツェットの不遇の人生を一瞬で払拭してくれる太陽のような人。
    この出会いから、お互いが大好き過ぎる溺愛バカップルの激甘ストーリーに大転換します。
    これが行き過ぎ気味で楽しく笑えました。
    特にアラリックのリンツェットに捧げる愛の歌がかなりおかしい。
    二人以外が聞いたら苦笑しか出ない突き抜けたセンス。それをいつまでも聞いていたいと喜びいっぱいで受け止めるリンツェット。面白すぎました。
    それでもリンツェットの境遇が不憫すぎるので、どんなバカップルになろうとも、こんなに夢中になって愛してくれる人に出会えて本当に良かったねぇと最後まで微笑みながら読めます。
    ハッピーで能天気な溺愛カップルを味わいたい方におすすめです。
  • 俺の春

    木村ヒデサト

    二人が行き着いた先は
    ネタバレ
    2022年6月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「鬼は笑うか」で心を射抜かれた作者さん。
    こちらは27ページの短編ですが、また物凄いものを繰り出してきました。流れるように展開していく無駄のないストーリーで、ラストまであっという間に引っ張られていきました。

    狂った因習が根深く残る村で、二人が生きる道はこれしかなかったんだろう。
    たった一つのものを守るために、やるべきことをやり遂げた栄太には拍手を送りたくなった。
    生き延びた証がくっきり残る春嗣の体を描いた一コマが一番心に刺さった。春嗣もまた栄太のために筆舌に尽くしがたい思いに耐えてきた。
    逃れられない歪な世界からの解放。読後胸がすく思いがすると共に、こうせねばならない程追い込まれた栄太に悲哀を感じた。
  • 小泉先生はみだされたくない

    はなさわ浪雄

    可愛い小泉先生とめっちゃいい男の鰐淵先生
    ネタバレ
    2022年6月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ はなさわ先生の新刊は、とっても可愛くてほのぼのする作品でした。
    決して外さないはなさわ先生。何を読んでも面白いってすごいなぁ。
    とにかくキャラがいいんですよね。先生が生み出す優しいキャラ達が大好きで、今作は鰐淵先生がすごいツボでした。
    最初は無愛想でマイペースだなぁと思ってたら、これがめちゃくちゃカッコ良かった〜!
    人の話をよく聞いて、共感して、良い方向へと導いてあげる力がある。底知れない包容力を感じました。
    ちょっと強引なところはあるけれど、なかなか一歩を踏み出せない小泉先生にはピッタリ。どんどん壁を打ち破って、小泉先生の可愛さを白日の下に晒してほしいと思いました。
    演じる爽やかキャラに無理があって疲れ果てている小泉先生もめちゃ可愛いかったです。一生懸命なところが愛おしくて、鰐淵先生がグイグイいきたくなる気持ちがよくわかりました。

    恋愛面はようやくここからという二人ですが(あ、エチはちゃんとあります)、小泉先生が過去のトラウマを昇華し、清々しい顔をしていたので、鰐淵先生のお陰で殻を一つ破れて良かったなぁとすっきり読み終えられました。
    今後は自分らしく、鰐淵先生と仲良く先生をやっていくんだろうなぁと思ったら、心がほっこり温かくなりました。
  • 隣のクラスの加藤くん

    梅田みそ

    パワーアップしてました
    ネタバレ
    2022年6月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「後ろの席の加藤くん」の続編。前作も好きでしたが、続編は愛も可愛さも笑いもパワーアップしてて更に面白かったです。
    2年生になってクラスが離れてしまった二人だけど、相変わらず仲良くて、なんだかんだお似合いカップルになってるのがめっちゃ微笑ましかった〜!
    そしてそして前作に比べて、小和田がちょっとだけいい男になってる〜。まぁ基本小和田は小和田なんだけども。
    相変わらず卑屈で変な心配ばっかりしてたけれど、それでも加藤のためなら底力を出しちゃう感じがすごく良い!いい具合に格好がつかず、空回ってしまうところも小和田らしくて好き。ウジウジ考えすぎてるように見えて、意外にメンタル強くて図々しいところが面白くて、実はものすごく懐の深い大物なんではと思いました。
    小和田の方は最初から丸わかりだったけど、今回加藤も小和田のことがすっごく好きなんだなぁっていうのが伝わってきたのが、もう嬉しいやら可愛いやら。
    加藤への想いが一貫してブレないところといつも必死で頑張ってるところ、そんなところが加藤には男気あるように見えるのかなぁ。
    最初はなんか不釣り合い?と思ったのに、すごくしっくりくる二人になってました。ちゃんと恋人同士です。
    何かもう始終爽やかで朗らかでキラキラしてるんですよね。読み終えて、ああこの二人やっぱりいいわぁ!と叫びたくなっちゃいました。
  • こぼれた余白

    のきようこ

    普通の二人がただ生きていく話
    ネタバレ
    2022年6月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ のきようこ先生の漫画の地に足ついたリアル感が好きです。
    行き場のない男の子を拾って自分の家で一緒に暮らすっていう、BLとしてはよくある設定の話なのですが、久慈くんを拾った与一さんが、煌びやかでも熱血でも過度に親切でもない本当に普通の感覚を持った普通の人。必要以上に干渉したりしないけど、適切な心遣いはするちゃんと大人な人なのが良かった。
    会話もなんかナチュラルで、言葉がストンストンと胸に落ちていく。ちょっとドキュメンタリーを見ているような気分にもなって、普通の人の普通の人生の話が心に響きました。

    構えて読まなくていい心地良い漫画です。
    劇的ではない、でも登場人物たちの中にはちゃんとドラマがあって、日々ゆっくりと再生していく久慈くんが、身も心も癒され気持ち良くなっていくのが手に取るようにわかる。
    与一さんに惹かれるのもとても自然なことに思えたし、馴染んでいく二人が微笑ましかった。
    なんだか不思議と心が安らぐ。精神安定剤のような、でも最後ちょっと元気になるビタミン剤のような、そんな感じ。
    後半のエチ中の赤裸々な男同士っぽい会話も好きでした。心地良く読めていろんなツボを押してくる自分には奥深い作品です。
  • ボスと野獣

