枯れない花
」のレビュー

枯れない花

京山あつき

儚く可憐な花ではなく逞しくいじらしい花

ネタバレ
2022年5月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『聞こえない声』『見えない星』と続く高校球児三部作の最後の本作では、今井先輩の卒業式直前、引田がバレンタインチョコを貰うところから始まり、前2作と同じく引田目線でストーリーが展開してゆきます。恋人関係にはなったものの大学生になった今井先輩と離れた引田は、高3になって女の子に付き合おうと言われます。自己肯定感の低い引田はすぐには断れず、部活が忙しいからと言い訳したのですが、今井先輩はそんな引田のことが心配なのでした。野球も恋も一生懸命だけど不器用な引田は、今井先輩みたいに男らしくカッコ良くなりたい自分と、今井先輩に可愛いと抱きしめられて嬉しい自分との乖離に悩み、一心に野球に打ち込む決意をするのでした。クタクタになって毎日練習に打ち込む引田を、今井先輩は会いたい気持ちをグッと我慢して静かに見守ります。数えきれない練習の日々に一瞬で終わる代打の打席。高校野球の残酷な熱さと痛さがひしひしと伝わってきます。それを誰よりも理解してくれる今井先輩が大人っぽく、その成長が眩しいです。最後の描き下ろしは、今井先輩目線の引田の成人式の日のお話です。
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