このレビューはネタバレを含みます▼
他のレビュアーさんも指摘している通り、結婚を反対していた母のいる実家に新婚のヒロインをほとんどひとりで置くという状況を作っているヒーローが分からない。古今東西嫁姑にはいろんな問題が生じているのに、海外出張が多いからと言って実家に預けるのは論外。結果、ヒロインはヒーロー母にいびられてるわけだし。優しくて有能なヒーローがなぜそのことに気付かないのかか謎。ヒロインはやりたかった仕事を勝手に辞めさせられてるし、ほとんど知らない人に嫁がされてるし、逃げる前はほとんとフォローも無かったみたいだしで、これはもうDVなのでは?再会してからのヒーローは素敵だと思うし、ふたりのロマンスは楽しめましたが、それだけにこの状況を作るため(だけ)の設定の雑さが気になります。このようなこと(物語が始まる前の設定の整合性に欠ける)はほかのラノベでもわりと見られますが。
とはいえ、こちらの作者様。ヒストリカル作品で独りよがりな謎設定を繰り出して、読者を混乱の渦に叩き込むのがお得意なので、それに較べたら全然許容範囲だとは思います。いつも思うのは、作品として面白い部分もたくさんあって、テンポ良く読める文章は凄いと思うので、もう少し設定の細かい部分まで神経が行き届くよう心がけて貰えたら、有難いなと思います(雑な設定でモヤりたくないので)。作者様のヒストリカルを2作品、現代ものを2作品読みましたが、現代ものはそれほど悪くはないと思います。
それから、ライバル女はお話のスパイスとしては面白いと思いますが、とにかく品性に欠ける。そんな人物と知っていて、付き合いを続けてきたヒーローが分からない。最終的に絶縁してますが、以前は共同経営者だったようだし、そんな人物と付き合うなんてヒーロー自身の品性を貶めるものなのでは?ヒーローはそんなことにも気付かない人なのかな?
あと、ヒーローの実家が仙台なのも謎。ヒーローの家業の本社は仙台にあるの?新婚当初、ヒーローはなぜ仙台から東京に通っていたの?考えていくと、やはり雑な設定が気になりますね。モヤらずに作品を楽しめないものでしょうか?