    さちも

    とても優しい救いの物語
    ネタバレ
    2022年6月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 特別リバが好きとかではないのですが、リバと聞くと貴重だし、どんな関係性のリバを見せてくれるのかなとワクワクして思わずポチってしまいます。
    が、こちらはリバ目当てで飛びついてしまったのが申し訳なくなる程、心の救済をテーマにしたとてもいいお話でした。

    血で汚れたボスと精 液で汚れたレオ。
    どちらも幼い頃に生き方を決められ、自分の意志でない道を歩いてきた二人。
    二人の過去は重く、沈み込むような気分になるんですが、二人が出会ったことで彼らの心が解されていくのがわかるので、読みながら温かさと安らぎを感じました。
    もっとハード目を想像していたら、思っていたよりもずっとずっと優しいストーリーでした。でもこの二人にはそれが合っていたと思います。
    お互いをお互いで埋め合って、満たし合うようなリバ。
    二人がそれをものすごく必要としているのが伝わってくるので、それが必然に感じました。こんなにも自然に思えるリバもあまりないかも。他の誰かじゃなくお互いだから埋められる。二人だから満たされる。とても良きリバでした。
  • 蜘蛛と性

    ニクヤ乾

    キャラが魅力的
    ネタバレ
    2022年6月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 中編が二本。どちらも他作品に比べてお洒落で大人っぽい雰囲気でした。作者さんいろんな引き出しがあるなぁと感心。
    そしてどちらの作品もキャラが一筋縄でいかない癖のあるタイプで魅力的です。
    特に表題作の聖は表面上は品性があって穏やかそうに見えて、底知れない危ない感じがすごく良かった。心を絡めとるような視線がたまりません。ズルズル溺れていく風戸の気持ちにシンクロしてしまう。
    ストーリー的には二つ目の「省エネ王子と〜」が好きでした。
    もともと包容力のあるおじさん攻めは許容範囲ですが、こちらはかなり本気でおじさんな上、スケコマシの食えないオヤジキャラはあまり見ない感じで新鮮。
    普段無表情でほぼ感情が平坦な田辺くんのキャラも面白く、涼しい顔をしながら脳内大パニックで心が弾みまくってるのが可愛くて、すごく楽しかった。
    これぞ歳の差BLだな。百戦錬磨の余裕あるおじさんが若い子の煌めきにときめかされ、ずぼっとハマってしまう感じがすごく良かった。二人の言葉のやりとりにドキドキキュンキュンしてしまいました。
    これがデビュー作なんですね。最初からキャラ作りが上手いな〜。これからも魅力的なキャラを期待してます。
  • 抱けるドラッグに一級カレシを

    ニクヤ乾

    甘くて可愛い
    2022年6月10日
    新刊の「社内恋愛の相手は俺ですけど?」が面白かったのでセール中の他作品も読んでみました。
    新刊は根っからの明るいラブコメでしたが、こちらは千尋の幸せを積極的に望まない諦め感がややシリアス。
    しかしストーリーは甘くて良かったです。

    作者さんの描く攻めの甘やかしがすごく好きだなぁ。すごくキュンとするし、そりゃあこれは惚れるわーってなります。包容力あるし、痒いところに手が届く感じに過不足なく甘えさせてくれてこっちまで癒されてしまう。
    そして千尋の危うさ、可愛さ。これはたまらない。
    お互いがそれぞれ「抱けるドラッグ」と「一級カレシ」にやられまくって一発で惚れてしまうのが最高でした。
    ニクヤ乾先生、非常に心情表現が巧みというか、ときめかせるのが上手い作家さんだなと思います。
    ストーリーに目新しさはないのですがセリフやモノローグにセンスがあり、登場人物にすんなり共感して一緒にキュンとしてしまう。BL読みの心をくすぐるのがすごく上手い。結末も甘くハッピーで良かったです。
  • シェアーズ

    つゆきゆるこ

    ありのままで心を通わす
    ネタバレ
    2022年6月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「リンク アンド リング」がとても好きで作家さん買いしました。「リンク アンド リング」の登場人物たちが、ゆっくりじっくり自分たちのペースで関係性を作り上げていくところが好きだったのですが、今作にもそれに通ずるものを感じました。
    人と関係を作っていくことの難しさ、面倒臭さ。
    相手を理解することなんてそう簡単にはできないし、別に誰とでも打ち解けあわなければならない訳でもない。でも歩み寄ってみて、分かり合えた時にはやはりそこに生まれる何かがある。作者さんは言葉にはできないその情動を描きたいのかなと思いました。

    本人も忘れてしまっている記憶を、触れることで共有して見せることができる「コネクタ」の能力を持つユージン。
    この能力は相手が心を開いてくれていないと、ノイズが入って上手くいかないというところが面白い。隠された記憶を探るため、二人は関係を深めていくのですが、これがそう簡単には上手くいかない。
    時に行き違いながら楽しかったという思いを積み上げていく二人。不器用さも含めて全てが愛おしかったです。疲弊しながらも頑張るヒロに共感したり応援したりしながら読みました。

    自分自身を受け入れ、二人なりの形を作り上げたのを見て、理想的な関係なんてない。人と人が出会ったらその数だけそれぞれの関係性がある。お互いが一番心地良い形を見つけられたらそれでいいんだと思えました。
    全然上手くできないな、これでいいのかなと悩んでる人への励ましにもなると思います。私も人見知りする方なので救われた思いがしたし、読み終わってとても清々しい気持ちになりました。
    人と心通わすのってやっぱりいいなと思える心温まる作品です。
  • ドラッグレス・セックス 辰見と戌井

    エンゾウ

    さらに愛が強く深くなっています
    ネタバレ
    2022年6月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 待ちに待ったシリーズの続編です。一巻最後の描き下ろしで描かれた30代の2人が、幸せいっぱいで夢のようだったので、そこに至るまでの過程が読めるんだ〜と期待度マックスで読み始めましたが、期待を裏切らないどころか、その遥か上をいくラブ大爆発の続編で最高に満足です。

