ワタクシ若者言葉を使ってもよろしいのか悩むお年頃の乙女ですが、『エモい』という言葉が読後の感情にぴったりな気がします。
舞台は学生運動真っただ中の学生寮。
高校からの親友の北條と神谷。
せき止められていた水が勢いよく暴発するように二人の恋心が描かれています。
二人の関係の中に学生運動のことはほとんど介入しません。
ただ純粋に恋焦がれて愛するという人に出会って惜しげもなく蜜を与え合うような二人です。
しかし北條の背景にはマグマの様な熱がふつふつと沸いていてそれが学生運動や神谷への気持ちに注ぎ流れていたのでしょう。
その熱が二人が絡み合うシーンに見事に描かれていて、読み手にも熱が流れ込んできます。
ところが面白いことに、先生の作風とセリフの運びでとても静かで美しい作品になっています。
無骨さは影を潜めひらひらとたおやかな一冊だと思います。
あとがきを読むとじんわりと目頭が熱くなってきます。
寺山修司を介して当時の若者の怒りや不満、傲慢なほどの自尊心の熱量、祭りの後の様な静けさ、そして先生の思いがあの数行で垣間見ることができる気がします。
長い作品ではないですが、トンっとその時代の二人の恋の中に落とされたように没入しました。
いい作品に出合えました。
※中村くんはいつも間が悪いww
**163ページ**