余韻





2022年5月3日
病み系は特に好みではないが本人達にしかわからない幸せというものは是だと思う。3巻あたりは病みが酷くて胸が悪くなったが5巻は逆に胸がすっとするような爽やかな気持ちになった。家や親族とのしがらみがなくなり真に自由になった育郎と蘭蔵が幸せなのがよく描かれている。父親が蘭蔵に溺れていたのは妹の影を求めていたからなんだろうけど蘭蔵はどういう気持ちでいたのか、そこは語られないままだったのがわずかな不満かな?髪が白くなったのもいつなのかなぜなのか、飯田と暮らすようになって黒くなったのは戻ったのか染めたのか、たぶん戻ったんだろうけど。健一は蘭蔵が迎えにきてくれて良かったね。さち子は気高く強かった。飯田は一番平均的な普通の人だった。典彦と育郎はどうやって生きていくのか、今度こそ一緒に逝くのか。終わりの余韻まで横溝正史のような、周りから見ればやるせなく、当人たちはすっきりと晴れやかな、そんな作品でした。

いいねしたユーザ2人