    2巻の前半と3巻の後半ですっかり両想いの少し大人になった2人が見られるのですが、この短編シリーズがものすごく良かった!
    長年の恋人同士らしい落ち着いた穏やかな生活を送りながらも、愛は激重なまま全く変わっていないという素晴らしさ。変な笑いが出てしまう程のイチャイチャっぷりがすごくて、名前呼びにはもうキュンキュン通り越して悶えてしまいました。だってりゅーってすごくない?何回見ても尊すぎて震えます。これ以上ないってくらいのラブラブ幸せ生活を見せてもらえて感無量でした。
    本編には辰見のトラウマが出てきますが、戌井なら間違いなく絶対大丈夫だし、きっと一生辰見に信じ続けさせてくれるんだろうなと、安心感しかありませんでした。

    このシリーズは一見オラオラ系の辰見が、戌井のフェロモンにドロドロに溶かされて、泣きながら愛の言葉をボロボロ零してしまうのがやっぱり良いですね〜。
    相変わらずの激しい愛のぶつかり合いと相思相愛っぷりが素晴らしかったです。
  • Gimme, Heaven

    モガ子

    とても丁寧で良かった
    ネタバレ
    2022年5月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初コミックスということですが、絵がすごく綺麗でストーリーもとても読みやすくて良かったです。
    多重人格がテーマなので複雑なストーリーを想像していたのですが、心情や症状がとてもわかりやすく丁寧に描かれていたので、どの人格も混乱することなく理解できてスムーズに読めました。
    何より作者さんが、このテーマにとても真摯に取り組んでいるのをひしひしと感じました。特別に派手な演出や展開はないのですが、彼らそれぞれの思いがてらいなく素直に描かれていて、それらが真っ直ぐに伝わってくるのが良かったです。
    雅己はワイン、海里は役者とそれぞれジャンルは違うけど心から打ち込んでるものがあって、お互いその姿勢を認め合い敬意を払っているところも素敵でした。
    包容力があり芯のしっかりした雅己の存在が救いとなり、多重人格に至った経緯はシリアスではありますが、重さよりもそれを包み込むような優しさを強く感じました。
    最後はやや尻切れとんぼ感があり、もう少しページがあったらなと思いましたが、これからの穏やかな生活を感じさせるラストで良かったです。
  • オオカミを飼っています【電子限定ページつき】

    いたちねこ

    パラレルワールドの意味が…
    ネタバレ
    2022年5月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ SF設定大好きで、BLでパラレルワールド!といそいそ飛び付きました。
    表紙だけだと伝わらないと思いますが、太一郎は予想外にデキる男でいのさんにべた惚れなところが可愛いくて、いのさんは無表情だけど人を決して色眼鏡では見ず、公平に判断して丁寧な心尽くしの言葉をくれる人です。そんな二人にとても好感を持ちました。
    ただこれパラレルワールド設定必要だったのかなぁ。
    パラレルワールドの太一郎はいのさんを知らないっていうのは衝撃的だし面白い視点だとは思いましたが、パラレル世界に行く前に既にいのさんは太一郎をかなり意識していて、わざわざパラレルに行ってまで動いたことはあまりなかったような。
    パラレルワールドに行ったからこそこうなったというところが弱く、ただストーリーがわかりにくくなってしまっただけで、これなら平行世界を出さなくても現実世界の二人で心を打ち明け合えば充分だったんじゃないかと思ってしまいました。せっかくの設定をもっと活かして欲しかった。

    太一郎のお母さんの件も、結局お母さん自身に非がなかったのなら、なぜ真実を明らかにしなかったのか。こんな歳になるまで誤った記憶で苦しみ続けさせるなんて意味がわからなかった。人を嫌って欲しくなかったって、そんな理由でまだ3歳の我が子と離れられるかなぁ。一時ならまだしも20年以上も。
    2人のキャラは良くて独特のコミカルな雰囲気も好きでしたが、パラレルワールドの意義とお母さんの件が引っ掛かってしまい、モヤモヤが残ってしまいました。
  • 社内恋愛の相手は俺ですけど?

    ニクヤ乾

    ギャップが最高!
    ネタバレ
    2022年5月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みの最初でん?これは苦手なケンカップルか?って思ったのですが…全然違いました!
    内と外とのギャップがすごくて、プライベートの甘さが半端ない、溺愛ラブラブのものすごく好きなやつでした。
    もう甘えん坊将軍って〜!シュウの二人きりの時のデレ方が最高に好きです。これがギャップ萌えなんだなぁ。めちゃくちゃいい!
    自分にだけこんな甘えた顔見せられたらたまらんだろうな。しつこくない可愛い甘え方だし、どんな甘えにも余裕で応えるヒデにもめっちゃキュンとしました。

    社内での喧々囂々も、仕事にプライドを持ってるからこそで、より良い結果を出したいという思いからだからむしろ良い。逆にそこまでぶつかれるって信頼関係があるからだよなぁとしっかりした絆を感じられて良かったです。

    ライバルが入る隙もないくらいお互いベタ惚れで、最後まですごく楽しく読めました。台詞はどれも面白いしラブは濃いし展開も良くて、とっても出来の良いラブコメだと思いました。
    初めて読む作家さんでしたが大当たり。他の作品も読んでみたいと思います。
  • コミックパーティ ワンダーラブラブ

    山野でこ

    ラブラブだった〜!
    2022年5月25日
    TOS先生と雷蔵先生にまた会えた!続編嬉しいです。
    山野でこ先生の初読みが、こちらの前作に当たる「コミックパーティワンダーラブ」で、TOS先生のウザ可愛い様がツボだった上、コメディセンスが素晴らしいとすっかり山野先生のファンになりました。
    今作もTOS先生の言動が冴え渡っていてめちゃくちゃ面白い!このテンポの良さとノリ、繰り出される言葉の数々が楽しくて大好きです。
    相変わらず二人は甘くてラブラブだったし、TOS先生の可愛さは増量してたし、もう言うことなしの大満足でした!
    雷蔵先生もめっちゃイケメンだったな〜。腹決まってるイケメンは強い!そのままの忍さんが好きというブレない愛がめちゃくちゃカッコよかった。
    読めば気分が明るく元気になる作品、楽しいひと時をありがとうございます先生〜!の気持ちでいっぱいです。
  • サイケデリア【電子限定描き下ろし付き】

