ダーティダーリン
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ダーティダーリン

菅辺吾郎

コンプレックスがあっても二人なら幸せ

ネタバレ
2022年5月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 酒屋の息子•三田正児は隣の駄菓子屋とそのお客の子供達の面倒をみています。隣の主人が高齢でほとんど居眠りをしているからです。そんな駄菓子屋に背の高いホームレスの男が現れ、自販機の下から拾い出した小銭で腹の膨れるものをくれと言ってきます。正児が駄菓子のカップ麺を渡すと男は受け取り静かに立ち去ります。束の間の出来事でしたが、もしかするといい人なのかもと思った正児は、つれない恋人からの電話をひたすらに待ち続けているのでした。生まれつきのゲイである正児とノンケの恋人との間には越えられない壁があり、それはホームレスと世間との関係に似ています。明記されていませんが、生理的嫌悪感にまで切り込んでいるところが凄いです。その他大勢の中で異分子であることに執われて苦しむ正児と、その他大勢を信じてホームレスとなり全てを拒否しているかのようなはまさんが、色んな出来事を重ねて繋がれてゆきます。カバー裏マンガでちらりと出てくる正児の父親×駄菓子屋の息子の花雄とのスピンオフ『ダディダーリン』では、花雄視点からの本作が楽しめます。
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