水井恭一のTEENAGE LUST
」のレビュー

水井恭一のTEENAGE LUST

つづき春

読んで良かったなぁ、と思いましたよ。

ネタバレ
2022年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★18歳を軸として回想される13歳から16歳までの水井恭一の性遍歴、と19歳の恋物語。

★水井恭一が、自分は「男が好き」だということに気付いたのは3歳の頃だった…。

★13歳から16歳、執着こそありませんが、そこにはスポットが当たる相手がいます。17歳がないのは、きっと顔も思い出せない一夜限りの相手ばかりだったのでしょうね。そんな関係性に疲れを感じ始めた18歳の水井くんに好きな人が…?過去を思い返しながら、片想いを募らせつつ19歳へ…。とても面白いです。深みがあるけれど暗さがなくて読みやすいですね。切ない思いもたくさんしていますけれど、13歳で辛さを少し手放せた水井くんは、達観と諦観の狭間でうまく自分を保っているな、と思いました。明るい印象ですけれど、胸に迫るものがありました。

★表題作のみ179ページ。達観している風の水井くん、妹ちゃんへのウザ絡みが素の姿かな。鮎子ちゃんの言動は…ある意味、とてもリアルに感じました。ざっくばらんな身内って、こんな感じじゃない?と。そして、愛あるいい仕事しています。フフ。

★悩ましかったのが、本城さん。彼とのエピソードを反芻しています…。客観的に見ればNGなのですけれど、「運が良かったね」と、簡単に片付けられることではないのですよね…。ようやく息をつけた13歳の水井くんの姿と、ハタチの自分を語る25歳の本城さんの言葉が…心に残るのです。「LUST」で間違いないですけれど、生きる術を探る「本能」のようにも感じました。読後感はとても良く、2人の嬉しそうな姿に満たされています。tnx:D
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