    高橋秀武

    心地良い幻覚に溺れる
    2022年5月23日
    むちゃくちゃ好きな世界でした。
    表紙が可愛くてすごく好きなんですが、その先にこんなにもあたたかくて優しくて不思議な世界が広がっていたなんて。予想してなかったので、読みながらワクワクと心が浮き立ってしまいました。
    このシュールな世界にぴったりフィーリングが合ったというか、読んでてものすごく心地良くて、このままずっとこの世界に浸っていたいなぁと感じました。先生ならではの独特な表現の仕方がすごく好きです。
    特筆すべきは日野さん。開始10ページくらいでコロリとやられ、日野先輩めっちゃいい!とあっという間に惚れてしまいました。穏やかで優しくて強くて、そして匂い立つような色気を纏う。溝尻の気持ちがよーくわかる。

    現実と幻覚の境目が曖昧なふわふわの夢みたいな空気の中で、二人が感じてきた思いや相手への恋慕だけはリアルで、そこにキューっと心惹かれました。心が通い合い寄り添っていく二人が、美しくも可愛く、シュールなのにどこかのほほんとしているのがたまらなくいいです。
    他にはない唯一無二の世界観。ぜひ味わってみて欲しいです。
  • 恋愛関係

    カシオ

    可愛かったですが、ややバタバタ感あるかな
    2022年5月22日
    「恋愛談議」の続編です。交際スタートしながらも何故かスムーズにはいかない二人。二人して不器用に右往左往しながら恋愛関係を作っていくお話です。

    カシオ先生のラブコメ好きなんです。シリアスで重いストーリーもいいけれど、大人の男たちが情けなくなったり振り回されたりしながら、恋に必死になる姿が可愛くって。
    続編は一流の男で何不自由ないと思われている三枝が、葉山に一途で大好きな気持ちが溢れちゃってるのがすごく良かったです。それがいまいち報われないのも可哀想可愛かった。

    ただ展開は、ちょっとバタバタしてるように感じたかな。
    いろんなことが起こるんだけど、どれも駆け足な感じで、胸にしっくりくる前にどんどん進んでしまうというか。もうちょっとじっくり感情移入しながら読みたかったなぁ。
    葉山は相変わらず純朴なところが可愛かったし、読後はハッピー感ありよかったです。
  • 惚れ薬を飲んだスパダリがヤバすぎます!【単行本版/コミックシーモア限定特典まんが付き】

    南国ばなな

    生真面目すなおな明くんに癒される
    ネタバレ
    2022年5月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 南国ばなな先生の作品は可愛くて笑えてそしてとってもエッチなのだけど、読後ほっこり幸せな気持ちになるので、肩の力を抜いて癒しBLが読みたいという時にピッタリだと思います。
    今作もコメディと優しさとエロのバランスが良くて、特に愛おしいほどのまじめ素直な明くんのキャラが最高でした。
    自分の軽率な行動でおかしくなってしまった牡丹さんを元に戻さなきゃと必死に頑張る明くんがすごく可愛いんです。これ幸いと乗っかってしまうようなズルさが皆無で、とっても真面目で一生懸命。これは牡丹さんもメロメロになっちゃうわ。
    牡丹さんの前でだけ泣いたり笑ったり感情が溢れちゃうのが最高に可愛いかった。自分自身もロボットみたいと思いながらもずっと傷ついてきたんですよね。それをちゃんとわかってあげられる牡丹さんが素敵。
    牡丹さんは穏やかな紳士のように見えてエロは容赦ないのでかなり回数多いし激しめですが、愛があるのはわかるので安心して読めます。何も疑わずに素直に受けちゃってる明くんが不憫可愛いのだけど、攻めてる牡丹さんの方が明くんのピュアさにすっかり蕩かされちゃってるところがすごく良い。可愛い甘エロ好きな方にオススメです。
  • いい子にできたら褒めてくれ

    黒井よだか

    甘くて幸せなDom/Sub
    ネタバレ
    2022年5月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先月に引き続き新刊発売の黒井よだか先生。今作はDom/Subです。
    前半は自分の欲求をうまく口にできなかったり、相手を理解できなかったりして、噛み合わない二人がもどかしく辛いのですが、後半はものすごく甘くて幸せな気持ちになりました。

    Dom/SubってDomはこんな感じ、Subはあんな感じって大雑把に分別してしまっていたけれど、実は一人一人それぞれ欲求や必要としているものが違ってて、そこを探り合い、理解し合っていくところが肝なんですね。
    わかり合うのに時間は掛かるけれど、そこが明らかになると、ああこれが本当に欲しかったものなんだねって自分まで救われた気持ちで胸がきゅーっとなります。

    本作は相手を自分でいっぱいにしたい愛が重いDomとめちゃくちゃ甘やかして褒めて欲しいSub。
    Dom/Subって凹凸がカチッと嵌るように、お互いの欲求がぴったり合う相手に巡り合えると最高なんだなぁ。相性抜群のDom/Sub関係ってこんなにも平和で幸せなものなのかー!と感動しました。
    遠慮なく思う存分愛情を注げる相手がいて、それが相手の幸せにもなるってすごく素敵。柔らかく自然な表情になった二人を見ていたら、こちらまで満たされた気持ちになりました。
    先生が吸い寄せられるようにピタッと和泉に引っ付いてるのが可愛い。できれば二人のラブラブ生活がもっと見たかったな〜。
  • キツネとネズミのかくれんぼ【ごちそうΩはチュウと鳴く 特装版小冊子】

    はなさわ浪雄

    最高!読むべし!
    2022年5月14日
    本編好きな方は必ず読むべし!です。
    両想い後の初の発情期エッチとか、みんな絶対好きなやつ、ですよねっ、ねっ。

    いやぁもう、さちおの破壊力が想像以上でやばい、歓喜。ずるいわこんなん。宇迦野さんを一体どうする気。毎回こんなんじゃ天井知らずの愛情増し増しになっちゃうね。
    大満足のラブイチャで最後は笑わせてくれるし、やっぱりはなさわ先生最高です。
    続編のお知らせも嬉しい!楽しみ過ぎます。
  • 2055

