花に嵐【電子限定特典付き】
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花に嵐【電子限定特典付き】

佐藤アキヒト

感情が丁寧に描かれてる

ネタバレ
2022年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●総163Pで短め。学生運動の盛んな頃、同性愛や混血が異端なものとされた時代…ではあるものの、「出来事」の描写はわりとサラッとしていて、それよりも「会話」や「心情」を丁寧に描いて下さっているなと感じました。激動の時代背景とはうらはらに、淡々と描かれる二人の想い。モノローグも多めです。
●名前を呼びながらの自 慰を本人に目撃されたことで、秘めていた想いが暴かれる。実は高校の頃から両片想いで…開かれた花は一瞬で燃え上がる。ずっと隠していた欲望に素直に、貪るように求め合う二人が愛おしく感じます。
●でも神谷は周囲に異端視されることが怖い。そんな神谷に対して、高校の頃に自分が神谷からもらった言葉を返す北條が良かった。北條は、アメリカの血が入っていて金髪碧眼。この容姿に関しては何度も描かれます。高校時代のエピソードはきゅんとする。
●北條逮捕〜出所の2年はポンと時間が飛びます。再会後ひたすらに愛を伝え合う二人。えっちもじっくりと描かれてて良いですが…もう少し、「愛してる」以外の会話が聞きたかったな。別々の2年を経て、二人は何を語り合うのだろうか…と。
●お互いの家族には「親友」としての紹介に留まりそうですが、そういう時代です。北條の髪の長さについての会話、好きだなぁ。「短いと綺麗な瞳が見える」「キスのとき髪を梳いてくれるのが好き」とか。
●完全に表紙買いだったのですが、この美しい雰囲気そのままに、叙情的に紡がれた作品。「自分に素直になれたとき、幸せだと感じる」。良かったです。
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