ゆめみるヴァンパイア【単行本版】【電子限定おまけ付き】
鹿島こたる
このレビューはネタバレを含みます▼
●吸血鬼もイン魔もどちらかというと避けてしまう設定なのですが、表紙のあまりの美しさ、艶めく色気に惹かれ、手に取りました。初めて拝読する作者さんですが、絵柄が世界観にぴったりで、どっぷり入り込んで読めました。ストーリー展開もめちゃくちゃ好き!
●イン魔ハーフのマモルが吸血鬼のラドゥに拾われ(?)「精気を与える代わりに使い魔になれ」という関係性で同居が始まります。ラドゥの包容力がすごくて…!どちらが抱かれてるんだか分からん!(ラドゥが受です。)
●ラドゥは日本のマンガ文化にハマってて、そこはコメディ風味なのですが、長く生きてきた中で数多の芸術に触れてきて、人間の命の儚さとそれが燃える熱さに心を寄せているのがよく分かります。マンガを読んでくるくる表情を変えるラドゥがかわいい。
●感情表現が豊かで、温かい時間を共に過ごしてくれ、でも時に切なげな顔を見せるラドゥに、マモルは次第に惹かれていく。最初はされるがままだったマモルが、ラドゥを想って、彼を笑顔にしたいと行動するのが素敵だなって思います。
●「生きる時間が違う」という設定は、見てて本当につらい。本作も別れの時が切なく優しく美しく描かれています。泣きました…。っが!一転、イン魔ハーフらしいエンディングに。さすが〜!
●生きた時間の長さ、厚み、出会い別れてきた人々、そこで動いた感情、それらが全部ラドゥの魅力。博識で、包容力があって、でも心の奥底に寂しさを抱えてる。その寂しさに死ぬまで(死んでも)寄り添うことに決めたマモル。とても良かったです。
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