    三月えみ

    涙が止まらない
    ネタバレ
    2022年5月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ たった31ページの短編なのですが、半分過ぎたところから涙が止まりませんでした。
    描かれている人間は一人で、感情を揺らしている場面はごく僅か。始終淡々とした言葉と表情で進むのに、その裏に隠された想いの強さ激しさに飲み込まれて溺れそうになりました。
    三月えみ先生、本当にすごい。
    分身を作ったのは、せめても幸せな世界を現実に残したかったのか。一人にするのが忍びなく耐えられなかったのか。儚すぎる夢のような彼らの存在が切なかった。
  • オレを知らない今日の君

    豚田もこ

    読後感良しのタイムリープもの
    ネタバレ
    2022年5月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さんでしたが、SF設定、特にタイムリープものが好きなので、あらすじ読んで即ポチしました。
    タイムリープの設定がよく考えられていて、そうだったのか!となる展開もあって面白かったです。
    三国と一緒に混乱して「???」となりながら進めるので、この先どうなるのとハラハラドキドキ読めて良かった。
    ただタイムリープの経過の方がメインになってしまっている感じで、駆け足になってしまっているところもあり、ページ数の関係で仕方ないと思うのですが、もう少し時間を繰り返すことの焦燥感や上手くいかない絶望感など、相手への想いの部分を厚くしてくれたらもっと感情移入できて、更に引き込まれたかなと思いました。せっかくの設定がちょっと勿体ない。
    はっきりと明るい未来を感じさせるラストはとても良かったです。すっきりと爽やかですごく好きでした。
  • きこえる?【シーモア限定特典付き】

    橋本あおい

    ピュアピュアで爽やか!めちゃくちゃ好き
    ネタバレ
    2022年5月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 人気ラジオパーソナリティとその声に励まされてきた大学生リスナーとのお話。
    橋本あおい先生は「酔いどれ恋をせず」から入って、絵が綺麗でエッチはしっかりというイメージの作家さんだったので、お互い想い合ってるのになかなか進展しないというものすごくピュアなストーリーが新鮮でした。
    橋本先生のエロは好きですが、この作品にはこのもどかしいほどのゆっくりしたペースが合ってたし、二人の気持ちを中心に綴られていたのがとても良かったと思います。
    途中の空白も、これも二人が向き合うには必要なものだったんだと思えたし、簡単にまとまらない、時間を掛けた展開がすごく良かったです。だからこそ、最後のキスにめちゃキュンとしました。

    主人公の樹は、最近ではあまりお目にかかれない程のピュアっ子。
    純度100%、信頼の塊みたいなキラキラした目で話を聞いてくれて、自分の言葉に力もらってるなんて言ってニコーってされたら、そりゃもう、これは落ちるわ。
    もともと歳の差が好きで、年上の大人の男が年下の懸命さとひたむきさに魅了されてメロメロになっちゃうっていうのが大好きなので、この作品はまさにドンピシャで悶えました。
    健気頑張る受けに可愛さにやられまくる攻めと好き要素が詰まってて、すごく満足です。
  • 崖っぷち猫は指名がほしい【電子限定おまけ付き】

    もづ九

    可愛くてハートフル
    ネタバレ
    2022年5月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 猫人族が働く猫喫茶が舞台のお話。主人公サビが大きくてガタイが良くて愛想なし、なんだけどめちゃくちゃ可愛いです。
    幼い頃に辛い目にあってから人間嫌いだけど、ツンツンしてるかと思えばとっても素直で一生懸命。優しくしたら嬉しそうに恥じらったり、ふいに甘えてきたりする。これはたまらん。

    ストーリーは猫喫茶が癒し空間かと思いきや、背景は結構シリアス。
    側から見れば猫人売買から救い出してくれた人がそんなことさせる…?とおかしく感じるけど、恩人だからと疑問にも思わず素直に受け入れてしまっていた彼らが悲しい。
    純粋で仲間を大切にする猫人たちがすごく愛おしく感じて、可愛さとシリアスのバランスが非常にいい作品だなと思いました。

    のらりくらりとして掴みどころのなかった狭間は、監獄から掻っ攫って外へ連れ出してくれる王子のように見えてカッコよかったです。みんな自立できたし、救いの神が現れてくれて本当に良かった。
    途中裏側の察しはつくし予想外の展開はないけれど、ハートフルで優しく、読後はあたたかい気持ちになる良作でした。
    そしてやっぱり最後までサビが可愛かった!
  • 不幸くんはキスするしかない!

    露がも子

    ドラマ原作。明るく楽しい
    ネタバレ
    2022年5月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ドラマが始まる前に原作が気になって購入し、ドラマ終わってから読もうと取ってあったんですが、結局読んでしまいました。
    篠宮が次々繰り出すイケメン科白が、キュンとするというよりも「いや、イケメン度ハンパねぇな」と笑けてしまいます。本人全然そんなつもりはなく、全てナチュラルという天然さが面白い。
    福原も度重なる不幸に悪態ついたりはするけども、悲観し過ぎたり誰かを恨んだりしないところがとてもいい。
    BLとしてはよくある題材と展開だと思わなくはないですが、キャラが根がいい子で好感持てるし、テンポ良く明るいので楽しく読めます。
    もうすぐ2巻が出るようですが、1巻だけでもひとまず切り良くは終わってます。ドラマは1巻の分をするのかな。
    中盤から後半がとてもいい展開。周りの人に当たり障りのない良い顔を見せてるのは楽だけど味気ないよね。やっぱり思うままに動くのが一番。ドラマの続きも楽しみです。
  • 透明な愛のうつわ

    hitomi

    渾身の一作。ぜひ読んでみてほしい
    ネタバレ
    2022年5月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さん買いでしたが、あらすじから想像した以上の境地にまで連れて行ってくれる作品で、本当に素晴らしかったです。これはすごいものを読んでしまった!
    度々なみだが溢れ、切なさと幸福感の狭間で何度も胸が潰れそうになりました。
    なんかもう尊すぎて、二人の周りにキラキラと煌めく光のかけらが見えるような気がしてしまった。壊れそうに繊細なのにしなやかに強く美しくて、こんなに眩いものが他にあるだろうかと、心の宝箱に大事にしまっておきたくなりました。

