このレビューはネタバレを含みます▼
絶対上下巻続けて読んでほしい作品です。
大正時代が織りなす、鬱くしくも狂おしい4人の男の恋愛模様。
千代森の主人、環に拾われ養子となった伊月と、その付き人芳野。
伊月はまた環の情夫でもあるという歪んだ関係の中、それぞれの想いが交錯し絡れ、痛々しい場面も交えながら、激しい終着点へと向かっていく。
その結末の後、伊月への執着が狂気めいて見えた環の話が始まるが、寧ろそちらがメインストーリーに思えた。伊月と芳野の話は前座じゃないかと。
それくらい心揺さぶられ、最後の書き下ろしまで、やるせない切なさで涙なしでは読めなかった。
誰も悪くない、正解もない、ただ好きなだけ、鬱々とした気持ちと、あまりに環が報われなくて、なのに幸せそうに笑うのが居た堪れなくて、いつまでも心に刺さったトゲが抜けない…
読後、また最初から読み直すと、環の想いが乗っかって、あの常軌を逸した行動も違った感情で読め、また涙…
あかね先生の絵柄、情景やモノローグも美しく、素晴らしくストーリーとマッチして。
時代の仄暗さもありつつ、心がぎゅっとなる、切ない純愛もの。
激しくオススメしたいです。