是-ZE-
」のレビュー

是-ZE-

志水ゆき

全巻読んでこその作品だと思います。

ネタバレ
2022年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLとして濃厚な描写を求める方や、ドラマチックで泣かせるストーリーを好む方は、ハマるのではないでしょうか。
私はそういう系統を好まないせいか?前半は今一つでした。つまらなくはないけど……何かと大袈裟すぎてかえって引くし……俺様とかヤンチャとか苦手だし……という感じで。
それが、7巻の近衛×琴葉編から、一気に引きずり込まれてしまいました! 大袈裟とか苦手要素とか、そんなこともう気にする余地もなく。
そして、この作品には、ちょっと哲学を感じさせるような人間ドラマの側面もあるということが、見えてきました。
紙様は人形だけど感情も感覚もあって、「粘膜接触」で言霊師の傷を引き受ける……なんて、いかにもBL的オイシイご都合設定と思っていたら大間違いでした(いやまあ、そういう面もあるけど)。
生まれながらに理不尽な運命を背負っている、言霊師と紙様。彼らが共に歩むことでその理不尽を打破する物語……ではない、のが何とも深いと思いました。
逃れられない運命の中であがいて生きているからこその、愛の尊さ。そこからの、『是』というタイトルの意味。そこからの、雷蔵という存在……構成もすごい。全巻読んでこそ、この作品の凄さがわかります。最初は好みではないと思ったカップルの話も、読み返してみると、それぞれの愛の形が心に沁みました。
……と、そういう深読みをするもよし、濃厚かつドラマチックな部分を堪能するもよし、いろんな楽しみ方ができると思います。最終的には、明るく大団円でまとまっています。
ラブストーリーとしては、私は近衛×琴葉が一推し! 近衛が大好きです!! 愛も恋も情も、総てを包含するふたりの絆に泣きました。
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