おかえりさんかく
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おかえりさんかく

早寝電灯

弱い男たち、それぞれに寄り添いたい

ネタバレ
2022年5月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●これは…しっとりとした大人の三角関係のようでいて、とても弱くて不器用すぎる三人のお話。作者さん何作か拝読していますが、やっぱり読ませるなぁーーーという感じです。
●もともと臨機応変が苦手な絋記。気持ちがいつも後からついてくる感じ。元彼・丈のことも、自分のことさえも分からなくて、丈との間の空気があやふやでも突っ込めなかった。不安を丈に伝えることができずに、極端に別れを選んだ。
●絋記の前でカッコつけたい丈。自分の問題は絋記に伝えなくてもいいと考えてた。それが絋記を不安にさせてることに気付かず、「大丈夫」と言えば、キスをすれば、聞き入れてくれると思ってた。二人の別れ話のシーンは噛み合わない感じがとてもつらい。でも一旦別れを選んだのは良かったのかもしれないな…と私には思えます。
●そして二人の再会に偶然居合わせた英征。自分の性指向を長く受け入れられなかった。男同士の恋愛沙汰を目の当たりにし、絋記に惹かれ…英征と絋記のsexは、お互いを救済するための儀式のようでした。
●カッコつけの丈が、英征と絋記のことを知って、嫉妬してうろたえる。多分丈はカッコつけたまま絋記とやり直したいと思ってたんじゃないか。絋記は自分のことを今でもずっと好きなはずだとタカを括ってた。なのに英征みたいな奴が現れた。なりふり構わない丈の方が、よほど愛おしい。
●英征と寝たことで、絋記が別人のようにクリアになったのはどうしてかな…私はそこに思いを致すことができません。難しくて。でもカッコ悪くなった丈と、言いたいこと言うようになった絋記の、最後のsexはとても良かった。
●扉絵のような三人の未来があればいいな…もしそうなったときにはきっと、三人はそれぞれ弱さから脱出できていて、相互の存在を必要だったと、大事なものだと、思えているはず。そう願います。三人ともに「おかえり」と言いたいです。
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