    ミキとシロが出会い関わっていくことによって、悲しみ苦しみ以外の感情が、二人の間に降り積もっていくのに心が震えるほど感動しました。ただの器だったシロの中に、かけがえのない大切な思いが少しずつ注がれていく。

    まさに空っぽのものから愛が生まれる瞬間を見た、と思いました。すごい、これはすごいですよ。
    愛によって生まれたもの。最後に示された作者さんの答えに、優しさと愛への信頼感を感じました。
    そうか、これはここから始まる物語だったのか。
    途中これはもうどうしようもないのではと辛い結末もよぎったので、これ以上ない幸せあふれる展開に心救われました。
    あー何回読んでも泣ける。何度も繰り返し読んで噛み締めたい物語です。
    心をあたため癒してくれる作品に出会えて本当に嬉しい。気になっている方はぜひ読んでみてほしいです。
  • 魔女と猫

    黒井よだか

    出会いが生きる意味になる
    ネタバレ
    2022年5月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作「オメガの婿取り」で強くて男前のΩがとても良かった作家さん。
    表紙の感じと試し読みから硬派なアウトローのお話かと思って読み始めたら、今作は特殊設定ありのどファンタジーでした。予想外でちょっと驚きましたが、めっちゃ骨太の、ザクザクと刺されるような重いストーリーでまたしてもすごく面白かったです。
    苦しい展開が続くのに、もがくように必死にお互いを想って頑張る彼らから目が離せず一気読みでした。

    寿一のただ普通に生きるということが許されない、非情で過酷な運命。そんな彼が出会ったのが、いつ死んでもいいと自分が傷付くような生き方しかできない須藤。
    全てを投げ出すような諦めた生き方をする須藤が辛く悲しかったけど、寿一と関わったことで須藤の中でどんどん生きる力が増していき、執着が出てきたところがすごく良かったです。
    須藤が自分の存在を軽んじない、大事にしようと思えるようになったのがとても幸せなことに思えて泣けました。
    孤独で気力をなくしていた二人が、この人と一緒なら生きていけると生きる意味を見出し、笑い合うのに胸が熱くなります。
    かなりハードなストーリーでしたが、ラストにはささやかでも確かな光が見えて、あたたかなものが心に残りました。
  • どうしようもない僕の運命の恋

    未散ソノオ

    ミトさんの強さに敬服
    ネタバレ
    2022年5月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「おまえでダメならもうダメだ」がすごく好きな作品で、スピンオフ楽しみにしていました。
    前作で背景はかなり濃そうなものの、不思議な人で終わっていたミトさん、本編の前日譚である今作を読んでみたら、思っていたよりもずっとずっと強い人で驚きました。
    自らの暗闇を破るための鍵となる幾を自分で見つけ、隣に並び立つことで己を救い、同時に幾のことも救っていくという。勇気ある最高にカッコいい人でした。
    最初は控えめで縮こまっているような印象でしたが、幾をそばに置くことでどんどん背筋が伸びていき、終盤は凛とした姿がとても美しかったです。
    強さの中に柔らかさもある、剛柔を併せ持った非常に魅力的な人でした。
    幾はふわふわとした掴み所のない人だと思っていましたが、実は痛みのわかる人。自分が救われた思いを継ぐように、八斗や玲音の心に寄り添うのに胸がギュッとなりました。
    逃げることはダメなことと捉えがちですが、逃げても構わない、逃げるのも時には必要と肯定してくれているのがとても優しいなと思います。
    あとがきによると、まだまだ二人のエピソードがありそう。また濃密な同人誌集が出てくれると嬉しいな。
  • ぼくらの時間 おまだめ a time for us~「おまえでダメならもうダメだ」同人集~

    未散ソノオ

    心が満たされました
    ネタバレ
    2022年5月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「おまえでダメならもうダメだ」のスピンオフ二本立て(全84ページ)。
    二人の小旅行を描いた「a little trip 」が、胸にあたたかなものが広がっていくような素敵なお話で良かったです。
    本編では八雲が人知れず持ってる劣等感を、ヒロくんに埋められていくところが好きでしたが、今作ではしっかりと落ち着いた八雲が、優しく包むようにヒロくんを引き上げていくシーンに心打たれました。
    何気ない会話の中で、ヒロくんの心の奥にある傷を救ってくれていて、深い愛を感じました。
    30ページちょっとの短編なのに、こんなにも胸締め付けられ心動かされるのがすごいと思います。
    二人とも見た目などの表面的なところではなく、相手の芯の部分に強く惹かれているのが伝わってきて、何も纏わず心を晒す様子に、お互いへの信頼感がすごいなと感動しました。
    情緒あるヒロくんがたまらなく可愛く愛おしかったです。
  • アンダードッグ・パピーラブ【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

    茶渡ロメ男

    和み系の二人にめっちゃ癒された
    ネタバレ
    2022年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みから好きな雰囲気だなと思って購入しましたが、思った以上に面白くて可愛くて買って大正解でした。全体の空気がとっても穏やかでのほほんとしてて、読んでいてとっても癒されます。

    キラキラ美形の高校生とヘタレで真面目なお笑い芸人という二人のキャラがとにかくいい。
    ヒカルは最初ちょっと強引なのか?と思ったら、その実立ち居振る舞いがソフトで優しくて、ナルくん第一で考えられるとっても良い子。高校生らしい未熟さもあるけど、包容力を垣間見せ、ナルが心地良くなってつい寄り添ってしまうところにキュンとしました。
    ナルは厳しい状況に追い込まれても誰も恨まずに粛々と受け止めて、自分のできることを一生懸命頑張る強い人。周りの悪意を全て包んで飲み込んで、自分らしさを取り戻して生き生きしていくところが素敵でした。

    穏やかな雰囲気がそっくりな二人が、お似合いで微笑ましかったです。優しさの裏には真っ直ぐさと強さがあり、恋も仕事もハッピーに纏まって、とっても良い作品だと思いました。
  • 気難しい王子に捧げる寓話

    小中大豆/笠井あゆみ

    一気読みする面白さ
    ネタバレ
    2022年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ いやぁ面白かった。小中大豆先生は次々と様々な趣向を凝らした作品を発表されててすごいですね。

