このレビューはネタバレを含みます▼
名作の一言に尽きます。これ以上の言葉が思い浮かびません。全7巻を余すところなく堪能させて頂きました。迫力満点でした。史実に基づきながら創作された物語が好きなので、どストライクでした。
7巻巻末に作者である山岸凉子先生のロングインタビューが掲載されており、そちらも楽しく拝読しました。(集中し張りつめた制作現場で、あるはずのないものの気配を感じた等)
歴史の大胆な解釈、BL要素、超能力といった内容は連載当時には相当センセーショナルだったことでしょう。それでも描きたいという先生の熱意の賜物ですね。厩戸王子と蘇我毛人との関係も実際そうであったかもしれないと思えるほどドラマチックでした。作中の厩戸王子の怪しく官能的な美しさは、これまで抱いてきた聖徳太子のイメージを良い意味で打ち壊されました(笑)。厩戸王子の「見ましたね」のアルカイックスマイルにゾクッ。
物語に鞍作鳥を絡ませる発想力と手腕もお見事。朝廷と蘇我氏の血縁相関図も本作品をもし昔読んでいたとしたら、物語に耽りながら自然と覚えることができたでしょうに。
「斑鳩」という漢字も「これで"いかるが"と読むのか」とその気品漂う響きにうっとりしながら覚えた記憶があります。また斑鳩の地を訪れ法隆寺を参拝し、いにしえの風を感じたいと思いました。