月の呼び声【分冊版】
」のレビュー

月の呼び声【分冊版】

山崎ハルタ

短編ではもったいない~。

ネタバレ
2022年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『うちの上司は見た目がいい』(女性マンガジャンル)が大好きな作家様。先生のTwitterで次巻で最終巻となると知り、寂しくなって他の作品を読もうと見つけた作品です。ハルタ先生のデビュー作品は、BLだったのですね。短編42ページ。200pt。
静かにそっと芽吹く恋の感情と、どうしようもない切なさがとても良かったです。
美大の宗太はふとした事から、三島青(セイ)と知り合って…
学校の屋上で、二人で見た青空に浮かんで見える真昼の月。夜空に輝く月も美しくて風情がありますが、昼に見える月も珍しくて趣があります。大気中のチリや水蒸気のない澄んだ空気の時に見られるらしく、雲一つない青空が綺麗なイメージですね。
昼間の月を見ながら、空の青、海の青が好きだという宗太。まだ知り合って間もない二人なのに、なんだか夏目漱石の月の話を思い浮かべてしまったくらい、叙情的な雰囲気が素敵でした。
やがて仲も深まり、友人という関係を越えて芽生えた宗太の恋心にキュン。眠る青にそっと口づけた1シーンが美しくて、ちょっぴり切なさを感じました。キスという表現よりは、口づけの方がなんとなくしっくり来る気がしました。
好きという感情を抑え込み、涙と共に想いを流し去るように雨の中を歩く宗太の姿に胸が痛みました。降りしきる雨が冷たく感じるような気持ちです。

距離をおいて、会わなくなってしまった二人。
短編だから仕方ないのですが、ここからちょっと駆け足気味に展開し、青の心情ももう少し掘り下げて欲しかった気がしました。だから、短編にするにはもったいなくて、ロングでじっくり描かれていたらもっともっと感情移入しやすかったと思います。とても素敵なんですけどね。
これから二人の新たな関係が始まって行くんだろうなぁという結びで、その先が気になるところです。

ハルタ先生の作品はまだ2作品しか配信されていませんが、女性マンガでも、BLマンガでももっとたくさん読みたくなる作家様です。
新作の話はまだ知りませんが、次の作品が楽しみで仕方ありません。
『うちの上司~』の最終巻も楽しみです!
ちなみに、既刊3巻半額お得セール中。12日までですよぉ。
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