    過去ここまでの変貌を遂げる主人公を見たことはないかもしれないと思う程の、劇的な成長をする王子の物語。
    話の筋や流れは確かに寓話的ではあるのですが、BL展開なくても充分面白いとここまで感じた作品は久しぶり。読み物として非常によく出来ていて、最初から最後まですごく楽しんで読めました。
    ただ、この一冊で終わってしまったのが何より残念。
    これ本当に終わるのかな?と思うほどの壮大な設定が素晴らしかったので、できればシリーズにして3冊くらいで書いて欲しかった!もっと国造りのいろんなエピソードが読みたかったです。まだまだいくらでも膨らませられる話だと思ったので、ちょっともったいなく感じました。決して物足りなかったわけではなく、それほど魅力ある設定とストーリーでした。
    王子の成長ぶりと国の未来が気になってどんどん読み進めてしまい、後書きで小中作品では最長だというのを読んでびっくりしたほど。
    攻めのオズワルドのキャラも非常に面白く、最後にやって来る超弩級のキュンでBLとしても満足させてくれ、とても読み応えある作品だと思いました。
  • KOH-BOKU AT THE TURNING POINT~コーボク同人誌集~

    未散ソノオ

    もう一度二人のやりとりが読めたことに感動
    2022年3月31日
    未散ソノオ先生の作品は全てどストライクで大好きなので甲乙つけがたいのですが、中でも特にこの「KOH-BOKU」と「好きになっちゃうよ」が好きで。…あれ、私おじさん好きなのかな。あんまり自覚なかったけど。
    もちろん苦手とかではなかったけど、年上ならやっぱ攻めって思ってたのに、年上受け好きみたいだ。

    未散先生の描くおじさんってとかくチャーミングなんですよね。怜悧で洒脱で積み重ねてきた年月を感じさせるしっかりとした大人の男なのに隙があるというか。それが色気にもつながっているという。
    本編ではマジで見てるこちらの方が倒れそうって思うくらい、仕事に忙殺されてた、とにかくずっと働いてる仕事人間の彼らだったので、ハワイにいるのが不思議な感じがしたけど、二人でのんびり過ごしてるのを見てこちらも肩の力が抜けました。
    相変わらず究さんに全てを捧げちゃって、尽くしたくて仕方ない匡ちゃんが最高。
    ページ数は67pですが、その後の二人がたっぷり描かれていて大満足です。同人誌を電子化してくれるの本当にありがたい。
    本編好きだった方は必見だと思います。二人の空気感がそのままで、もう一度味わえたことに感動してしまった。
  • さめないうちに召し上がれ 【電子限定特典付き】

    山田ユギ

    山田ユギ先生やっぱりいい!
    ネタバレ
    2022年3月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 山田ユギ先生の新刊。穏やかで優しくて、そのくせ熱い大人の恋がすごく良かった。
    やっぱりユギ先生いいなぁ。しっとりとした柔らかい空気の中にコミカルな部分と色気があって、安定感と満足度が半端ない。久しぶりに正統なBLを読んだという感じがしました。

    20代でいろんな経験をして傷も付いて、それを経た30代でするちょっとだけ落ち着いた恋愛ってやっぱりいいな。
    若い頃のような激しさはないけど恋への熱はちゃんとあって、臆病になったり勢いだけでいけない気持ちもよくわかる。
    仲の良い友人が恋人へと変わる、定番と言えば定番のストーリーなんだけど、相手を想う気持ちがしっかりと伝わってきて何だかものすごく胸に染みました。
    二人が大切な友人として一緒に過ごしてきた時間を思うと込み上げてくるものがあるし、時を経てそれが、全てを兼ね備えた唯一の存在になったことに感動してしまった。

    またもう北川がたまらんいい男。ユギ先生の描かれるやや野性味のある黒髪男がめっちゃ好き。
    水島も一見大人しそうに見えて言うことは言うなかなかの男前で、すごくいいカップルでした。
    最後には想像以上の多幸感を味わせてもらえてすごく満足です。
  • The Red Thread

    Lazysheep/野ノ宮いと/南知沙

    タイBLドラマの原作
    ネタバレ
    2022年3月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ コミカライズを先に読んだのですが、まだ1巻しか出ておらず、二人の行く先が気になってこちらの原作小説も読んでみました。
    時を超えて成就する愛の物語であり、傷ついた彼らと家族のやり直しストーリーでした。ドラマチックな設定がなかなか良かったです。本編終盤の怒涛の展開には泣けました。
    翻訳はぎこちないところもあり多少読みづらく感じましたが、読んでるうちに慣れました。

    パームがすぐ赤面したり、恥じらってジタバタするのとか、始終わーきゃー言ってる感じが昔の少女漫画っぽい雰囲気だなぁと思いましたが、これがタイ風味なのかな。
    しかしタイの大学はオープンでフランクでとにかく楽しそう。元々大らかな国民性もあるけど、やっぱり下地があるからかな。明るくていいです。
    ただストーリー運びに関しては、一巻の後半くらいまで展開がかなりゆっくりでちょっと冗長に感じたかな。二人の過去も何度も繰り返されるのでもどかしく感じるところも。もっとギュッと縮めた方がハラハラ集中して面白く読めたかもしれないなと思いました。
    原作読んで、漫画はとてもわかり易く丁寧にコミカライズしてくださってるのがわかりました。漫画の方も期待しています。
  • The Red Thread

    晴山日々子/Lazysheep

    すごくロマンチック
    ネタバレ
    2022年3月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ あー泣かされたぁ。こういうのにすごく弱い。
    出会う前から知っている、出会う前から貴方に焦がれるというある意味古典的な、運命の赤い糸ストーリー。
    生まれ変わりものの王道と言えば王道なのですが、すごくロマンチックで素敵です。久しぶりに乙女のように胸がギュンギュンしてしまいました。
    何度生まれ変わっても好きになるっていいよねぇ。ベタと言われようともこういう純愛やっぱり好きだ。
    今度こそ幸せになれますようにとドキドキしながら読みました。

    このコミカライズ1巻では、まだ二人は出会ったばかり、彼らの物語はここからというところ。この先どうなるのかが気になるので原作小説も読もうかなと思います。
    もちろん漫画は漫画で絵も可愛いし、ほんわかした雰囲気がとっても癒されるのでこのまま楽しむ予定ですが。
    以前タイに住んでたことがあるので、タイ菓子とかすごく懐かしかったです。タイのあれこれがいろいろ出てきて楽しい。タイに行きたくなってしまうわ。
  • Mの教典【電子単行本】

    野良おばけ

    やや物足りなかった
    ネタバレ
    2022年3月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 野良おばけ先生の作品3つ目です。
    犯人への容赦がなくやり過ぎてしまう刑事とその刑事を崇拝する謎の男のお話。
    不安定で危なげな神島がどう動くのかが予想つかず、ハラハラして読めたのは良かったですが、テーマの割には緊迫感や迫力が足らなかったかなぁ。

    常田のキャラがただ真っ直ぐで捻りがないので、もう少し深みがあったら良かったと思いました。背景が薄過ぎたせいもあると思うので、彼の信条が確立された理由をもっと書き込んで欲しかったです。そこに至った心情がわかりづらく、最後までイマイチ常田のキャラが掴み切れませんでした。
    肝の神島からもフツフツと沸き上がるような、胸に迫ってくる感情があまり伝わってこずちょっと肩透かし。全然的に淡々とし過ぎているように感じてしまったので、常田のキャラも神島のキャラも、もう一歩踏み込んで掘り下げられていたらもっと心揺さぶられる感じになったかなと思いました。
    題材がちょっと上滑りしている感じで、あまり盛り上がりがないまま終わってしまいもったいなく感じました。
    ただやはり絵柄もテーマも個性的で、ほかでは味わえないインパクトはあると思います。この独自性をさらに追求して作品を描いていっていただきたいと思いました。
  • 聖邪の蜜月【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】

    安西リカ/yoco

    美しい世界と深い愛
    ネタバレ
    2022年3月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終えて、なんて美しくも遠大な御伽話だろうとため息が出ました。
    幼い頃から大人に虐げられ、自分の中の怒りだけを支えに生きていたアシュとそんなアシュに拾われ、ヒナの時から慈しんで育てられた聖獣サージの物語。
    二人の先行きが読めなく不安で、心臓をバクバクさせながら読みましたが、ラストは未来を感じさせるもので良かったです。
    終盤はアシュとサージの強い絆と深い愛に涙が止まりませんでした。

    人を憎み環境を呪っていたアシュが、サージに出会ったことで、過去に立ち向かい打ち勝つ勇気を持てたところが素晴らしかった。ここからアシュの生き方が変わったことがはっきり伝わり、心がすっきりと晴れるような清々しい気持ちになりました。
    二人で見た自然の風景の描写もお見事。色鮮やかに、草木の匂いまで感じられるほど瑞々しく活写されていて、世界はこんなにも美しいと感動するアシュに共鳴して、こちらまで心が震えました。

    二人のこの先がもう少し見たかった気もしますが、後引く美しいラストで良かったと思います。今頃彼らはどうしているだろうと思いを馳せ、しばし余韻に浸ることができました。
  • 愛追うふたり

    仁嶋中道

    すごく良かった!
    ネタバレ
    2022年3月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作のデビュー作「キミドリ」がとても良くて、これは超期待の新人さんだ!と注目してました。
    心待ちにしていた新作も全く期待を裏切られることのない作品で、私の見る目は間違ってなかった…!と喜びで一杯です。

    前作もそうだったのですが、試し読みだけだとここから物語がどう転がるのか、全くわからないのですよね。
    手探りな感じで読み進めていくうちに、ああ、そうだったのかといろいろなことが腑に落ちてきて、そこからまるで新しい世界が拡がるかのように、違う景色が見えてきます。
    彼らの本当の顔、感情や抱えているものが浮かび上がってきて、胸にズドンと突き刺さりました。しかしそれも、縁としか言いようのない出会いによって優しく解されていく。

    前半からもう泣けて仕方なかったです。
    みんながみんな相手の気持ちを考えてて、理解したいわかりあいたいという思いで溢れてて、すごく優しい物語だと思いました。
    どちらが強くどちらが弱いというわけでもなく、対等でお互いがお互いを支えているところがとても良かった。
    まだ二人は始まったばかり。まだまだ楽しいこと嬉しいことたくさんあるよ、これから二人でいっぱいいっぱい幸せになってね!と全力で声援を送りたくなりました。

    絵もとても好き。時々ハッとするような表情があって、ものすごく惹き込まれます。魅せ方もセンスあり工夫されていて、映画を見ているような気持ちになりました。
    二人を通して寄り添う人のいることの幸せを改めて感じました。あたたかく気持ちが満たされる作品です。
  • 犬も歩けば恋がはじまる

    博士

    心も体もふわっふわ
    2022年3月16日
    男子高校生たちがふわふわしてます。二人揃ってふわっふわしてます。なんだろね、この空気感。
    多少不可思議なことでも、それで救われる人幸せになれる人がいるなら何でもアリと許容してしまえる懐の深さの表現がお見事。

    まー何を見ても何を聞いても動じない松田くんがすごい。
    松田くんはポメ姿のソラを抱っこするのも、人姿(しかもハダカ)のソラを抱っこするのもあまり変わりがないのだろうな。全く垣根なさそうなのを見ていると、こっちまで構える気持ちがなくなって、ふにゃふにゃに力が抜けます。このナチュラルさがいい。
    そしてDKには好きな気持ちと同じくらいエロが必須、大事なのだろうね。ソラの満たされてる感がものすごく伝わってきた。
    ふわふわなのにエチはしっかりきっちり、ばっちりエロくてそのギャップにドキドキします。
    もちもちプルプルのボディと唇もいい。触れ合うだけで気持ち良さそう。
    ソラ、松田くんとラブラブになれて良かったね。

    なーんにも考えないでふわふわの海に浸り、全身の力を抜いて楽しめる作品。つっこむ方がヤボなのでしょう。
    頭をカラにして飛び込めば、可愛さにめちゃくちゃ癒されますよ。
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